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お花見

どうも、2か月ぶりです。ちょっともう散りつつありますが、せっかくなので書かせていただきました。

「桜というモノは良いものですな、シルバー殿」


「あぁ、確かにな」


 桜が満開街の中。街を歩きながら冥途と駄弁る。何このメンバー、と思ったかもしれない。というか俺も今ちょっとそう思ってる。だが、意外と悪くない。


「お嬢様が一日休みをくださったのですよ。それで今このゲームが桜祭りということで、花見をしに来たという訳ですな。日本の文化は良いものです……」


 そう、今はゲームの中も春ということで桜が咲き誇っている。ゲームだから微妙でしょ……なんて言わせないほどのクオリティ。


 下手したら花の鮮明さ、咲き誇っている量において現実世界を超えてしまっているかもしれない。花粉とかも感じないし。


 ……あ、そう言えば忘れがちなんだが、冥途の本名はロバートだし、ローラとかエミリーという名前から考えても日本人ではないのだろう。日本文化にあまり触れたことがないんだろうな。


 ……よし!


「じゃあ花見っぽいことをしよう!」


 花見なら休みにもちょうどいいしな。まぁ、正直小さな頃にやった以来であんまり詳しくないし、通ぶったことも言えないけども、楽しむだけなら誰にだって出来るはずだ。


「ほう、ではシルバー殿、よろしくお願いしますぞ」


 よしきた!了承も得たことだし、早速出発だ!



 ☆☆☆☆☆



「先ず、お花見には何かしらの食べ物を用意するといい」


「ほう、食べ物ですか。それはどのような食べ物を用意すべきなのですかな?」


 本当なら団子とかを食べるのが風流で良いのかもしれない。だが、そもそも花見というものは楽しむ為に行うものだ。決してお作法のために行うのではない。だから……。


「好きな物を用意するといいと思う。クッキーでも良いし、ガッツリお肉でも良い。本当に好きなものを用意すればいいと思う。大事なのはみんなと楽しむことだからな……特に無いならこの辺適当に見て選ぶか?」


「……ええ、そのように致しましょう」



 こんな会話をして適当にお店を覗きながらぶらぶらしている訳だが、案外楽しい。


 冥途は相も変わらずメイドコスチュームのままなので視線が集まるのは少し気になるところだが、冥途自身は意外とユーモアもあったりして楽しい。



 ……おい!誰だ今デートって言ったやつ!リードされてんねぇ、ヒューヒュー!じゃない!!


「ふむ、これは確かお嬢様の好みだった……。これはエミリーの好きな……。」


 まぁいい、そんな戯言は放っておいて、だ。冥途の奴、折角ローラに休みをもらったというのに、当人たちのことばかりを考えているようだ。本当に仲が良いんだな。結構結構コケコッコー(激うまギャグ)



 ……結局、冥途はローラとかエミリーが好きなお菓子とか食べ物を買ったようだ。確かにおいしそうなものが多い。良いセンスだ。


 ……というか買い過ぎじゃないか?明らかに二人分以上に買っているぞ。ゲームだから満腹にはならないとはいえ相当な量だ。もしかしたら俺が知らないだけで冥途は大食漢なのかもしれないな。


「それじゃあ食べ物も用意できたことだし、桜が良く見えるところの場所取りをしようか」


 ちなみに通路はみんなが通る場所だ。その辺で花見なんてしようものなら邪魔過ぎて怒られてしまうと思う。


 だからだろう、ちゃんと花見をするスポットは用意されている。しかもそこそこ広い。

 こんな場所は俺が知る限りなかったと思うんだが、このイベント専用に作られたのだろう。流石ゲーム。こういうのは現実ではできないからな。



「ふむ、ではこの辺りにいたしましょう」


 冥途の示した場所から辺りを見渡すと、確かに桜が良く見えた。それでいてそこまで人がいない。中々良い場所じゃないか。


「良いねぇ。それじゃあここにマットを引こう。座って食っていざ花見としゃれ込もうじゃないか」



 ☆☆☆☆☆



「……」

「……」


 二人で静かに桜を見つめ、時折美味しい食べ物を摘まむ。沈黙といっても悪いものではない。これが大人の楽しみ方なのかもしれないな。


「……」


 桜を最初に花と捉えた人は素晴らしい感性の持ち主だと思う。海外にまで桜が有名になるのもむべなるかなだ。


「……お嬢様に長らく仕えてきたこのロバートが思うのですが」


 ……?冥途が突然呟いた。どうしたのだろうか。


「お嬢様は今までほとんど私から離れたことがありません。ですので恐らく、休みを出したは良いもののそわそわしているはずです」


 ほうほうなるほど。俺なんかよりもローラといる時間の長い冥途が言うならば確かなのだろう。


「なので……こういうことですな」


「オーッホッホッホッホッホ!!ワタクシ、参上ですわ!!」


 冥途がまさにそう言った瞬間、どこで聞きつけたのか、ローラとその後ろにいるエミリーを発見した。


「えぇ、お嬢様。しっかりと休ませていただきましたぞ。それでここにお嬢様も好きなお菓子を用意しております。エミリーと共にいただきましょう。共に楽しむのがお花見というモノですからな」


 なるほど。そういうことか。大量に買い込んだ食べ物はローラとエミリーのためのものなのか。


「事後承諾で申し訳ありませぬ、シルバー殿。メンバーが増えましたがよろしいですかな?」


 そんなの勿論……。


「全然問題ない。寧ろウェルカムだ」


 静かだった花見は少し騒がしくなってしまった。でもまぁ、こういうのも悪くないかな。せっかくだから一期一会で楽しませてもらおう。

また完結させていただきます。番外編をもっと思いついたときにまた更新しますのでその時はよろしくお願いします。

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