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闘技大会前夜祭

少し季節外れですが、どうぞ。

 メーデーメーデー、本日は晴天なり。あー、あー、我々は宇宙人だ。へ?もう繋がってる?


 ・・・やぁ、みんな、こんばんは(爽やかな笑顔)。・・・流石に誤魔化せないか。


 今はアナザーワールドで初めてのイベントを前に、現地人と俺達プレイヤーが協力し、開催している前夜祭に参加しようとしているところだ。


 これに関しては運営は一切関わっていない。つまり有志の人々(主に闘技大会に参加しない生産系のプレイヤー)が計画したものだ。屋台などが出ていて、ゲームの中だからこそはしゃぎやすく、気楽に楽しむことができる。俺も大会前に楽しもうと思って、参加しようとしている。


 尤も、俺のようなプレイヤーだけではなく、このような時も大会前ということで最後の詰めとしてレベルを上げているプレイヤーもいる。まぁ、ゲームの楽しみ方は人それぞれだから文句はないが。戦闘を楽しむ者もあり、これを機会に稼ぎ時だとばかりに売りまくろうとする(決してお主も悪よのうみたいな悪徳な感じではない)者もいる。


 最初に言ってた変な事は何かって?俺だって久しぶりの祭りって事で浮かれてたんだよ。祭りに行くような機会なんてなかなか無かったしな。小さな頃は結構行ってたんだけど、大きくなるにつれ段々行かなくなってきたんだ。今思えば勿体無い話だけどな。友達とかとは小さい頃には一杯遊んでおかないと、後悔することになるぜ。



 まず最初に俺の目に入った店は、昔食ったことのある懐かしいとうもろこしだった。いや、どうやらこの世界では微妙に名前が違うようで、こんコーンとなっていた。どういう意味なのだろうか。試しに買ってみる。


 お金については大丈夫だ。前にローラ達とダンジョン攻略した時に手に入れた素材もあったし、その後にもレベル上げのためにモンスターは狩りまくったからな。大会の為に装備を整えるということである程度お金は使ったけど、祭りを楽しむお金くらいはある。今日という今日を楽しもうではないか。


「まいどあり!」


 こんコーンのタレ焼きが今俺の手にある。とんでもなく美味しそうなタレの香りと、いい焦げ目の付いたこんコーン。ヤバい。涎が止まらなくなりそうだ。


 さて、俺はゲームの中では食べ物を食べたことがない。どこまで再現されているのだろうか。少なくとも見た目と香りについては満点だ。それでは、いただきます。


 まずは一口。こういうのは上品に食べるのもいいとは思うが、俺的自論ではワイルドにかぶりつくのが最高だ。ガブッ。


 う、うまい!アツアツのこんコーンに、熟成されたタレが非常に合っている!かぶりつくたびに広がるまろやかな味!プチプチとした楽しい食感!いい、いい、実に良い!素晴らしい味だ!


 想像以上だった。ゲームの中で食べ歩きすることを考えても良いかもしれない。そう思える味だった。そして俺はすぐに食べ終えた。


「ごちそうさまでした」


 うまかった。しかもこのゲームの良いところは、食べてもお腹いっぱいにならないところだ。それだけ聞いたら嫌に思える人もいるかもしれない。空腹というわけじゃないんだ。つまり、美味しいものをいくらでも食べることができるってことだ。勿論手持ちのお金が許す限りだけどな。


 食べ終わって残った芯は、勝手に消えてしまった。便利なもんだな。汚れてしまう事もない。わざわざゴミを捨てに行く必要もない。綺麗に良い気分で祭りを楽しむことができるな。


 よし、じゃあ次の店に行くか。因みに祭りで売られている物に関してはそこまで高いものはない。だからといって利益の出ない事のないギリギリラインで売られているのだ。


 しばらく歩いていると、また気になる出店を発見した。食べ物ではない。しかし祭りにおいて定番の物。そう、射的だ。俺より先にこの店を見つけたプレイヤーが挑戦している。・・・彼女持ちだ。恐らく彼女にいいとこ見せようと頑張っているのだろう。パルパルパルパルパルパルパルパル…


 ハッ!▼シルバーは我に返った。シルバーはリア充を再び見つけた!パルパルパルパルパルパルパルパル…


 ハッ!無限ループって怖くね?つくづくそう思う。だ、大丈夫だ。俺だってまだまだ若い。いくらでもチャンスはあるはずだ。大丈夫大丈夫(自己暗示)。


 あ、前にいたリア充がちゃんと景品を落としやがった。クソ、末永く爆発しやがれ!


 ふぅ、落ち着いた。前にいたリア充がイチャイチャしながらどこかに行ったので、俺も挑戦してみよう。お金を払い、コルクの入った銃を受け取る。因みに人に撃ったら逮捕されてしまうらしい。コルクといっても当たり所が悪ければ大惨事だしな。そんなことにならないように注意しないと。


 因みに景品にはぬいぐるみや、様々なおもちゃやお菓子などがある。童心に戻って頑張ってみよう。先ずは景品を見渡してみる。コルクは一発しか入っていない。お金を払えば何回でも挑戦できるかもしれない。でも、それで俺は満足できるだろうか。否、できないだろう。それはよそ様から見て大人げない大人が一人生まれてしまうだけだ。


 む!ちょうどいい角度のお菓子がそこにはあった。ここは最近ゲームで覚醒しつつある俺の実力を発揮する場面が来たみたいだな。片目をつむり、銃を構える。気分はプロのスナイパーだ。あとは、引き金を引く…


 ☆☆☆☆☆


 祭り会場を歩いている俺の手の中には何も入ってはいなかった。そう、外してしまったんだ、俺は。思えば最近調子に乗っていたのかもしれない。特訓すればするほど上手くなる。思った通りに物事が動く。俺は傲慢だったかもしれない。


 よし、ここで気づけたのは大きな一歩だ!きっかけが射的だなんてあまりかっこよくないが、気にしないことにしよう。油断大敵だ。明日の大会は慢心せずに頑張ろう。


 ひゅ~~~ドカーン!


 そんな決心を俺がしていると、突然そんな音が俺の頭上に響いた。頭を上げると、そこにはあった。綺麗な花火が。このゲームはテストプレイを除くとまだ始まって間もない。そんな短い時間で花火を造るのは大変だっただろうな。もしかしたら火薬の匂いはしないので、魔法かもしれないが。


 今日は祭りにきて良かった。心からそう思えた。今日という日の思い出は俺の中にずっと残っていくのだろう。楽しかった。




読んでくださりありがとうございます!


のんびりパートも良いですね。争いも無くて。


ブックマーク、評価をして下さると、大変嬉しいです。


シルバーの彼女よりもブックマーク、評価が欲しい。


シルバーΣ(゜д゜lll)

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