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仲間たち

どうも。本日は2話更新です

「どうしますか、シルバーさん」


 ルゥが尋ねてくる。ちなみに、エミリーに遠くから魔法であのあからさまな弱点を狙ってみて貰ったが、見事にその腕で防がれてしまった。魔法で狙撃するのは無理そうだ。


 まぁ、ポジティブに考えるならば、エミリーの魔法を防ぐ必要があるってことは攻撃を喰らいたくない。攻撃を喰らいたくないということは、弱点であると確信が得られた訳だ。


「……誰かが直接弱点を叩くしか方法は無いと思う。魔法じゃ狙えないんだし」


 それしかない。そして、この三人の中でそれが出来る可能性が一番高いのが……。


「俺だな」


 魔法も攻撃も全て躱す位のスピードが必要で、それを持っているのは俺だ。それに火力も結構あると自負している。


「シルバーさん、行けそうなんですか?」


 ……正直言ってこのままじゃ厳しいと思う。第三フェーズの邪神の攻撃は、俺のステータスでは目で追うのもギリギリで躱せる自信がない。


 そして一度邪神と殴りあってみたが、そっち方面もキツそうなんだよな。パワーアップする前で均衡状態って所だったし。俺にもう少しパワーがあれば受け流したり弾いたりできるんだが。


 スピードの差的にパワーアップ前と後で1.5倍位の差があるように思う。1.5倍は邪神ほどのステータスではかなりの上昇率だ。


 何かないだろうか。この状況を打破する様な何か。……何かないか何かないか何かないか何かないか何かないか……あ!!



 ☆☆☆☆☆



 俺の手にはとあるポーションが握られていた。これは五分間の間攻撃力を二倍にするアイテムだ。とんでもないアイテムだと思わないか?これを持っていたことをすっかり忘れていた。


 皆覚えているだろうか?これを手に入れたのは俺が初めてPKをした時だ。おばちゃんにお礼としてもらったんだっけか。


 たった五分だが、二倍という倍率はとても良い。というか良過ぎる。あの頃はよく分かってなかったけど、アレから結構経った今でも、この倍率を持ったポーションは見つかっていない。


「シルバーさん!頑張って下さい!私もエミリーちゃんもシルバーさんを援護します!」


 よし、応援パワーも貰ったし、もうやるしかねぇよな。ゴクゴクとポーションを飲み干し……突撃!!


『ゴゴゴゴゴ!!!』


 辺り一帯のプレイヤーを根こそぎ撃破した邪神は、改めて襲いかかってきた俺を観察し、吠えた。


 どうやら自分を殺しうる力を得た人間が近づいてくるのに恐怖を覚えたらしい。全力で腕を伸ばし、襲いかかってきた。


「うら!おら!っせーい!!」


 流石二倍ポーション。これが最強ドーピング。飲む前なら確実にワンパンされていたであろう邪神の薙ぎ払いを剣で斬り飛ばすことに成功する。


 少しずつ……少しずつ……近づいていく。


「クソっ!?」


 一本ずつでは対処出来ないのがわかったのだろう。両手じゃ数えきれない程の腕をこちらに伸ばして来た。……まずい。凌ぎきれない!


「ほっほっほ、シルバー殿。今お助け致します」


 まさにその時、そんな声が聞こえたかと思うと、俺を狙って居たはずの腕は全て在らぬ方向へ向かって言った。


 その場所に居たのは冥途。なんとも恐ろしいことに、腕の攻撃を全てその自慢の盾で防いでいる。


「これが私の盾、護り方でございます。さぁ、先に行ってくださいませ。私もいつまでこうして居られるか分かりませんぞ!!」


 何故ここにいるのか。このままにしておいて大丈夫なのか。色々言いたいことはあるけれど、俺が前に進むことを冥途は望んでいる。……行こう。


 俺は冥途を置いて前へ走り出した。


「ゲゴゴゴゴゴゴ!!!」


 腕で防げぬならばと、一体どこに隠していたのかと言いたくなるほどの大量の眷属を邪神は生み出した。クソ、コイツらに構っている暇はないが、切り抜けるには道が無さすぎ……!?


