悔しいけどカッコイイ
どうも!!
「がーはっはっは!!さっきは悪かったな、シルバー。ティアにも注意されちまった所だし、これからはティアにキモいって言われないような理想の父親目指して頑張るからよ、応援頼むぜ!!」
…どうやらティアの謝罪というか、励ましが想像以上に効いてしまったらしい。おっちゃんが明らかに元気になっている。いや、元気になり過ぎている。
まぁ、元気なのは悪いことじゃないので別に良いんだが、ちょっと煩いな。
「お父さん!うるさい!!シルバーさんをこれ以上の困らせないで!……ごめんなさい、シルバーさん。お父さんが年甲斐も無くはしゃいじゃって…」
「いやぁ、すまんすまん。今はめちゃくちゃ気分が良いんだ。そろそろ大人しくするから許してくれよ、な?な?」
そんなに被害を被った訳でもないし別に問題無いという旨を伝える。おっちゃんも悪い人ではないからな。今回ばかりは庇ってあげよう。まぁ、次は庇いきれないかもしれないけどな!!
「それでシルバーさん。今回いらっしゃったのは前回依頼したアレを受け取る為ですよね?」
無駄話はそこそこにしておいて、ティアが本題を切り出した。
「あぁ。アレを頼む」
俺も勿論アレを受け取る為に師匠と合流する前にここに来たんだ。そうでもなければ遅刻癖でも無い限り、こんな予定ギリギリには来ないだろう。
「わかりました。出来栄えはバッチリですから楽しみにしておいて下さいね」
そこまでいうならますます楽しみだ。……え?勝手に話を進めるな?何の話をしているのか全く理解出来ないって?
そりゃそうだ。だって説明してないんだからな。でもでもでも、ここまで来たら説明するのも野暮ってものだ。せっかくなら実物を見てもらうことにしよう。……決して説明するのが面倒だったわけじゃないからな?
「それではアレを取ってくるので少し待ってて下さい」
そう言ってティアは鍛冶屋の奥の方に消えていった。こうして待っている時間は、まるで旅行前に何処に行こうかと計画を練っている時みたいなドキドキワクワクの時間だ。
「シルバーよぉ、今回はティアの会心の出来だぜ。あれ程のモノを作ることが出来る奴はそうそう居ねぇだろうよ。……見た瞬間腰抜かすんじゃねぇぞ?」
おっちゃんがここまで言うほどの出来か。腰を抜かしてしまわないよう、しっかり心構えをしておかないとな。……お、ティアが戻ってきたみたいだ。
「はい、お待たせしました。こちらが例のアレ、シルバーさんの新装備です!!」
そう、新装備。俺がティアに頼んでいたのは新装備だ。素材はズバリ、この前倒したゴーレムの体。ダンジョンの二周目で無いと出てこない博士が使役していたゴーレム。素材としてバッチリだとは思わないか?
「今回はすべての装備を一新するとのことで、シルバーさんのトレードカラーとも言える銀色を基調に仕上げてみました。もちろん盾も今までと同じ仕様にしてありますので、強化されつつも今までと同じように使えますよ!」
そしてなんと!俺の二つ名の銀の守護者(忘れてる人が多そうだけど)にも合いそうな銀色に仕上げてくれたようだ。ブラボー!!盾も今までの仕様をひき継いでくれてるなんて天才だろ。
しかもあのゴーレムと同じように、鎧、剣、盾に至るまでカッコイイ紫の光を放っている。……控えめに言って神か?俺の厨二心が刺激されて仕方ない。
「がーっはっはっは!!何回見てもかっけぇな。さっすが俺の自慢の娘が創った装備だ。……っと、シルバーよぉ、勿論ここで装備していくよな?」
流石おっちゃん。ゲームのお約束ってものを分かってるな。勿論イエスだ。というわけでお着換えタイム!!みんな覗かないでね?……キモいって言わないで!!
(青年お着換え中……青年お着換え中……)
ドン!!ドン!!バーン!!
圧倒的カッコ良さ!!圧倒的着心地!!圧倒的性能!!素晴らしい。この装備に切り替えた瞬間、俺のステータスがまるで鯉がドラゴンになるかの如くグングン上昇した。これは凄いぞ。
新装備を身に纏い、新しい力を手に入れた俺はもはや今までのシルバーではなくなってしまった。そう、これからは!
「新シルバーだ!!」
「「……」」
…アレ?さっきまで新しい装備を披露してイイ感じに盛り上がっていたはずの鍛冶屋の空気が、俺が今の発言をした瞬間悪くなったような気がする。
「…あれだな、シルバー。お前絶妙にネーミングセンスがねぇんだな。そのかっけぇ装備を身に纏ってそれかよ」
前々から少し思ってたけど、俺ってガチでセンスないのか?
「まぁまぁ、私はシルバーさんのそういうところも好きですよ?それにそう言うならお父さんがそれっぽいモノを考えてみたらどうですか?」
ティア様!!そういうところホント好きです!!汚れた心が洗われる心地です…。シルバーです。
「はぁ?……そうだな、前は銀の守護者とか呼ばれてたんだろ?だったら紫電の銀騎士とかでいいんじゃねぇのか?別に電気が流れてるわけじゃねぇけどよ、そう見えるだろ?」
…クッ、畜生!!おっちゃんが考えたくせに!!滅茶苦茶カッコイイじゃねぇか……うわーん!!
…戯れるのはそこまでにしておいて、そろそろ師匠の所に行ってくるからお暇させて貰うとするか。ありがとう二人とも!!
…そうして俺は二人の笑顔を背に師匠の元へ旅立った。待ってろよ!魔王の根城!!この俺、紫電の銀騎士シルバーが行くぜ!!……結構気に入っちゃった。
次からようやく魔王の根城行きます。
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