おや、盾の様子が・・・
今回鍛冶屋の彼女の名前が発覚します。
感想の方に書いていただいた方々、本当にありがとうございました。
道具屋から歩いてくるだけなので、流石にトラブルは起きなかった。ふっ、俺はトラブルメイカーでは無いからな。仕方ないね。ん?ウソダドンドコドーン!と聴こえた気がするけど、気のせいだ気のせい、そうだ、そうに違いない。
よし、じゃあ入るか。俺は暖簾を分けて、中に入った。中は変わらず熱かった。そしてまた人がいない状態だった。よくこれで泥棒とかに入られないな。・・・まぁ、現地人は仲が良さそうだし、プレイヤーも今の所泥棒しようなんて奴は居なさそうだな。チンピラは居たけどあれはある意味特別だろう。よし、じゃあまた最初のように呼ぼうかな?俺がそう考えた時、そんな必要は無いと言わんばかりの足音が聴こえてきた。どうやら呼ばなくても良さそうだ。
「あ、いらっしゃいませ。え〜と、そういえば名前を聞くのを忘れていました。名前を聞いてもよろしいでしょうか?」
名前を答えるのも吝かではない。というより、これは彼女の名前を自然な流れで聞くチャンスだ!俺は、このビッグウェーブに乗るぜ!
「えっと、俺の名前はシルバーです。貴方の名前も聞いていいですか?」
「シルバーさんですね。はい、覚えました!私の名前ですか?勿論いいですよ。私の名前は・・・」
名前は?
「ヘスティアと言います。少しそのままだと呼びづらいのでティアとお呼びください」
ヘスティアか・・・確かギリシア神話に登場する炉の女神の名前だったか。うん、鍛冶屋の彼女に相応しい良い名前だな。紅炉というように、赤い色の髪の毛ともマッチングしているぴったりな名前だ。
「それじゃあティアさんと呼ばせてもらおうかな。それでティアさん、盾の方はどうなっていますか?」
俺はもうドキドキだ。綺麗な彼女のあだ名を呼ぶのもドキドキだし、盾がどうなっているかもドキドキでもう心臓がメガンテしそうだ。俺は今顔が赤くなってしまっていないことを願っている。ドキドキしてるってバレたらもう眠れなくなりそうだ。
「盾の方はバッチリ出来てますよ!私の自信作です。こんなアイディアをくださりありがとうございます!といっても、内緒にしておいて欲しいですよね、これ」
ん?どういうことだろうか。守秘義務みたいなものかな?
「どういう意味か分からないと言いたそうな顔をしていらっしゃいますね。説明しましょう!」
よし、結構詳しく、具体的にいえば三十分くらい説明、時々脇道に逸れた話をして貰ったので、俺なりにまとめよう!え?結構話が長かったからしんどかったんじゃないかって?とんでもない。綺麗な人と話していられるってのは、常に俺のHPにリジェネ(ジワジワと体力が回復していくようなもの)が掛かってるようなものだ。我々の業界ではご褒美です!と言うような変態じみたことを言うつもりはないが、楽しかったとだけは言っておこう。
え?お前もまた話がどんどん脇道に逸れてるって?そ、そんなことないんだぜ。今から話そうと思ってたんだぜ。弾幕はパワーだぜ。・・・よし、じゃあ話すぞ!
ティアさんが言うには、この盾に攻撃力を付与するというアイディアはこの自由なゲームでもいまだ試されたことのない初の試みだ。というより、そもそも盾で殴るという考えをした人なんていないらしい。しかし、盾に攻撃力を付けられるということを知った人がそれを実践してしまう場合、次元人、つまり俺たちプレイヤーが喜ぶ独自性、オンリーワンの戦い方が広まってしまい、他者に対するアドバンテージが失われてしまう。それをティアさんは防ごうとしているのだそうだ。
具体的には職人ギルドの制度を使用するらしい。職人ギルドの制度には現実世界と同じ特許が存在しているらしい。特許とは、現実世界であれば結構ややこしいものなのだが、このゲームではかなり簡略化されているらしい。このゲームでは特許は職人ギルドが認めた道具や武器防具などのアイディアを保護し、他者が使うには、その特許をとっている者に許可を取らないといけないようになっているらしい。因みに今回の特許の権利の持ち主は俺だ。他の人が手に入れるには俺との交渉が必要となる。
ティアさんはその特許を取るかどうかの話をしているらしい。さて、どうしようか。
「取り敢えずその盾を見せてもらえませんか?それを見てから考えたいと思います」
「そ、そうですよね。それじゃあ盾を持ってきますね」
さて、どうなっているのだろうか。少し、と言っても本当に少しの一分ほど待っていると、ティアさんがおそらく俺の盾であろう物を持ってきた。・・・なぜなのだろうか、俺は一本しかホーンラビットのツノは持ってこなかったはずだ。それなのになぜ俺の盾からは大量のツノが生えているのだろうか。それにこれじゃ受け流すことは絶望的だ。なので俺がこれからどういうスタイルで戦っていこうか考え始めた時、神は舞い降りた。
「この盾は今アタックモードなんです。普段使いの、普通の盾としての使い方をする際にはディフェンスモードにしていただきます。どうぞ、試してみて下さい」
俺はそんな神の言葉に従い、盾を恐る恐る装備した。ディフェンスモードになれと念じてみる。おや、盾の様子が・・・・・・なんとトゲトゲだった盾は魔法のように変化し、元の見た目の盾になった。おい!Bボタン連打したやつ出て来い!・・・いないか、いないよな、俺が本当に悩んでた時にそんなことする外道なんかいないよな。
今度はアタックモードになれと念じる。・・・トゲトゲが復活した。はは、なんてすごい機能なんだ。凄すぎるだろ。盾の能力値を確認してみる。攻撃力が3追加されていて、何故か分からないが物理防御力も2追加されていた。やばいやばいやばい、こ れ は
「特許を取ってほしいです本当に思ってたよりすごいですいや凄すぎますありがとうございます!」
思わず早口になってしまった。
「は、はい。それでは特許をとってきますので、店を今日は閉じさせていただきます。絶対に他の人には真似させませんので安心してください」
その言葉にまた俺は感謝の言葉を述べ、俺は盾の力を試すために再び初心者用ダンジョンに向かうのだった。
古代ギリシア語かっこいい名前多すぎですね。前書きにも書きましたが、募集の方に答えていただいた方々、本当にありがとうございました!ヘスティアで決定させていただきました。良い名前も多く、悩んでしまいました。
そんな小説ですが、応援してくれる方はブックマーク、評価、勝手にランキングの投票お願いします!特にブックマークはして頂くと、この投稿が気まぐれな小説がいつ投稿されたかわかるようになります!
長文でしたが、読んでいただいた方は、ありがとうございました。