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お約束は突然に

二日連続更新!!でも、これから暫くは忙しいです…

 俺たちクラーケン討伐隊が、順調にクラーケンの体力ゲージを削り続けていき、体力ゲージが三分の一をに到達した頃、異変は起きた。


 なんと、なんの前触れも無くクラーケンが動きを止めたのだ。


 その異常性はよく分かるだろう。誰が命を狙われながら、無抵抗に佇むというのか。生きることをを諦めたのか?否。まだまだ諦めるには早い。それに、まだ諦めた者特有のオーラが出ていない。誰がどう見てもクラーケンの戦意は十分だ。


 だからこそ、おかしい。それに、チャンスだとばかりに全員で先程以上に攻撃して居るのだが、明らかにダメージの入る量が落ちて来ている。


 反撃されないのでみんな手を緩めていないが、全員がおかしいと思っているはずだ。まさに、嵐の前の静けさである。


 ・

 ・

 ・


 などと考えていたその僅か数秒後、何の前触れもなく突然クラーケンは動き出した。()()()()()()を動かしながら。


 …………は?二十本?自分で見ておきながら、今も尚その光景を疑ってしまっている自分がいる。

 ギルドマスターが言っていた事を覚えている人は居るだろうか?彼はこう言っていた。


『とてつもなく巨大なうえ、腕が十本あるイカのようなモンスターだ』


 子供とも言っていたが、俺からすれば十分大きく、腕?触手?脚?もう自分でもどれが正解なのか分からなくなってきたが、それらも十本で間違っていなかった筈だ。


 ギルドマスターの情報がそもそも間違っていた可能性もある。伝説級らしいからな。情報が間違っていたとしても仕方のないことだ。


 しかしそれなら、何故クラーケンは十本もの触手を隠し続けていたのかという事になってしまう。まさか敢えて手を抜く(まさに文字通りだな)事で攻撃をたくさん受けようとしているという、ドMということもないだろう。


 となると可能性はただ一つ。まさに今、この触手は誕生したというものだけだ。あの硬直していた期間がこの触手を生み出す為だと考えたなら筋は通る。


 という事はまさにアレじゃないか。ボス戦で、ある程度追い詰めると新しい形態に入るヤツ。戦闘力が五十三万ある人だって滅茶苦茶やってたし。


 ……となると厄介だな。手数が倍になれば、こちらの負担は倍。いや、数倍だろう。さっきまでの対クラーケン専用のテンプレが通用しなくなるからな。恐ろしい。


「キシャアアアァァァァァ!!!」


 と、その時!クラーケンが吠えた。どこの部位で吠えているのか分からないが、確かに甲高い音を立てながら吠えたのだ。


 ガタガタガタガタガタガタガタガタ!!!


 ッッ!?今度は何だ!?


「も、モンスターが!!小型のモンスターが大量に現れたぞ!!」


 そう叫んだ彼の声は震えていた。慌ててそちらを振り返ると、確かに大量のモンスターが俺たちの船を包囲していた。


 空気が凍った。戦闘の最中だったはずなのに、今は沈黙が支配している。皆理解してしまったのだ。運営は俺たちプレイヤーが必ず勝てる様に調整していない。本当に街が壊されても構わないのだと思っているのだと。



 絶望の第二ラウンドが始まろうとしていた…











 ☆☆☆☆☆

 sideルゥ


「えい!喰らいなさい!!」


 街に入ろうとするモンスターに向かって薙刀を振り下ろし、一刀両断する。しかしそれだけで満足することなく、次々と薙刀の錆にしていく。


 …シルバーさんと別れてから、わたしは一層街を守ることを決意してした。そして、ここから離れて、クラーケンを倒しに行ったシルバーさんの信頼が、わたしの肩にのしかかっているのを感じていた。しかし、それが心地よく感じているわたしもいたのだ。


 なればこそモンスターを倒すのにも力が入るというものだ。期待に……信頼に……応えたい。認められたい。


 ・

 ・

 ・


 そうしてまた一匹のモンスターを屠った。その間も思考は止まらない。頭の中にはシルバーさんのことばかり出てくる……はぁ、落ち着け、わたし。





 …シルバーさん、貴方は今クラーケンを相手に戦っていることでしょうね……勝ってください。どんなに不利な状況でも勝ってください。

 お願いします、この街を守って…


 声にすら出していない心の声だ。届くはずがない。でも…


 届け、私の想い。届け、私のエール!


 そう思わずには居られなかった。







読者の皆様、ブクマ・評価ありがとうございます!


昨日の更新から評価とブクマを沢山頂けて、本当に良い人達に読んでもらえているのだなと、しみじみと感じております。


まだしておられない方がいらっしゃいましたら、よろしければ、最新話の下にある所から評価をして頂けると幸いです。

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