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力の応用

ジャンル別日間ランキング5位でした!こんなの初めてです!ありがとうございます!

「なかなかうまく躱しますわね、シルバー。でも速さで倒せないのなら、躱せなくすれば良いだけなのですわ!オーホッホッホッホッホッ!」


 高笑いを終えたローラは、珍しく少し長い詠唱を始めた。これはチャンスなんじゃないか?いいやチャンスだ。チャンスに違いない!戦士相手に長々と詠唱は失敗なんじゃないのか?それを教えてやろう!


 兎に角そう考えた俺はローラへ向けて走り出した。右足…左足…右足…左足…と力強く走り抜け、すごい勢いで距離を縮めていく。足場は走りやすく、ローラは詠唱中のために邪魔するものは何もない。簡単にたどり着くことができた。


 待つ必要も戸惑う必要も無い。待てば黒焦げ、戸惑っていても黒焦げだ。俺は力の限り剣をローラに振り下ろした。


 詠唱をしているとその間は何も出来ない。何か別の事をしたければ、詠唱を止めるしかない。それが魔法使いの常識だ。というより、この世界の常識だ。


 もっともそれは絶対に出来ないという訳ではない。絶対に出来ないと言ってしまうほど難しいだけだ。


 実は詠唱中はかなりの集中力が必要となるのだ。それ故に詠唱中に別の事をするという事の難易度はというと(これは運営が公表している情報だが)、サッカーボールでリフティングしながら片手でバットを振りボールを打ち、それをしながら料理する様なものらしい。ファッ!?


 明らかに難易度がおかしい。人によったらまずリフティング自体が難しい。まぁ、俺は出来るけどな…ってそうじゃない。運営はどうやら俺たちプレイヤーに詠唱しながら行動させたくないらしい。


 だってそうだろ?こんなの、個人の想像力、技能に頼ったものじゃないか。プレイヤースキルって大事だけどこれは努力しても難しい類のものだ。俺が魔法使いだとして、確実に無理だね。


 だから確実に仕留められると思っていた。最悪でも、詠唱を防ぐ事は出来ると思ってたんだ。だが…


 ガキンッ!


「は、弾いた!?」


 なんとローラは杖を上に構え、俺の剣とクロスさせた。そもそも詠唱しながら動いてる時点でおかしい。先程俺が述べていた通り、普通の人間にできる事じゃない!


 そして弾いたってのもおかしい。魔法使いのパワーなら俺が全力で振り下ろした剣相手に耐えられる訳がない。杖を支えることが出来ず、結局両断されるのがオチだ。


 力にステータスを割り振ってるんじゃないか?とも思ったが、それだと魔法使いとしては中途半端な性能になってしまう筈だ。ローラが威力のある魔法を放てているは事実だし、過去に確認している。


 兎に角、詠唱は完成してしまったらしい。此方を見て上品に笑っている。どの様な魔法が来るか分からないので、思いっ切り後ろに飛んで距離を取った。


「弾かれて驚きまして?それではこれでも喰らっていきなさいな!炎の大波(フレアウェーブ)!」


 ローラが杖を大きく振るうと、大きな炎の波が俺の方に向けて押し寄せて来た。高さを見るが、俺が飛び越せそうな高さではない。


 次に横を見る。うん、無理。躱せない様に、横にもしっかりと広がっている。


 盾は…そもそも大きく無い。盾に隠れたところで、丸焦げだろう。俺の盾は基本的に受け流す為にあるからな。


 こういう時に役立つのは、冥途が持っていた様な大きな楯だな。まぁ、それじゃあ俺の戦い方に合わないから仕方ないんだけどな。


 だが!俺はまだ負けちゃいない。ここで俺のオンリーワンスキルが活躍するのさ!…え?オンリーワンスキルの危険察知は滅茶苦茶地味だし、自分に危険があった時、教えてくれる様なスキルなんじゃないのかって?


 その通りである。でも、何回も何回も使っているうちに、新しい使い方を発見したんだ。ずっと思ってたんだよ。あれ?俺のオンリーワンスキルって他のやつと比べて弱くね?って。


 普通のスキルで気配を察知するスキルもあるらしいし、それでも危険察知程とまでは言わないけど、似た様な事は再現出来るからな。


 再現出来る様な弱いオンリーワンスキルがあるのか?いや、無い。俺はそうポジティブに考えた。ならば知らないだけで、他の使い方がある筈だ。


 そうして様々な事を試していると、見つけた効果がこれだ!


 俺は危険察知を使った。そう、自動発動の危険察知ではなく、使()()()のだ。今までは勝手に発動するかどうかをオンオフするか選ぶくらいしか出来なかった。


 危険察知を使うと、俺に押し寄せて来ている炎の波の中に反応が薄い地点を見つけた。そう、これだ。危険の濃淡が分かる様になったのだ。


 ん?何が凄いのか分からないって?これによって、疑似的にだが、安全なルート選択ができる様になるんだ。勿論、反応してる時点で危険は危険なんだけどな。


 俺は波に飲まれるより早く、自ら危険の薄い所へ飛び込んだ。観客席の方が騒がしくなっている様な気がするが、気にしない。


 熱い、とても熱いが耐えられないほどではない。身を低くしながら、俺は波を潜り抜けていく…


「なんという事でしょう!シルバーがローラの炎の大波(フレアウェーブ)を潜り抜けたぁぁ!?」


 俺はまだまだ負けねぇぜ!試合はまだ終わらねぇぞ!






読んでくださりありがとうございます!


ブクマ、評価を下さると大変嬉しいです!


これからもよろしくお願いします!

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