バトルロワイヤルでも殺る事は変わらない
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「知らない天井だ」
嘘である。目の前には天井ではなく自然たっぷりの森が広がっていた。決して迷子になったわけではなく、急に冒険がしたくなって旅に出かけたわけでもない。今の俺はバトルロワイヤルに参加しているのだ。結構ドキドキしている。
腕を見てみると、そこには時計のような形のものがはまっていた。それの中では針のようなものがふらふらと動いていた。コンパスと思った人は惜しい。その正体は事前に説明されていた、一番近いプレイヤーの位置を指し示すアイテムだ。残り時間だろうか、時間も表示されている。詳しく説明されたわけではないが、これも古代遺産なのだろう。
ふむ、今その針は俺の右側を指している。恐らくそこにプレイヤーがいるのだろう。足音は聞こえない。これもまた推測でしかないが、俺と同じように状況を確認したり、針をいろいろ確認しているのだろう。そして相手ももう気づいているはずだ。俺が近くにいるという事に。
木のせいでお互いの姿は見えないが、もう戦いは始まっているのだ。創られた世界なので、動物もモンスターも居ないので、音はしない。バレないようにするために足音を立てない様にしながら相手のいる方向に少しずつ歩いて行く。
スーッ、スーッ、スーッ…
!
ショウタイムだ!じゃない、バレた!こちらに気づいた相手は剣で切りかかってくる。落ち着け、俺。相手の攻撃速度は俺にとってはそこまで早くない。タイミングを合わせて…しゃあ、おりゃあ!
相手の攻撃を盾で滑らせる。ちなみに今の俺は闘技大会までにためたお金と素材で新しい装備になっている。盾は気に入ってしまっていたので、強化という形になっているが。パッと見て髪の色のに合わせた銀色の装備となっている。カッコイイって思っただろ!
うんうん、そうだろそうだろ!俺もそう思う。これを造ってくれたのは俺の盾を改造してくれたティアさんだ。正直言ってとんでもない実力だと思う。お世辞でも、誇張でもない。本当にそう思う。
「うわっ!」
切りかかってきた男は俺が攻撃を受け流した事でバランスを崩した。受け流しってやってる人が少ないのか、盾を持ってても警戒されないんだよな。・・・盾で殴るのはできるだけ隠しておこう。勿論負けるぐらいなら使うけどな。結構不意打ちに使えると思うし、上手く使えば格上の相手にも勝てるんじゃないかと思う。
まぁ、素の実力で圧倒出来るのが一番だけどな。それでも俺なら何でも、誰でも倒すことができるとは自惚れていない。気を引き締めて、確実に殺っていくんだ。
隙だらけの男に剣を振り下ろす。あれからもステータスは素早さと力にしか振っていない。何が言いたいかというと、かなりの威力になっているということだ。首に振り下ろす。
モンスターでもそうなのだが、その生物としての弱点を攻撃すると、ダメージがかなり上昇する。人なら頭や首だ。首の方がダメージ量は多いが、普通は首なんかを狙う隙はない。しかし、俺には受け流しがある。強いな。
プレイヤーの体力は無くならなかった。かなりの威力になっているはずだったのだが、相手のステータスもかなりのものだったのだろう。直ぐに体勢を立て直された。そして飛び退かれ、距離を取られた。
かなり警戒されている様で、こちらが近づけば離れてしまう。こうなってしまうと、一撃で仕留められなかった事を悔やむ。
しばらくジリジリと睨み合う。お互いに隙がないか伺い、動きが生まれない。と、その時!
「隙あり!」
突然草陰から新しいプレイヤーが飛び出してきた!そのプレイヤーは思い切り短剣を振り下ろした!
思えば確かに隙だらけだった。何しろプレイヤー同士が睨み合っていて、辺りにはほとんど気を向けていなかったのだ。それはそれは、隠密能力がほとんどない者でも簡単に不意打ち出来たに違いない。お膳立てしまっていたのだ。
そして隙だらけの体に強烈な一撃を喰らってしまった。・・・相手が。
良かったぁぁァァァァァァ!!助かった、本当に助かった。なんてったって俺は防御力なんてほとんどない紙防御力なのだ。そこに不意打ちを叩き込まれようものならまず生きてはいなかっただろう。
俺の一撃を喰らい、更にはいくら攻撃力が低く、手数で勝負する短剣使いとはいえ、その一撃を喰らってしまったプレイヤーは、悔しそうな表情をしながら消えていった。
なるほど。俺は本当の意味でバトルロワイヤルというものを理解していなかったのかもしれないな。心のどこかでいつもの戦いにいくような感じでいたのだろう。
面白いじゃないか。一対多では無く、様々な状況に変化し、相手だけでは無く周りにも気をつけなければならない。
・・・あっ、危険察知があるからある程度は大丈夫なのか。ってそうじゃない。さっきみたいに直接狙われなかった場合は反応しないじゃないか。やっぱり自分でも周囲を警戒しなきゃならない。
強さだけじゃない、別の所の力も必要な訳だ。なかなか難しいイベントだが、だからこそ面白い。これはゲームだ。楽しませてもらおうじゃないか。
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