極限状態
生存報告。
改稿しましたので、前までのも少し読みやすくなっているのでは、と思います。ストーリーの変更はないです。
極限状態。それは一撃くらえば死ぬ。そんな極限状態で特訓し続けた結果手に入れたスキル。因みにオンリーワンスキルではない。
しかし、その効果は大変すばらしいものである。
「おおっと!シルバーが銀色に輝いている!?これは一体なんだ!?いや、それよりも何よりもロバートの放った斬撃がどんどん迫ってきているぞ!」
この状態になる事で、先程までの均衡を崩すことができる。銀色に輝くのは副次効果に過ぎない。その真の効果はステータスを大幅に上昇させるというものだ。
なので・・・
「おお!?シルバーが斬撃を躱した!そしてそのまま凄い勢いでロバートに迫っていく!」
しかしこのスキルにはデメリットがある。いつでも解除は可能だが、このスキルを使用している間は、徐々にHPが減少していくのだ。それが先程までの試合で使っていなかった理由だ。
使うべきタイミング。それに相応しい理由がないと、使うだけで下手をするとこちらがピンチになる。なかなか使い所が難しいスキルだ。まぁ、今回は使って正解だと思うが。
そんなこんなで、急いで相手に迫っているのは、そういう理由がある。
「空斬り・・・はもう当たりそうにありませんか。仕方ありません、迎撃させてもらうとしましょうか!!」
そう言うと、ロバートは盾を構えながらこちらに突進して来る。今更だが、ロバートの大盾は受け流すようなものではなく、攻撃を正面から受け止めるというのに大変向いている盾だ。俺の物とは正反対と言える。
「お互いに近づいていく!うおおお!お互いの攻撃がぶち当たり、拮抗している・・・ああ!二人とも吹き飛んだ!?」
俺の剣とロバートの大盾が凄まじい勢いでぶつかり、暫くの間拮抗していたのだが、お互いに耐えることができず、ぶっ飛んでしまった。俺もロバートも殆どダメージはないが、徐々に体力が減っている分、俺の方が不利だろう。
ん?攻撃の瞬間とかだけ発動すれば良いじゃないかって?それができれば苦労しない。一度解除すると、暫くの間使えなくなってしまうのだ。勝つ為には恐らくこのスキルが必須だと思うので、解除したが最後、ジリ貧で負けてしまうだろう。
二人とも再び相手に向かって走り始める。ロバートは逃げ回れば自然と俺に勝てるというのにだ。恐らくとしか言えないが、これはロバートなりの誠意なのだと思う。
誰だって戦いを見に来たのなら、逃げ回っているのよりもお互いが全力を尽くしてぶつかり合っている方が面白いと思うはずだ。
それに闘技大会という互いの実力を発揮する場でそのようなことをしたくないのだろう。なのでここはロバートの厚意に甘えさせてもらうとしよう。そうしないと負ける。・・・そういうものに頼らずに勝てるようになりたいな。
「おっと!再びぶつかり合う!力は互角か?いや、シルバーの方が押している!?」
極限状態となった俺は今とんでもない力を発揮している。いや、スキルだけじゃ無い。俺の勝ちたいという想いに、俺の身体が応えようとしているんだ!
「うおおおおおおおおおおお!!」
「はあああああああああああ!!」
互いが全力を発揮し合い、今出せる最高の一撃を繰り出す。俺は負けたく無い。気持ちでは誰にも負けない!負けたくない!俺は、全力で楽しむんダァァァァァ!!
「うおお!!とんでもない力です!ステータス上は何も変わっていないはずなのですが、今もどんどん上昇しているのではないかと錯覚してしまいそうな程の気迫です!うわあぁぁぁ!!力と力がぶつかり合い、余りの威力に直視出来ません!」
………
「一体どちらが勝ったのでしょうか?………こ、これは…!?立っているのはシルバーだぁぁァァァァァ!!」
はぁ…はぁ…はぁ…死ぬかと思った。いや、実際に死ぬことはないだろうけど、そのぐらい冥土は強かった。
ヤバすぎるだろ。極限状態をなんていう切り札まで切ったのにまだ実力が拮抗しているなんて。
正直言って最後の瞬間どちらが勝つかなんて分からなかったし、そんなこと考えるのも難しかった。最早運勝ちなんじゃないかと疑ってしまうぐらいには。
「これによりシルバーは準決勝に駒を進めます!どうぞ、お楽しみに!そして皆さん、激闘を繰り広げた二人に、今一度、大きな拍手をお願いします!」
パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ…
ハッ、そうだ。冥土はどうなった?今頃思い出した俺は辺りを見渡すと、スカートに付いた砂埃を落とすような仕草をして、何事も無かったかのように立ち振る舞っていた。そしてパチリとウィンクを。カッコいい!…おっさんじゃ無かったなら。オェェ…
取り敢えず、言いたい事がある。気持ちの部分は勝てないわ。無理。見た目よりも中身が重要とか言うけど、見た目だけのインパクトだけでやられそう。って言うかやられかけた。強すぎる。
正直言って女装を否定するわけじゃないけど、ガチで冥土に行っちゃいそう。昇天するんじゃなくて、地獄に堕ちるぐらいの感じで。
俺は意識を失いそうになりながらも、なんとかステージから脱出するのだった。
読んでくださりありがとうございます!投稿が不定期で遅いこの小説ですが、ブクマして読んで下さるととても嬉しいです!
大変厚かましいですが、評価も入れて下さると泣いて笑います(感情崩壊)
準決勝に駒を進めるのに、決勝戦と書いていました。とんでもない事です。すいません。そのままだと十六人しかトーナメントにいない事になってしまいますね(汗
七月十五日に訂正しました