係員ラスボス説
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「こ、これは・・・シルバーの勝利だァァァァァァ！」
パチパチパチパチパチパチパチ…
拍手が心地良い。ああ、勝つっていいな。
「一体なにがどうなったのでしょうかぁ！？ロジャーがシルバーの剣を受け止め、今にもシルバーを斬り付けようとしているところで、シルバーの盾が変化しました！！」
確かに、それは気になるところだろう。それについて観客席の方もザワザワしている。今まで盾は盾でしかなかった。それがどうだ、俺は闘技大会という、強者ばかりが集まるところで、盾を武器として使用し、勝利を収めた。
これは装備における革命ではないだろうか？自分で言ってるのはすごくダサい気がするけれども。まぁ、こっちは特許を取っているので、パクられる事は無いわけだが。
それでも、この装備でどうなるのか？この装備にもこんな使い方があるんじゃないか？みたいな感じで装備の幅が広がったり、新しい装備ができたり、新しい戦い方の研究が進んだりしてくるだろう。
それは、このゲームが更に盛り上がることになるだろうし、そうなる事で俺がもっと楽しめる様になるだろう。・・・こんな事言って、全く反響がなかったら、滅茶苦茶悲しいけどな。
「聞きたい事は皆さん山ほどあると思いますが、残念ながらそれは後回しです。聞きたい方は本人に直接聞いてみてくださいね！」
げっ！直接聞きに来られるのはメンドくさいな。逃げるしか無いかな？
「と、言いたいところですが、それだと迷惑になってしまいます。辞めておきましょう。自分達で研究して、見つけてくださいね！それと、迷惑行為をやり過ぎると、運営として動きますよ？注意して下さいね！」
良かった。そこまで無責任な運営じゃなかった。これを言われたのに、来る様な輩は、どうなっても文句は言えないだろう。
「う…ここは？」
お、ロジャーさんの目が覚めたみたいだな。流石に顔面に一撃を叩きつけたからな、気絶してても仕方ないだろう。寧ろ早く起きすぎじゃないか？普通こんなに早く起きれないだろ。
「そ、そうだ。俺は負けて…」
そう言うと、ハッとした顔で、此方を見た。というよりは、俺の盾を見ていた。そして、ディフェンスモードとなっている盾を確認して、ホッとした様子だ。
もしかしたらトラウマになってしまったのかもしれない。俺だってあんな拷問道具みたいな盾を顔面に叩きつけられたら、怖くて仕方ないだろう。
ドSならここで盾を変化させて、相手反応を楽しんだりするんだろうけどな・・・俺には生憎そんな趣味も性癖も無い。
その後彼は起き上がり、此方に向かって歩み寄って来た。どうやら現地人である彼にも握手という文化はあるようで、此方に手を差し伸べて来た。
「強かったな。最後なんて完全にそっちのペースだった」
ここで相手を讃えられるというのは、素晴らしい人間だと思う。例え実力は足りなかったとしても、人間としての実力なら十分だろう。それだけ普通は出来ない難しい事だと思う。
そして俺も手を出し、握手を交わしながら声をかける。
「最初の声で怯ませられなかったら、俺は多分勝てなかったと思います」
これは決して謙遜では無い。本当にそうだと俺は思う。それほど、俺が勝つのは難しかった。ある意味では運勝ちなのだ。もっと精進しないといけない。
「互いの健闘を讃え合った強者である二人に、もう一度拍手をお願いしますッ！」
パチパチパチパチパチパチ…
☆☆☆☆☆
ステージへと続く廊下に、辺りをキョロキョロと見渡しながら、こそこそと移動している不審者がいる。・・・俺だ。
何故こんなことをしているかというと、俺に気配を悟られることなく俺に忍び寄り、明らかに普通ならおかしいタイミングで顔を赤らめる奴がいる。そこまで説明したらもう分かるだろう？
そう、俺は係員を警戒しているのだ。みんなは気にしなければいい、とか思うかもしれない。
でも、それは恐ろしくて出来ない。無視したら最後、何をされるか分からないという恐ろしさを感じる。
ほら、今俺の腕に腕を絡めて来てるだろ？こういう感じでヤバいことを・・・？腕を・・・絡めて来てる？
ガ、ガガガガガガ（少しずつ顔を動かして、全貌を確認しようとする様子）
・・・・・・・・・・・なんということでしょう！辺りを警戒しながら歩いていた筈のシルバーさんの腕に、なんと係員の腕が絡まっているではありませんか！
シルバーは自慢の身体能力を利用し、係員の腕を丁寧に外しつつ、逃げ出した！係員は回り込んだ！しかしシルバーは係員を飛び越した！・・・シルバーは逃げることに成功した！
怖かったぁぁぁ！！滅茶苦茶ビックリした。それにしても段々と係員の動きのレベルが上がってる気がするんだが？係員がラスボスだったりしないよな？
まぁ、いいや。取り敢えず逃げ切ったんだしな。よし！ステージへと行くぞ！残り八人まで頑張ったんだ。後少しだけ勝つだけだ。簡単だろ？
・・・フラグなんかじゃ無いんだからね！勘違いしないでよね！
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