「は?」と言いたくなることだってある
約1ヶ月ほどサボってました。
「俺はシルバーだ。よろしく」
は?何を言っているんだお前は。ふざけるのもいい加減しろよと言いたくなる。……が、どれだけ現実から目を逸らしても何も変わらない。
何度見てもそこには俺が居た。さっきも言ったが、同じ顔で同じ装備の俺だ。客観的に聞いたことがあんまりの無いので自信はないが、恐らく声も同じはずだ。
……と、ここまで考えたところで、ふと周りを見渡してみた。……なんとなく分かっていたことではあったが、やはり師匠がいない。
ここはやはり師匠も俺と同じような状況に陥っていると考えて間違いないだろう。師匠と師匠が向き合っている図……直接見てみたい。
閑話休題。取り敢えず師匠よりは今の俺の状況について考えないとな。先ずは俺(仮)との対話を試みてみよう。
「は、ハロー。こんにちは!どーも。……」
だ、ダメだ。無視された。自分との会話なんてどこかの宗教でありそうなこと、俺には出来ない……!
というか自分相手にどうやって話しかければ良いんだよ。こんなの俺の必殺コミュニケーション(弱)でも太刀打ち出来るわけないよ。
でもいきなり斬りかかるのはなぁ。一応イケメンな俺の顔をしてるんだし。イケメンな顔してるんだし!!!
「俺はシルバーだ。よろしく」
うわ、ビックリした。突然喋るならそう言ってくれよ。……まぁ、無理な話か。
というかコイツ『俺はシルバーだ。よろしく』しか言わないのか。あんまり賢い訳では無いのかな?ちょっと壊れたラジオみたいでおもしろ怖いな。……って、ん?
「俺はシルバーだよろしく俺はシルバーだよろしく俺はシルバーだよろしく俺はシルバーだよろしく俺はシルバーだよろしく俺はシルバーだよろしく俺はシルバーだよろしく俺はシルバーだよろしく俺はシルバーだよろしく俺はシルバーだよろしく」
いや怖い怖い怖い怖い!!ホラーはお呼びじゃないんですよ!!俺の顔でホラーするのやめてもらいたいですねぇ!!!
「俺はシルバーだよろしく俺はシルバーだよろしく俺はシルバーだよろしく!!!」
うわ!?俺の偽物が突然斬りかかってきた。シルバーは不意を突かれた……じゃない!!調子に乗るんじゃねぇぞ。俺の心臓をバクバクさせたからって勝てると思うな!!
俺の偽物の攻撃に合わせて、その手に持っている剣で応撃し、鍔迫り合いのような状況に持ち込む。
傍から見れば鏡に映った自分に向かって攻撃しているような間抜けに見えているかもしれないが、戦っている俺はそんなお気楽にはいられない。というより……。
「いやちょっと強くないですかね!?」
強い。時々敬語もどきが飛び出してしまう程怖いし強い。
そりゃ、この手のコピーしてくるタイプの敵はステータスまで丸パクリしてくることがほとんどだから、強敵なのは当然だと思う。
少し刃を混じえただけだが、戦い方も恐らくほぼ同じだ。だったらこの戦いは必ず拮抗する筈。……なのに。
「俺はシルバーだよろしく俺はシルバーだよろしく俺はシルバーだよろしく俺はシルバーだよろしく俺はシルバーだよろしく!!」
「ぐぅっ!?」
何故か押されている。相手の勢いで押されているのでは無いかと言われると完全に否定する事は出来ないが、明らかにそれだけではない気がする。
俺より少し強い。雑に元の俺のステータスに多少の倍率がかけられているような気がする。
こ、このままでは……。