成長の確認
どうも、割と忙しい公爵蜘蛛です!
評価を下さった方、ありがとうございます!
「やると決まったのならクヨクヨして居られないな」
そう言って、ギルドマスターは勢い良く立ち上がった。そしてそこには、覚悟とやる気に満ち溢れた漢の顔があった。
「それでは諸君!作戦とも言えない様な稚拙なものだが、奴等と戦う際の方針を話させてもらう」
その言葉が発せられた途端、辺りは沈黙が支配した。しかしそれは決して先程までのネガティヴなものではなく、闘志に満ち溢れた戦士達の織り成す不思議な雰囲気だった。
「諸君らには二手に別れてもらうことになる!モンスターの大群だけ戦ってしまえば、クラーケンがここまでやって来てしまい、街は崩壊してしまう。だからと言ってクラーケンだけと戦ってしまえば本末転倒だ。だから、理解してくれるな?」
その言葉に、全員が頷いた。当たり前だ、それは全員が理解している事だからな。
「別れ方は諸君らに任せることとなる。何故ならいつもの仲間と共にいないと実力が発揮できなくなり、結果的に敗北につながってしまうからな」
そこを考慮してくれるのは結構ありがたいな……俺みたいなボッチプレイヤーじゃなければな。最近はルゥとかと一緒に冒険していたとはいえ、基本が一人なのは変わらないからな…
「しかし、出来るだけ人数は均等に分けてもらいたい。本来ならクラーケンの方にかなりの人数を送りたいところだが、今となっては残念な事に街中が海に通じている事がデメリットとなってしまった!守るべき範囲がかなり広いのだ」
確かに、今回は海の方からモンスターが襲撃しているからな。海上都市とも言えるこの街では何処から襲撃されるのか分かり辛い。守るにはそれなりの人数がいるんだろうな。
普段なら綺麗な景色で最高なんだが、今回はそれを利用されてしまった形になってしまった訳だ。悲しいな。
「クラーケンへ向かう冒険者諸君は、このまま真っ直ぐ進んだ所にある船乗り場から幾つかに別れて船に乗ってくれ。残る冒険者の諸君はこのまま港に残ってくれ。どのように街を守るのか説明しようと思う。分かったか?では、作戦開始ぃ!!!!健闘を祈るぞ!!」
さて、俺はどちらに行こうか。周りのプレイヤーを見た感じ、レベルに自信の無いものはここに残り、そうでないものはクラーケンの方に向かっているようだ。
俺自身としてはクラーケンの方に行きたいが……危険察知を使って街の人を守った方が良いような気もするんだよな。
欲望のままに進むか、悩みの種になりそうな方を潰すか……ゲームでも現実でもその辺は変わらないんだよな、難しい話だ。でも、心配だしな。やっぱり、残った方が…
「その話、ちょっと待ったぁ!!」
こ、この声は!……ってちょっと待てぃ!凄い自然な流れで俺の心の声を読まれているんだが!?おかしくない?俺が間違ってるのか、ルゥ!?
「ふっ、カッコつけようとしている今の私は無敵です。無敵ルゥです。心を読むなんて造作もありません…」
最近キャラ崩壊がヤバくないか!?大丈夫?周りの奴らとの距離が開いて来てるぞ。
…あ、そこの奴!今、「厨二病ロリ…まさかここに居るとは」って言っただろ。辞めてくれ!もうそういうキャラはラインハルトでお腹いっぱいだ。シッシッ!
「急にハエを振り払うみたいな仕草をし始めてどうしたんですか、シルバーさん?」
いや、なんで今まで心読めてたのに、ここに来て分かってくれないんだよ!うがー…
「って、そんなことを言いに来たんじゃないんですよ、シルバーさん!」
そう言うと、ルゥはキリッとした顔をしながらこちらを見つめてきた。
「悩む必要はありませんよ、シルバーさん。この街は私に任せて、シルバーさんはクラーケンを倒して来てくださいよ。知ってますか?私、商売をしている関係で、ここ最近は街の人と凄く仲がいいんですよ。だから、冒険者さんの言葉をそのまま借りさせてもらう様でなんですけど、私に守らせて下さい、この街!強くなった私の力で!」
あら、カッコイイ。惚れちゃいそう……じゃなくて、強くなったな、ルゥ。みんなは最初の頃のルゥを覚えているか?
すぐに幼稚な言葉遣いに戻ってしまい、一人称もルゥになってしまう様な、自分に自信を持てないルゥ。
それが今やどうよ?今のルゥなら成人してると言われても信じることが出来そうだ……見た目以外は。
こんなことを言われちゃ、俺も引き下がれないな…
「ここは、任せていいか?」
俺のその言葉に、ルゥはこれ以上ない程に力強く頷いた。
「はい、任せて下さい!私の集めたアイテムに鍛え上げた薙刀使いが火を吹きますよ!ですから、この街の人の安全は決まったようなものです!」
よし、気合入ってきたぞ。クラーケン如き、この一ヶ月で上げまくったレベルの暴力でボコボコにしてやるぜ!
だけど一先ずは…
「行ってきます」
予期していなかったのかこの言葉に大変驚きを示したルゥだったが、すぐに優しい顔になった。
「行ってらっしゃい」
行ってくるぜ!!うおおぉぉぉぉぉ!!!!
「今の、新婚さんみたいだったなぁ…」
そうして走り去ったシルバーの後ろに、顔を赤らめた少女が居たとか居なかったとか…
シルバー君に春は来るのか!?
っと、そんな事よりですね
シルバーΣ(゜Д゜)
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