宝箱
150話目です!!いえーい!!
博士が隠し持っていたゴーレムは、ビックリマシンならぬビックリゴーレムだったな。まさか真剣白刃取りなんてロマン技を決められるとは思わなかった。
…が、勝ったのは俺だ。ゴーレムにも色々思いはあったのかもしれないが、勝った方が正しい理論で言えば俺が勝ったし正しいのだ。
…って、こんな事を考えてる場合じゃなかった!俺はゴーレムを倒せたけど、師匠VS博士の方は一体どうなっているんだ!?
慌てて俺が師匠の方に向き直ると、そこには驚くべき光景……というかなんとなく予想は出来た様な光景が広がっていた。
「ば、馬鹿な……こんな、こんな筈では。私一人でも余裕。あの最高傑作のゴーレムを投入すれば万が一にも敗北など無かった筈なのに…」
「ふむ、少し張り切りすぎてしまったが、中々良い鍛錬にはなったな。早めに終わらせてシルバーの戦いも見ることが出来た。儂も満足じゃな」
俺が見た光景、それは師匠が博士を踏みつけ、動きを封じている姿だった。……決してSM的なヤバい奴じゃないからな!!勘違いしたらダメだぞ。
「私の実力と開発で調子に乗った攻略者共をボコボコにしてやろう思っていたのに。……無念」
博士はそう言い残し、粒子状の光となって消えていった。……色々考えてそうに見えて、案外単純な動機だったんだな。確かに一回攻略してる奴なら、このダンジョンを余裕と考えていてもおかしくはないから間違ってはいないが。
博士が消えたタイミングで、部屋の真ん中に宝箱が現れた。うん、この瞬間は何回見ても良いものだな。努力に伴う報酬は素晴らしい。頑張った甲斐があるってものだ。
「儂はそこまで宝や素材に飢えておらん。宝箱の中身はシルバーの好きにするといい」
流石師匠!!気遣いが半端ない。俺が師匠の立場だったら絶対に宝箱の中身をすんなりと渡せないだろうから、微妙な空気になってしまいそうだ。
だって二周目じゃないと戦えないボスが落とした宝箱だぜ?普段と比べて良い奴が入っている確定演出じゃないか。気前が良すぎるだろ。こういう人のことをイケメンって言うんだろうな。
…師匠のイケメンぶりを語るのはそこまでにしておいて、取り敢えず宝箱を開けるとしよう。話が長い人は嫌われるからな(経験談)。
ドキドキしながら宝箱を開けてみると、中には文字が書かれた小さな紙と俺が開けた宝箱よりも一回り小さな箱が入っていた。……箱の中に箱ってなんだよ。
まさかマトリョーシカみたいに開ければ開けるほど小さくなっていって最終的に空っぽとかいうオチは無いよな?……無いよね?
…は、箱を開けるより先に、先ずは紙を見てみるとしようか。箱の方がとても気になるが、箱は先の楽しみにしておこう。
えーとなになに?『この私が負ける筈がありませんが、一応宝箱には宝物を入れないといけないというルールなので、私の宝物を入れておきます』だって。
ほう、博士の宝物ですか、これはきっと大した物ですね。……ゴホン、いったいどんな宝物が入っているのだろうか。
というか博士が俺たちと戦うより先に死亡フラグを建てていた件。死亡フラグを建ててはならないと最近は小学生でも習っているのにな。
閑話休題。取り敢えず箱を開けるとしよう。それでは、オープン!!
お、おおお!!
そこに入っていたのは、カッコイイ紫の光を放っているゴーレム……の小さなフィギュアだった。カッコイイ!!
戦闘に使えるタイプの宝物では無かったのが少し残念と言えば残念だが、これはこれで嬉しい!
「ふむ、中々かっこいい物が手に入ったな。よかったではないか、シルバーよ」
「はい!」
俺が元気よく返事をしたタイミングで、帰る為の魔法陣が出現した。これの上に乗ると、ダンジョンの出口に戻れるのはもうみんなご存知のことだろう。
時間的に今から魔王の根城に行くと微妙な感じになってしまうので、今度また師匠と行く約束をしてログアウトだ。なんか疲れたけど楽しかったぜ!!
…あ、ちなみにさっき手に入れたゴーレムのフィギュアはギルドハウスに良い感じに飾っておいたぞ。
更新が遅いこの小説ですが、面白いとか頑張れと思った方は評価をよろしくお願いします!!