凄く……大きいです//
短くてごめんなさい!
成長を感じ取れたルゥに別れを告げ、やって来たのは船乗り場。そこには沢山の船が並んであり、次々とクラーケン討伐隊の冒険者達が乗り込んでいる。
これに乗らないとクラーケンの元に行けないので、俺も適当な船に乗り込むことにする。俺が見た感じ結構大きめの船だ。おそらく甲板の上で戦うことになるのだろう。
狭かったら戦い辛いからな。大きいのは良いことだ。いつもならこの立派な船を使って美味しい魚を取ってきてるんだろうなぁ……もう一度魚を取れるようにするために頑張らないと。
「クラーケンを倒しに行くぞッッ!!準備は良いか野郎ども!!」
「うおおおぉぉぉぉ!!」
船を運転する漁師さんの掛け声に、みんなやる気が止まらない。俺も周りに乗せられて思わず叫んでしまった。
そして俺達は、クラーケンの元へ進んで行った。度々小型のモンスターが俺たちの船にも襲いかかって来たが、漁師さんが手馴れた様子でボコボコにしていた。あれは下手すりゃそこらの冒険者とか次元人より強いな。
流石、モンスターが強い所で漁をしているだけある。モンスターも退治してることを考えると、実質冒険してるのと何も変わらないもんな。そりゃ強いよな。納得納得。
そのまましばらく進んで行くと、何やら大きな影が海の中に見えた。これはまさか……?
「クラーケンだ!!」
誰かが叫んだ。その瞬間、辺りには緊張感が張り付いた。俺にだって分かる、間違いなくクラーケンだ。その影は最初ですら大きかったのに、今ではさらに大きくなってきている……嘘だろ!?まだ大きくなりやがる。
そして俺達の乗っている船ほど大きくなったその時、奴は大きな波音を立てながら姿を現した。
ザッバーン!!
その姿はギルド長に説明された通りイカのような姿で脚が十本ある。しかし、これで幼生体ってマジか。既にとんでもなく大きいんだが?伝説級だというのも頷ける話だ。
そして姿を現したのと同時に、いつもなら見られない相手の体力ゲージが空中に表示された。
「おい、後ろにもなんか出てるぞ!」
また誰かが叫んだ。その声に釣られるように後ろを見てみると、こちらにも体力ゲージが表示されていた……それは『船の体力ゲージ』だった。
誰が見ても簡潔に分かる敗北条件。そう、俺達は、船が沈められる前にクラーケンを倒さなければならないのだ。
おそらく俺達の船全てが沈められたその時が今回のイベントの失敗なのだろう。
そしてそうなってしまったが最後、街は膨大なる被害を被る。それに、何回も言っていることだが今回のイベントは俺達の様に死んだところで何回も復活できるような次元人しか参加していない訳では無い。
例えクラーケンから街を守りきれたとしても、どれかの船が沈められてしまっては意味が無い。死んで英雄なんて御免だ。みんなで生きて英雄になってやる。
被害ゼロでの完全勝利。夢物語?都合の良い考え?なんとでも言え。ここはゲームだ。俺の都合の良い通りに進めて何が悪い。
全員で生き残って笑い合うって決めたんだ。
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さぁ、戦闘を始めよう。