これが俺の仲間たち
どうも。私は元気です
「オーホッホッホ!!わたくし、久しぶりの登場ですわ!!」
「つまり私も久しぶりの登場と言うわけでございます」
「え、ええと……わ、私も登場ですぅ!!」
個性の塊が俺へと襲い掛かる。上から順番に(THE・お嬢様ローラ)(行き先は地獄ですか?冥途)(ドジっ子メイドで彼らの良心エミリー)だ。……おっと、突然のことでみんなを置いて行ってしまったな。俺は今、魔王の根城を離れてギルドハウスにいるんだ。
「あ、シルバーさん!それに皆さんも!ちょっと遅れちゃいましたか?」
そしてルゥも来たみたいだな。一応、俺たちが早く来ただけなので問題ないという旨のことをルゥに伝えておく。細かい気遣い大事は大事だぜ。
そう言えばみんな自由にこのゲームを楽しんでいるので、実はこのギルドハウスに全員が集合したのは久々なのかもしれない。
まぁ、このギルドハウスは内装が滅茶苦茶豪華だし、居心地もかなり良いので、個々人では時々利用してはいるのだけれども。
……それにしてもルゥは昔と比べて堂々としてるな。昔は本当に幼い喋り方で、自分にも自信を持てない感じだったが、このゲームが良い影響を及ぼしたらしい。
あの時ロリコンと見間違えられてたけど、それでも手をさしのべられて良かったと今ならそう思える。
「ちょっと!あちしのことを忘れてない!?」
俺が少し昔を思い出して感慨深くなっていると、ちょうど下の方から声が聞こえてきた。下を見てみると、そこにはハムスターみたいに小さな妖精がフワフワと浮いていた。
……わ、忘れている筈がないじゃないか。おほほほほほ。……はぁ、すみません。正直言ってオールスター的な感じでみんなが集まっていたインパクトで忘れてしまっていた。
この小さくて可愛いい妖精はペット……ではなく俺たちのギルドハウスを管理しているピィちゃんだ。このギルドワールド内でしか居られないが、中々に凄い力を持っていて、この今居るギルドハウスを作ったのも彼女だ。
「大丈夫、忘れてないよ、ピィちゃん!」
「はぅわぁ、相変わらず可愛いですぅ」
ルゥとエミリーの二人はしっかりと覚えていたようだ。だいぶ前に会った時もメロメロになっていたからな。ピィも立派な仲間なんだから俺もポカをやらかさないように気を付けよう。
「オーッホッホッホッホッホ!お集まりいただき大変感謝なのですわぁ!!今日は一週間後の打ち合わせをしますわよ!」
そう、この個性あふれるメンバーが集ったのは他でもない、一週間後に復活すると報せられた邪神ガガギググについて話し合うためだ。
……ちなみに話し合うことを提案したのはローラだ。流石お嬢様、そのコミュ力、見習いたい。
「邪神が復活して襲うとされているのは、わたくしたちもよく知っている始まりの街ですわ。世界を滅ぼすのが目的としているぐらいですから、下手を打つと街がロスト、それだけでなく本当に世界が滅茶苦茶にされてしまうかもしれませんわ!!」
大げさに聞こえるかもしれないが、ローラの言うことは別に間違っていない。このゲームではNPCが復活することは特例を除いて無いということが証明されている。つまり、町が滅ぼされればそのまま廃墟になる可能性が高い。
勿論、そのままではゲームが成り立たないので何かしらの措置が取られる可能性もあるが……運営はその辺りを明言していないので、その可能性に賭けるのは怖いというのが俺の感想だ。
「そしてシルバーから聞きましたけど、邪神は眷属を使っていたという情報が入ってきましたわよ!!つまり、邪神のみを倒せばよいというわけではなく、眷属の方も何とかしなくてはならないということなのですわ!!」
ちゃんと手に入れた情報は仲間に共有しておく。この辺りは現実社会と同じで、報連相は大事だからな。
ちなみに、この情報は俺たちだけが持っていても意味がないということで、冥途が掲示板に情報提供したらしい。……こういう所から分かる通り、冥途はガチで有能なんだよな。見た目のインパクトが凄いだけで。
「纏めると、わたくしたちの敗北条件は街を滅ぼされることなのですわ。結局のところどれだけ邪神をボコボコにしても、眷属に街を滅ぼされてはわたくしたちの負けなのです」
全くもってその通りだ。絶対に街を滅ぼさせてはいけない。俺だって街に知り合いはいるんだ。何とかして守らないと。
「しかし!しかしですわ!!守ってばかりでは勝てないのも事実。よってわたくしたちを二つのチームに分けますわ!!」
おお!小さい頃の学校だったら絶対に嫌だったチーム分け!!このメンバーなら大丈夫だ。……俺だけ一人なんてことないよね?
「先ずは町を護る雑魚殲滅チーム!これは攻撃範囲の広いわたくしと、そのわたくしを護るロバートの二人で行きますわ」
ローラとロバート、つまり冥途か。……ん?と言うことは?
「お嬢様!私は!?」
そうだ、エミリーはそっちのグループじゃないのか。あの三人はいつも一緒にいる筈なのに。
「エミリー、貴女はそっちでシルバーとルゥをその得意の回復魔法で護るのですわ!こっちなら大丈夫。雑魚ばっかりですもの。それよりもエミリー、貴女の活躍に期待してますわよ!」
確かに雑魚しかいないのなら回復が出来るエミリーはこっちにいた方がいいのか?でも本人は大丈夫なのだろうか。
そう思って横を見たが、どうやら杞憂だったらしい。エミリーは俺が思うほど弱くなかった。彼女はもう切り替えたらしい。強いな。
「よろしくお願いしますぅ!!」
「はい、よろしくお願いしますね」
「あぁ、よろしくな」
元気もたっぷりだ。これで、街を護るチームのローラと冥途、そして邪神を倒しに行くチーム、俺、ルゥ、エミリーと出揃った訳だ。
「あちしもみんなに特製のお守りをあげるよ!頑張ってきてね!」
ピィちゃんもお守りを一人一個ずつ作ってくれたらしい。これは頑張らなきゃな。
「さぁ、勝負は一週間後。絶対に町を護って見せますわ!我ら、友情の花畑!ファイト――!!」
「「「「「「「おーーーーー!!!!!!」」」」」」」
世界的にはピンチなのだろう。戦いはきっと大変なものになるのだろう。だけど、そう、あれだな。
……燃えてきたぜえええええええええええええ!!!
本編完結は近いです。私の執筆速度が速ければ今月中には完結いけるかもしれません