「オーホッホッホ!!わたくし、参上でございますわ!!」

「わ、私もですぅ!!」


 なんとその時、エミリーとローラが俺の所までやって来た。……上から。恐らく魔法で飛んで来たのだろう。


「わたくしとエミリーの合体技をお見せしましょう」


 ローラはそう言うと、エミリーと手を合わせ、呪文を唱えた。


「「炎獄竜巻(ヘルフレアハリケーン)!!!」」


 ローラの炎の圧倒的火力。それにエミリーの風が合わさることにより竜巻状の炎となり、周囲の敵を吸い寄せながらどんどん拡大していく。そして……!


「オーホッホッホ!!お行きなさい、シルバー。あの美しくない邪神にトドメを刺せるのは貴方だけですわ〜!!」

「行ってください!私も応援してます!」


 炎が消えてなくなった時、俺の邪魔となるモノは何も存在していなかった。二人に感謝を伝え、再び走る。


『ゲゲゲ!?ゲゴゴゴゴゴゴ!!!』


 邪神は驚きと怒りを隠しきれないまま、それでも俺を近付けさせないために力を貯め始めた。


 ……どうする!?このまま進んだら俺の身体は爆散してしまう。一旦下がってそれから……?


「シルバーさん!そのまま前に進んで下さい!!」


 ルゥの声が聞こえた。前に進め。それは今の状況では死を意味する言葉だ。……だが、適当な誰かではない、ルゥが言っているのだ。彼女は信頼できる人間だ。つまり……。


「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」


 突っ込む!!


「信じてくれてありがとうございます!そしてこれが、私なりの、助け方!」


 ルゥの言葉と同時に俺の頭の辺りに何か液体が掛かった気がした。そしてその瞬間、邪神は力を解き放った。


 俺の視界が真っ白になり……しかし五体無事に俺は大地に降り立った。全くのノーダメージで。凄いな。


「それは私が行商人をする中で手に入れたレアアイテムです。私が行商人を始められたのはシルバーさんのお陰だから惜しくありません」


 うっう……お兄ちゃん泣いちゃうよ?最近感動の雨嵐じゃん……。


「私じゃあの邪神に太刀打ちできないから……行ってください!シルバーさん!」


 ルゥにここまで言われたら。ルゥにここまでお膳立てされたら。頑張るしかない。やるしかない。


『ゲゴゴゴゴゴゴ!!!ゲゴゴゴゴゴゴ!!!』


 邪神が幾ら吠えようとも、もう邪魔は入らない。俺は剣を邪神の弱点へ向け振り下ろす。


『ゲゴゴゴゴゴゴ!!!ゲゴゴゴゴゴゴ!!!』


 俺だけでも巻き添えにするためか。弱点を斬るのと同じタイミングで、弱点から黒い光が漏れ出し、俺の身を焦がす。


 みるみるうちに俺のHPが減っていくのが分かる。……が、今引いたら邪神を仕留めきれないかもしれない。邪神は俺が倒す!!


 おおおおおおおおおおおおおお!!!



 ☆☆☆☆☆



「シルバーさん!シルバーさん!」


 ルゥの呼び掛けで目が覚めた。気づいた時、俺は空を見て仰向けに倒れていた。辺りを見渡すと、いつもの仲間たちが俺の事を見つめていた。


 更に横を見ると、邪神が地に伏して倒れていた。今なら分かる。あれは死んでいると。


 そして気づく。俺が持っていたピィちゃんのお守りが無くなっていたことに。……俺が邪神の道連れ攻撃を受けて生きていた理由に。


 恐らく俺の命をピィちゃんのお守りが守ってくれたんだろう。あぁ、本当に今回は全員が協力して掴めた勝利だ。なら、いつもの通り、叫ぶとするか。


「俺たちの勝利だぁぁぁぁぁぁあ!!!!」

「「「「わぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」」」」

本日24日の正午に最終話を更新します。

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