VSメイド…あ、冥途
連続投稿よ!
「さて、いよいよ闘技大会も大詰め!残り八人まで絞られてまいりましたァッ!今まで繰り広げられた度の戦いも熱く!そして素晴らしいモノでしたァッ!」
「それでは次の戦いに参りましょう!会場のボルテージは既にMAXですからね!私が話しすぎるより先に進めていきましょう!」
「おっと、西コーナー!来ました来ました!この男!一回戦、二回戦共に戦い方を変え、我々を驚かせて来た男!二つ名は銀の守護者!その名はシルバーァァァ!!」
俺の登場だ!カッコ良く登場できたかは知らんが。
「おお、続いて東コーナー!その見た目、圧倒的破壊力!SAN値を削り取る化け物につき、直視注意!二つ名は精神破壊者!その名はロバートォォォ!!」
そうして俺の前に姿を現したのは、俺も知っている人物だった。というか、名前も言っちゃってたしな。にしても酷い二つ名だな。それで誰か分かってしまうところが悲しいところだが。
ロバートは相変わらずメイド服を着た冥途だった。その格好でこんなところまで出てくるとか、凄い精神力だな。尊敬するわ。尊敬するからやってって言われても絶対にやらないけどな。
「シルバー様、こんな所で会うとは、巡り合わせとは不思議なものですね」
「ああ、不思議なもんだな」
闘技大会に出てるのにメイド服を着たおじさんと対面してるなんて、本当に不思議だ。というか、謎過ぎる。
しかも片方の手に大きな斧。もう片方の手にもこれまた大きな盾を持っている。
「それでは、そろそろ試合を始めていただきましょう!両者試合開始位置に着いてください。・・・着きましたね?それでは、試合開始!」
試合が始まった。この試合で俺は気をつけないといけないことがある。それは一度冥途とは共闘したことがあるという点である。
それにより、俺の戦い方は知られてしまっている。受け流しをすることも知られているし、盾で殴ることだって知られている。まぁ、逆に言えば俺も冥途の戦い方を知っているとも言えるが。
つまり今回の戦いは不意などを突くのが難しく、純粋な実力勝負になるってことだ。相手はタンクで硬いだろうが、流石に一回戦などで戦ったマッスル程ではないだろう。
上手いこと相手の盾による防御を潜り抜け、斧による攻撃は防ぎながら勝たないといけない。これは腕がなるぜ!
「私は生憎ですが、あまりスピードには自信がありません。ですので・・・」
冥途はそう言うと、斧を自らの上に掲げた。
「空斬り!」
そう叫んだかと思うと、斧を振り下ろした!スキルか!振り降ろした斧からなんと斬撃が飛んできた!やべぇ、カッコいい。じゃない、躱さないと!
「おおっと、シルバーがロバートの攻撃を横に飛んで躱した!」
冥途の斬撃は上から振り下ろしたので、縦向きで飛んで来ていた。なので、俺は横に飛んだのだ。咄嗟の判断、大事。
「まだまだ行きますぞ!空斬り!空斬り!空斬り!空斬り!・・・」
縦だけでなく、今度は横も交えながら何回も何回も斬りつけて来る。これを受け流すのは無理があるので、回避に集中する。
正直言って想定外だった。まぁ、よく考えればわかる話だったかもしれないが、パーティで戦っている時と個人で戦っている時の戦い方が違うのは、何らおかしいことではない。今までスキルを連発してくるような敵といえば魔法使いぐらいしか知らなかったので、予測できなかった。でも、MPなかなかいい勢いでなくなっていくはずだ。
案の定ある程度撃った後は、撃つのをやめた。そして取り敢えず思ったことは、攻めないとやっぱり勝てないってことだ。当然のことと言えば当然のことなのだが、待っているだけでは勝てないどころか、相手の攻撃のチャンスになっている始末だ。これは攻めないといけないな。
「おおっと!シルバーがすごい勢いでロバートに近づいていく!これは・・・なんと!ロバートはシルバーの動きを見切っている!?的確に盾で防御していく!これではシルバー、打つ手なしか!?」
くっ、確かに何故か分からないが、確実に見切られている。スピードに自信がないとも言っていたし、その言葉にも噓は無い筈だ。何か、何か種があるはずだ。
俺は相手を細かく観察する。何か以前あった時との変化を探るんだ。頭、体、装備すらも探し続ける。・・・無い。本当にないんだよ!クソ・・・こうなったら仕方ないか。凄く疲れるし、できるだけやりたくなかったんだけど仕方ない。ここで一つ切り札ともいうべきやつを切るしかないか。
「ん?おお!?シルバーがなんと目を瞑った!これは試合を諦めてしまったということなのか!?」
勿論そんなことはない。今からあっと驚く事をしてやるさ。覚悟しておけよ。
「ふむ、諦めたられたように見えますが、まだ闘志は絶えておられないご様子。何をなさるのか分かりませんが、私に出来ることをさせていただきます。空斬り!」
今だ!
「極限状態!」