オタクがヤバいんじゃない、話を聞かない奴がヤバいんだ
総合評価七千ポイント行きました。感謝感激雨あられです!!本当にありがとうございます!!
何だアレ?出て来た瞬間とんでもない存在感を放ってるぞ。ほら、俺だけじゃない。さっきまで活気溢れる通りだった筈が、今では沈黙が支配している。
「デュフフフフフフフフ!!ドキドキして来ました!!」
いや、ドキドキしてるのは俺らの方だよ。ヤバすぎるだろ。ま、まさかこの雰囲気、空気が読めていないというのか……!?コイツ、本物のバケモノかよ!?
きっとクラス一の空気が読めない奴でも流石に口を開くのを躊躇うほどの空気だぞコレ。どんな精神力してんだよ。
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アレ?なんか近付いて来てないか?……や、やっぱりこっちに来る!?な、なんでだ!?
そんな感じで混乱していたその時、俺の頭に電流が流れたかのような衝撃が走った。よく思い出してみろ、アイツはこっちの方向に動き出す前になんて言ってた!?
天使が此処に居たって……言ってたよな。天使か……思い当たる節が一つしかない。しかもこっちに向かって来ているから多分正解だろう。
アイツ、ルゥを狙ってやがる。いや、でもまだ目的が分からない。ゲームとかの発言から分かるようにプレイヤーだろうしな。
ルゥを前から探してたってことか?いや、それはないな。そんな雰囲気が一切なかった。寧ろ偶然会ってから目的を見つけたようにすら見える。
一応用事があるようだから見逃しているが、変な行動をしたら一発で逮捕してやる。出来ないけど。
そしたそのままアイツはルゥの目の前に歩いて来て、彼女にこう言った。
「デュフ、そ、某好みの女の子ですね!!」
いや、絶望的な会話のフリィッッ!!!??コレ言われた方なんて返すんだよ、無理だろ?ほら、ルゥも困った反応してるじゃないか。
「あの、すいません。わたし、貴方に会ったことがありますか?」
「いえいえ確かに会ったことはないですが某が一目惚れしたということはそれ即ち運命と同じなので某と付き合って欲しいということになるという事ですまる」
マジかよ。一目惚れって奴か。でもルゥの見た目に一目惚れって事はアレだよな……ロリコン。これがマジモンか……レベルが高すぎる。勝てるわけがないよ……
「いや、そんな事を突然言われても…」
しかも結構言ってる事が滅茶苦茶だよな。ルゥが困惑するのも分かる話だ。
「中々攻略レベルが高いようですが某の魅力に気づいていないからこそできる事なので取り敢えず一緒に行くとしましょう!!」
そう言ってコイツは無理矢理ルゥを連れて行こうとした。……そいつはちょっと頂けないな。普通にナンパするだけでもちょっと迷惑なのに、本人の嫌がる事をするのなら止めないといけない。
「無理矢理は良くないと思うな」
俺はコイツの腕を掴んでそれを阻止することに成功した。……怖い怖い、コイツ、目のハイライトが消えてやがる。
余りの恐ろしさに一瞬手を離しそうになったが、そうはいかない。今は引いちゃいけない時だ。俺は不倶戴天の意思で覚悟を固めた。
え?不倶戴天の使い方が間違ってる?そ、そうか。俺も動揺してたんだな。大丈夫だ、逆に落ち着いた。コイツはタダの早口で話を聞かないオタクだ。
こういう奴のせいでオタクの評価がどんどん下がってるんだよな。怖いところなんてない、っていうか逆にだんだん腹が立ってきたな……さっき間違えたって言った不倶戴天の使い方が寧ろ合ってるような気すらしてきたぞ。
「貴方は一体なんなんですか?某とMY天使との逢瀬を邪魔しようというのですか?」
うわキモ……じゃねぇや、コイツはヤベェな。逢瀬とか言ってるよ。もうドン引きだよドン引き。マイの発音もなんかねっとりとしてるわ。
「いやいや、逢瀬の邪魔も何も本人が嫌がってるじゃないか。本人の気持ちを無視するのはおま……アンタの望むところじゃないだろ?」
ここで引くのならまだ気持ち悪いオタクで済むんだが……どうだろうか。
「そんなこと言って貴方は某の恋路を邪魔しようというのですね良く分かりました良く分かりました……」
ん、なんか嫌な予感がするな……こういうタメの後ってアレだろ?アレが来るんだろ?
「障害は乗り越えるまでなのですよ!!!」
そう言ってコイツは殴り掛かってきた。思った以上に素早い動きで、拳を輝かせながら。
なんか当たったらマズイ気がする。元々紙みたいな防御力しかない俺だが、正体不明の攻撃は躱しておかないとどうなるか分からない。
しかもこの角度のまんま殴り掛かられると、ルゥにも当たってしまうんだが!?物語で言うなら自分のヒロインに殴り掛かってるんだぜ、マジかよ!?まぁ、俺はそんなの認めないし、そもそもさせないけどな。
なので俺は隣にいるルゥを抱き抱え、大きく横に飛んだ。ルゥが小さい上に、軽くて助かった。ある程度重くても普通に躱せたと思うが、今回はルゥの小柄さをより一層感じることとなった。羽毛布団かよ。
ルゥに当たりそうになっているのは俺が狙われているからっぽいので、素早くルゥを置いて俺は距離を取った。アイツは案の定俺を追いかけ、再び俺に殴り掛かってきた。
危ない危ない!!始めたばっかのプレイヤーかと思ったらとんでもない実力者じゃねぇか!?一体コイツ何者なんだよ!!
そんな俺の雰囲気を感じ取ったのか、アイツはふと立ち止まり、右手を顔の前に掲げ、大きな声で叫んだ。
「デュフフ!!自分の事を倒した相手の事を知らないと言うのは可哀想ですので某が仕方なく本当に仕方なく自己紹介してあげましょう!!」
いや、ノリノリじゃん。
「某の名はラインハルト!!我が拳に貫けぬもの無し!!銀髪の悪人よ、滅ぼしてくれる!!」
ら、ラインハルト!?そこまで圧倒的な名前負けを初めて見たんだが!?あと、いつから俺は悪人になったんだよ!!自己中心的にも程があるだろ!!いい加減にしろ!!
読んでくださりありがとうございました!!
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デュフフフフフフフフフフフフフフ!!!!