VRMMOの最強PKプレイヤー
最終話です。本日2話更新をしていますので、まだもう一つを読んでいない方はそちらからよろしくお願いします。
思えば最初の出会いは事務的なものだった。課せられた職務を果たすため、会ったこともない人々に説明をする日々が続くものだと、あの頃の私は疑わなかった。
そんな味気ない日々を過ごさずに居られたのはあの人のお陰。その人は急ぐことも無く、高圧的に話すことも無く、私を一個人として扱った。名前も無かった私を。
それのどれだけ嬉しかったことか。私という空虚な存在は、その時初めて私になったのだと思う。
それからはあの人から目を離すことが出来なかった。そうしていると、あの人の行く先には色々な人がいた。良い人達も多かった。勿論、悲しいけれど進んで治安を荒らす人も居た。
だけど良い所も悪い所も全て含めて人間なんだと教えられた気分になった。私が勝手にそう思っているだけだけどね。
そうして人々を見ていると、気づいた時には私は人を好きになっていた。逆になんで人の良さに気づかなかったんだろうと今なら思う。
そう、私の全ての中心にはあの人が居た。PKをやりたいと言いつつも、無差別にやるのは気が引けて、結局人を守る為にしかPKが出来ない優しい人。
あの人は自分のことを凡人だと思い込んでいるようだけど、彼の周りに彼を凡人だと思っている人は居なかったように思う。
あの人は自分のことを強いとは思っていたけれど、決して最強だとは思っていなかった。けれど思い返せば、あの人は守るべき人が居る時、一度も負けていなかった。
それは最強と言っても過言では無いように思う。あの人にそれを言っても否定するだろうけれど。
あぁ、あぁ。あの人がこの世界に来てくれて本当に良かった。どうかあの人。いや、この世界に生きる人々、そしてこの世界を訪ねて来ている人々に幸がありますように!
「このアイリス、虹を意味するアイリスが、皆様の行く道に七色の輝きが待っていることを祈っています」
皆様、ここまで読んでいただきありがとうございました。私が遅筆なせいで、ここまで辿り着くのに二年半以上の年月が掛かってしまいました。
まだこの作品で描写されていないことや、アフターストーリーと言った番外編を書くかどうか悩んだのですが、ひとまず完結とさせて頂く決断を致しました。もしかしたら、しばらく経った後にその後の話や番外編を書くかもしれませんので、ブクマは外さないで居てくれるとありがたいです。
そして最後のお願いなのですが、出来ればこの作品に評価を頂けると嬉しいです。下にスクロールした所に評価する場所はあります。
……それでは皆様、またどこかで会う日までお元気で。