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魔王ちゃん奮起の物語

どうも。さすがに連続更新続けるのは無理でござった

「そこで妾は考えた。奴を倒してやろうと。しかし、先ほども言ったが当時の妾には力が足りなかった。よって頭を使うしかなかったのだ」


 頭突きで?


「そうそう、妾の頭を使ってガガギググをボコボコに……って茶化すでない!妾はいっぱい考えたのじゃ」


 ほうほう、考えたと。俺が思うに、魔王ちゃんは一見おバカそうに振る舞っていても本当は賢い。いったいどんな結論を導いたのか聞いてみよう。


「そこで思い付いた。誰かの手を借りれば良いのだと」


 あれ、思ったより単純だな。……いや、そうでもないのか。当時魔王ちゃんが最強ではなかったとはいえ、かなり強かったであろうというのは想像するに難くない。


 そして強い奴は誰かの力を借りようとしても、プライドが邪魔してうまくいかないことが多い……とマンガや小説で学んだ。魔王ちゃんが柔軟な思考をしているからこそ、その結論に至ったんだろうな。


「しかし、邪神ガガギググは恐るべき能力を持っていた。それは……」


 それは?


「自らの眷属を生み出す能力。そしてもう一つはこの世界で生まれた者。それらからほとんどダメージが効かないというモノだ」


 は?……は?一つ目はともかく、二つ目はやばくないかそれ。例えば師匠もこの世界で生まれているから、その邪神ガガギググに攻撃が通らないってことだろ。

 ……あ、もしかして魔王ちゃんが協力できないって言うのはそういうことか?


「協力できないのは、また別の話じゃ。それはまた後で話すとして、話を戻させてもらうぞ」


 あ、そうなのか。了解した。


「協力を求めたとしても、この世界の者では頼りにはならん。精々が肉壁だろう。ならばどうするか。その答えは妾の目の前にある。そう、お前じゃシルバー」


 え?俺?……どういうことだ?


 俺はピンと来なかったが、どうやら師匠は分かったらしい。


「その邪神とやらには儂の様なこの世界の者では攻撃が通用しない。そしてカギとなるのはシルバーの様な次元人。つまりそういうことか」


 ……ああ!そうだ。何を呆けてるんだ。俺は次元人じゃないか!……なるほど。魔王ちゃんは昔の次元人の協力を得たんだな。……うん?それってなんかどこかで聞いたことがあるような話だな。


 そうだ。絶対にどこかで聞いたことがある話だ。俺が何とか思い出そうとしていると、再び師匠が口を開いた。


「冒険者ギルドの開設の話に類似しているな」


 そ、それだー!!えぇと……聞いたのは確か俺がゲームを始めて本当にすぐの所だったから忘れてる人も多いだろうし、冒険者ギルドの開設の話を簡単に説明するとしよう。


 たしか『大昔にモンスターがいっぱい現れる魔物氾濫(スタンピード)が発生して大変な状況になったけど、それを突如現れた二人の次元人が解決し、冒険者ギルドを創った』……だったか。


 なるほど。邪神の話はこのギルド開設話の中には存在していないが、モンスターがいっぱい現れたというのは、恐らく邪神の能力である眷属を創り出す奴のことだろうか。

 そう考えると辻褄が合うな。


「おぉ、ニンゲン共の間ではそう語り継がれておったのか。邪神を歴史の闇に葬り去るだけならまだしも、協力してやった妾を省くとは、その物語を考えたやつはセンスがないのじゃ」


 それはまぁ、ドンマイって感じだな。頑張ったのに功労者の一員として名前も出てこなかったら、オレだって文句の一つや二つ言いたくなるだろう。


 頑張りには報いや労いが必須だからな。人のやる気なんて余程の欲求や熱意がない限り、報酬が無ければあっさりと消失してしまうのだ。


「まったくじゃ。その次元人も妾が召喚したというのに」


 ……え?今なんかとんでもない情報出てこなかった?魔王が次元人……つまり勇者みたいなもんだよな。


 それを世界を守るために召喚したってマジか。それだけでなんか一本小説書けちゃいそうな内容なんだけど。


「その後、その召喚した二人の次元人と協力し、ガガギググを倒そうとしたんじゃが、悔しいことにあの時の妾たちでは力が足りんかった。今なら妾一人でけちょんけちょんなんじゃがな」


 衝撃の事実。冒険者ギルドの話を思い出すに次元人の二人も決して弱くはなかったはずだ。それでも足りなかったのか。


「そこで、妾は自らを不利な契約に持ち込むことにより、奴を封印したのだ」


 そういう展開か。不利な契約に持ち込むって所がよく分からないが、何かを代償にすることで何かを成し遂げられることは多々ある。魔王ちゃんの話もそういうことだろう。


 しかし、いったいどういう契約をしたのだろうか。


「その契約とは、『妾がもう二度とガガギググ相手に"直接"楯突くことが出来ぬ』というものだ。契約は不思議なものでな、『絶対』や『必ず』という言葉を入れることでより強力なものになるのじゃ」


 なるほど。魔王ちゃんが協力出来ないというのはその契約のせいか。……うん?直接?


「うむ。直接戦えんだけじゃ。後方支援は任せておくがいい。それに……なんじゃ、あまり気に入らんがアイリスにも頼まれておるしな」


 え!!アイリス!?アイリスってあのアイリスだよな。魔王ちゃんと知り合いでもあるのか!


「まぁな。前まで名無しじゃったのに、アイリスという名前を手に入れて浮かれとるあの新米小娘なら知っておる。ガガギググの復活を知らせてきたのも彼奴じゃからな。恐らくもうすぐ次元人全員に復活を知らせるのじゃろ」


 アイリス、浮かれてたのか。……もう想像するだけで可愛いな。姿を直接見たことないから完全に想像の中の話だけど。


 ……ん?


 ピロン♪


 あ、滅茶苦茶都合良いタイミングで来たな。早速確認してみよう。

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