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今日の俺は解体業者

どうも、最近暑くなってきましたね。クーラーを点けるか悩んでいます。

 さて、この紫色の光を放っているゴーレムをどう倒そうか。見た感じ、やばそうな光を放っているという特徴以外は、他のゴーレムと比べても弱そうに見える。何と言っても大きくないからな。


 でも防御に全然ステータスを振っていないとはいえ、レベルも上がってHPは結構ある俺に対して致命傷を与えうるパンチを放ってくるところは、警戒しなければいけない非常に恐ろしいポイントだ。


 それに何より恐ろしいのは、あの博士がこのゴーレムのことを最高のゴーレムと称したところだ。博士が今装備しているカッコイイ奴と比べてどっちが最高傑作なのかを尋ねたらなんだか怒られそうだが、同じ光を放っているところを見るに、素材は同じだろう。最大限警戒して戦おう。


「排除スル」


 ゴーレムが喋ったことに驚く間もなく、ゴーレムは凄まじい速度で俺に殴りかかってきた……が、それも普通の人からすれば……だが。


 確かに速いが、俺からすればそれ以上の速度で動いている人が身近にいるからな。そこまで驚くものでもない。みんなもすでに分かっているだろうが、その速い人とは師匠のことだ。あのスピードと比べれば、このゴーレムのスピードなんて大した事は無い。


 ということで、スピードは何とかなる。それならお次はパワーだ。まずは小細工なしで戦ってみるぜ!!


 ガキンッ……ガキンガキンガキン!!


 俺の剣とゴーレムの拳がぶつかり合う良い音が鳴り響く。恐ろしいことに結構な知性があるようで、時折り右と見せかけて左……みたいなフェイントを挟んでくる。


 まぁ、俺もこのゲームを始めてから結構な時間が経っている。始めたてならともかく、レベル以外の経験値もきちんと積んできた俺にとっては、フェイントぐらい幾らでも対応できる。


 それに俺は刀しか持っていないような武士じゃない。ティアに作ってもらった強力な盾を持っていることを忘れちゃいけない。

 剣で防げない攻撃はしっかりと防ぎ、そして相手に攻撃をぶちかますための隙を作れるように、盾で攻撃を受け流し、いなしていく。


「ナゼ我ノ攻撃ヲ防ゲル!?我ハゴーレムマスター様の最高傑作デアルトイウノニ!!」


 あ、博士の名前ってゴーレムマスターなんだ……じゃなくて、自分で自分のことを最高傑作だって分かってるんだ……でもなくて!!


 ふっふっふ、イイ感じに追い詰められているみたいじゃないか。(低音悪役ボイス)ジワジワと命を削られるのは中々恐ろしいだろう?


 さぁ、ゴーレムの癖に動揺してるみたいだから、身体の内側に潜り込んで…。


「よいしょぉー!!」


「グオッ!?」


 こんな所まで博士をリスペクトしているのか、はたまた本当にただの偶然なのかまでは分からないが、博士とまったく同じ叫び方でゴーレムは吹き飛んだ。


 受け身を取るなんて設計した時に想定していなかったのか、吹き飛ばされた体勢そのままに受け身を取ることも出来ず、ゴーレムはその頑丈そうな身体を壁に打ち付けた!!


 受け身が取れなかったことにより完全に隙だらけ。俺は猛スピードでゴーレムに近づき、その手に持つ剣を、トドメの一撃となるべき剣を振り下ろす!!


「我ハゴーレムマスター様ニ任サレタノダ。負ケル訳ニハ……負ケル訳ニハ……イカヌ!!イカヌノダ!!グガガガガガガガガ……!!」


「なんですとおっ!?」


 驚いた。俺のトドメの一撃を、このゴーレムは両手で挟み込んで止めやがった。そう、なんとあの真剣白刃取りをこの土壇場で行ったのだ。


 真剣白刃取りは偶にドラマや映画で見るが、実際にやるとなるとそう簡単には行かない。先ず死の恐怖が先行するだろう。


 今回の場合はゴーレムの生きる道がそれしか無かったのだから仕方ないが、いざやるとなると次はその難易度が立ちはだかる。


 自分が相手より圧倒的格上なら真剣白刃取りは出来なくは無いだろう。軌道を読み、相手のスピードを上回ればおそらく出来るに違いない。


 だが、そこまでの実力差があるのなら、そもそも真剣白刃取りを行う必要は無いのだ。そんな事をわざわざしなくても相手を倒せるのだから。


 使うとすれば相手に自分との実力差を教える時ぐらいだろう。……もしくはカッコ良さを演出するためだ。カッコイイからな、真剣白刃取りは。大変ロマンがある。



 だが、そんなロマンがあり難易度も大変高い真剣白刃取りを、このゴーレムは行ったのだ。火事場の馬鹿力とでも言うべきものか。


 決して俺より実力が高い訳では無いのに、このゴーレムは成功させた。それは賞賛すべきことであり驚くべき事実だ。


 試しに剣を動かそうとしてみるが、ゴーレムも生きようと精一杯なのだろう。剣はピクリとも動かない。これでは剣で攻撃することは出来ない。



 …ふっふっふ、だが、残念だったなぁ。俺のメイン武器は確かにその剣だ。だが、武器がそれだけとは言ってないぞ。


 アタックモードに変更……と俺は盾に念じる。


 シャキン!!


 盾から凶暴で凶悪なトゲトゲが現れた。これはかなり初期から使い続けている盾だが、ティアによりこれまで幾つもの強化が施されている一級品だ。


「ガガガガガガガ……ガ?オ、オイ。止メロ!!止メロ!!我ハゴーレムマスター様ニ勝利ヲ……勝利ヲ!!」


 もう一度言おう、残念だったな!!俺は師匠に勝利を約束したんだ。お前も勝ちたかったのかもしれないが、俺だって勝ちたかったんだ。諦めてくれ。


 …じゃあな。



 俺は今度こそゴーレムにトドメの一撃をお見舞し、見事に勝利を我が手に収めるのだった。


シルバーの方が悪役みたいになってますねw


よろしければチャンネル登録!……じゃなかった、ブクマ・評価をお待ちしてます!!



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