昨日の敵は今日の友?
2日連続!
「な、なんでお前がいるんだよ!?」
俺は思わず叫んでしまった。今日はルゥとマリンシティを目指して進んでいくと、話をしていた日。なのに、俺を待っていたのは……
「デュフフ、水臭いですぞシルバー殿!こんな計画を立てて居たのに某を誘わないなんて!!」
あの変態キモオタ……じゃなくて、ラインハルトが待って居たのだ。いや、ルゥも一緒にいる……だと!?
「あの、シルバーさん。わたしとラインハルトさんは仲直りしたんです。ラインハルトさんもあんな事はもうしない。って言ってますし、シルバーさんも許してあげてくれませんか?」
そう言ってルゥは頭を下げようとした。いや、ルゥが頭を下げるのはおかしい。そう思い、俺はルゥが頭を下げるのを止めた。
「いやいや、ルゥが謝る事じゃないよ。それはラインハルトのすべき事だ。それに、ルゥが許したのなら俺は別にそれで大丈夫だよ」
そう、俺は戦っただけ。やられた訳でもないし、ルゥが許したのなら俺が怒るのはお門違いだ。だから水に流す。
「ありがとうございます!シルバーさん。それじゃあ、三人で出発しましょう!!」
あ、やっぱりラインハルトも付いてくるのね。でも、強いし心強いと言えば心強い。
ルゥも戦える様になっているとはいえ、まだこのゲームを始めてちょっとしか経ってない。戦力は多ければ多いほどいいだろう。
「デュフフ!某が前を歩いて敵をすべて薙ぎ払ってやりましょうぞ!!」
ちなみに、俺が敵の位置を把握できる(本当は危険を察知できるけど、情報全てを晒すのは危険だと思い、少々情報を隠している)というのは、伝えてある。
だから不意をつかれない様にする為に、俺は後ろで敵の動きを察知したり、後ろからやってくるモンスターを倒すのが俺の役目だ。
薙刀はリーチが長いからな。ルゥには真ん中からアシストをしてもらう予定だ。
☆☆☆☆☆
森に到着した。この森を通らないと、俺たちの目的地であるマリンシティには到着出来ない。街が発見される前から、この森は敵が強いことで有名だった。
だからこそ最近になって見つかったのかもしれないな。最近になって解放された説が出回ってるけど、もしかしたら最初からその街は解放されて居たのかもしれない。
……!?
「左前の方角からそこそこ強そうなモンスターが来てるぞ!」
俺がそう叫ぶと、俺も含めて三人とも素早く戦闘態勢に移った。警戒して居た先から現れたのは、俺と同じ大きさぐらいの狼だった。しかも二頭。
「ビッグウルフです!!素早い動きが厄介なモンスターですが、まともにぶつかり合えば勝てると思います!」
続いて、ルゥがモンスターの特徴を叫んだ。少し前にやたらとルゥが知識を持っている理由を聞いてみたのだが、どうやらこのゲームが買えなかったときに色々と調べて回って居たらしい。今でもそれは続けていて、知識はかなりのものとなっている。
コイツは俺も戦ったことがある。しかし、その時は一頭だった。純粋にモンスターが強くなるだけじゃなくて、数が増えるのもかなり厄介である。
「某がこちらの一頭をボコボコにします故にそちらのもう一頭はシルバー殿にお任せしますぞ!!」
「分かった!ルゥは隙をついて攻撃してくれ!」
「分かりました!」
ビッグウルフは、大きな口を開けて噛み付いて来ようとしている……これは受け流す必要はないな。
素早い動きだとは言っても、俺にとってはそこまで早くない。寧ろ俺やラインハルトに関しては遅く感じるぐらいだ。
だから……
「ぶち込むぜッ!!」
盾を構えてアタックモードに変換。そして相手より早い動きで動いて鼻っ柱をぶん殴る!相手の勢いと俺の勢いが合わさって、ラリアットさながらの威力である。
当然、ビッグウルフはバランスを保つ事は出来ず、仰向けに倒れた。かなり大きく振りかぶってしまった俺には追撃は出来ない。しかし、今回俺は一人じゃない。頼れる仲間がいるのさ。
「えええええい!!!」
ルゥは、勢い良く薙刀をビッグウルフのお腹めがけて振り下ろした。ルゥが幾らシルビアさんに手伝ってもらいながらレベルを上げているとはいえ、短い期間だ。攻撃力は当然のように俺より低い。
だか、しかし。狼と聞いて、防御力が高いだなんて考える人は何人いるだろうか?もしかしたら居ないかもしれない。
そう、狼は防御力が低いのだ。俺と同じで、攻撃は受けるものではなく避けるものだとして進化しているからだ。つまり、その狼がモチーフのビッグウルフだとしても、低防御力なのは変わらない。
更に!!犬が上位者に屈服する際、お腹を見せるのはご存知だろうか。アレは、弱点を上位者に見せつける事で、自分は降伏したのだということを表しているのだ。
そう、犬にとってお腹は弱点なのだ。そしてそれは狼も同じである。俺が減らした体力に、弱点に無慈悲にも振り下ろされた一撃。
それをされたビッグウルフがどうなったか?それはもう分かるだろう。
「やりました!!わたしでも役に立てました!」
そう、俺たちの見事なコンビネーションによる勝利だ!
「デュフフ……某も倒したのに…」
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