おや?
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やぁ、師匠と魔王ちゃんに見事と褒められて少し嬉しくなっているシルバーだ。
紆余曲折(師匠の無双)あって最下層まで無事に辿り着いた訳だが、どうなのだろうか。こう、なんというか……このまま終わるとは思えないんだが?
「うむ、では改めて……挑戦者よ!よくぞ妾のダンジョン、魔王の根城の最下層まで辿り着いた!その力、知恵、そしてその勇気を讃えようではないか!」
そう思っていると、魔王ちゃんが語り始めた。
いやぁ、すげぇな。いまいち実感が湧いてなくてふわふわしてしまっていたが、こうして面と向かって言われると、ここまで来たんだなって思えるな。
そして師匠はというと、この程度当然とばかりに佇んでいる。なんて貫禄!なんて渋さ!そしてなんて強いイケおじなんだろう!憧れここに極まれりだ。
「そしてここまでやって来たお前たちに妾直々の鉄槌を下してやろう……と言いたいところじゃが、まさか妾の作ったダンジョンがこんなに簡単にクリアできると思っておらんじゃろうな?」
ん?なんか不穏な感じになってきたぞ。先程魔王の根城の最下層まで辿り着いたことを魔王ちゃんが自分の口で直接言ったばかりじゃないか。
ま、まさか……クリアできるはずないと思っていたダンジョンが、バランスブレイカーことバケモノ師匠に簡単にクリアされたことが悔しくて滅茶苦茶言ってるんじゃ……。
「な、なんじゃ。その少し憐れみを持った目は。別に妾は呆けておらんし滅茶苦茶言っとるわけでもないのじゃ!!」
そ、そうか。それならいいんだ。……いや、クリアしたと思たらクリアできてなかったって割とショックだけどな。
それにしても魔王ちゃんのことを少し残念な感じで見てしまうのは、見た目が幼い子だからかもしれないな。少し偉そうなのも、ちょっと背伸びしてるみたいな感じで、こう……兄心?みたいなものがくすぐられるからな。
「クックック、魔王の根城が難関ダンジョンとは真実である。他の雑兵ダンジョンに負けておるとは思っておらんし、魔王らしく楽しい理不尽も入れさせてもらった」
うんうん。それは俺が事前に軽く収集した情報と一致しているし、実際にダンジョンに挑んだ俺が実感していることだ。それでそれで?
「しかーし!誰がそういったダンジョンを一つしか作っていないと言った!!!少なくとも妾は言った覚えはなーい!!」
た、確かに運営だってこのダンジョン、魔王の根城がかなりの難易度だとは言っていたが、そういったダンジョンが”別には存在していない”とは言っていない。
だが、そんな言葉遊びみたいなことがあるのか?……いや、あるんだろうな。魔王ちゃんは自分も言ってるが理不尽なところがあるしな。
まぁ、それでも漫画とか小説でよくある魔王と比べれば滅茶苦茶優しくて親しみやすいけどな。あと可愛いし。
「そう、この魔王の根城は言わばお試し。弱き者共をふるい落とす為のもの。本当の妾の本気のダンジョンは更にこの下にあるのじゃ。」
な、なんだってー!!……まったく、とんでもなく恐ろしい話である。魔王ちゃんの言うふるい落とす為のものでアレだけ苦労したのだ。
正直言って今の俺に攻略できる気がしないんだが。それこそ、師匠が居たとしても。……いや、師匠なら何とかなるのか?……うーん。
「その名も!『魔王ちゃんの蹂躙部屋』じゃ!!……それで、どうするのじゃ?お前たち二人は強い。このまま連れて行ってやって絶望を見せてやっても……んにゅ?」
魔王ちゃんの蹂躙部屋というとんでもない名前が公開され、そのまま挑むのかどうか聞かれている最中、魔王ちゃんが突然固まった。
どうしたものかと師匠と顔を見合わせていると、魔王ちゃんが少しシリアスな顔をし始めた。その後少し苛立ちを感じるような顔をしたかと思うと、突如こちらに向き直り、こう口を開いた。
「ちょっと中断じゃ。その代わりと言ってはなんじゃが、ちょいと大変なことが起きた」
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