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よし、予定が決まった!

どうも

「うおぉ、ナイス!!」


「カッコいいぞ!」


「ウホ、良い男ね〜」


 突如暴れ出したとしか思えないヤバい奴を見事に倒した事で、辺りはワッ!と歓声が湧いた。


 街中で暴れた事なのにこんな状況になっているのは理由がある。それは、街中で暴力沙汰などを起こすと本来なら問答無用で逮捕されてしまうというのがこのゲームにおける常識なのだが、今回は被害が広がらないようにするために行った事なので暴れたのではなく止めに入ったという風になって街の人に許されたという事らしい。街の人が寛容で助かった。


 後最後に俺に向かって野太く低い声で話しかけて来た男、顔は覚えたからな、近寄ってくるんじゃねぇぞ。もう何回言ったか分からないけど、何度だって言ってやる。俺には男色の好みはない。こんなのご褒美でもなんでもなくて、もはや危険しか感じてないからな。


「シルバーさん、助けてくれてありがとうございました!」


 そんな感じで少し荒れ掛けていた俺の心を鎮めたのは、ラインハルトに狙われ、決して心持ちも穏やかでは無かった筈のルゥだった。


「いやいや、無事で良かったよ。ルゥこそ大丈夫か?」


 ゲームだからまだ大丈夫だと思うけど、現実に置き換えて考えたらとんでもないホラーだ。警察だって動きだすに違いない。下手したらトラウマにだってなるだろう。


「はい。ちょっとびっくりしましたけど、シルバーさんが守ってくれていたおかげで大丈夫でした。シルバーさんこそ大丈夫でしたか?」


 それどころか俺の心配をしてくれてる!?ええ子や!!滅茶苦茶ええ子や……


「!? は、恥ずかしいですよ、シルバーさん!突然そんな事言われたら…」


 あ、どうやら声に出してしまったらしい。なんか前もこんなミスしたことあるような気がするな……思い出せないし、別にどうでもいいけど。


「ごめんごめん。それでさ、どうする?このまま食べ歩きするか?それとも、もう戻るか?」


 俺としてはルゥの思うように行ったら良いと思う。遠慮してるとかじゃなくて、食べ歩きの空気が滅茶苦茶になっちゃった今、出来るだけ楽しんでもらいたいんだよな。師匠に言われたとはいえ、俺から誘ったようなものだから。


「そうですね……でしたら、あと一つだけ食べてから戻りましょう!このまま終わるのも味気ないですし」


 その言葉に納得した俺は、ルゥと共に美味しいものを食べてからギルドに戻るのだった。



 ☆☆☆☆☆



「ふむ、帰って来たようだな。シルバーと嬢ちゃん。こちらもちょうど話したいことを話し終えたところだ。なぁ、シルビアよ」


「その通りさね。それでだ、二人に伝えたい事があるのさね。聞いてくれるかい?」


 勿論だ。師匠には一杯世話になってるし、シルビアさんにはルゥの頼みを聞いてもらった。話なんていくらでも聞くさ。

 ルゥもそう思っていたのか、俺たちは同じタイミングで頷いた。


「この手紙をマリンシティ冒険者ギルドのマスターに届けて欲しいのさね」


 そう言って、シルビアさんは俺に向かって手紙を差し出した。しかし、マリンシティ?? なんかこれに関する話題をどっかで聞いたような、聞いた事がないような…


「シルバーさん!マリンシティと言えばアレですよ!最近見つかった新しい街のことです」


 ああ、そうだ!そもそもルゥはそのマリンシティとこの街を行き来する事で行商人としてやって行きたいって言ってたんだったな。うっかり忘れてたわ。


 ……なんかこの忘れてたとかいうセリフ、既視感がハンパない気がするけど気のせいだよな?うんうん、気のせい気のせい。


 アレ?じゃあこの街はなんて名前なんだ?今までこの街とかしか言ってなかったけど……よく考えたらこの街にも名前があるはずだよな。一体何なのだろうか?教えて!ルゥえもん!!


「ここは始まりの町と呼ばれているらしいですよ。私達プレイヤーからしてもその名前は都合が良いので、その表現で十分に伝わると思います」


 いや、雑か!!明らかに名前の設定を忘れてたか、適当に決めただろ!そもそもこれ、名前なのか?

 RPGあるあるで、冒険初期でよく訪れた街を名前忘れててしまって、適当に最初の街とか言ってたら、友達にもなんか通じる現象と同じじゃね?

 ……例えにもなってないか。そのまんま過ぎるよな。


 閑話休題(それはさておき)、取り敢えずシルビアさんに頼まれた事は了承の意を伝えておく。俺だって近いうちに新しく見つかった街には行く予定だったからな。ついでだと思えば拒否する事はあり得ない。


「なぁ、ルゥ。一緒に来ないか?ルゥだって戦えるようになってる。一回俺と一緒に街に行ってみようぜ?」


 これは元々考えてた事だ。そりゃ、ずっと一緒に行商人の手伝いをする事は出来ないけど、せめて最初ぐらいは手伝ってやりたいと思ってたんだよ。


 その言葉に、ルゥは顔を輝かせた。


「良いんですか!?ありがとうございます!!」


 その後俺は待ち合わせる時間を決め、ルゥと別れるのだった。そこで驚きの出来事が待っているとも知らずに……





師匠「あれ?儂、影薄くない?」

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