そうは問屋が卸さない
忙しい公爵蜘蛛です。投稿頻度遅くて申し訳ないです
「い、いくら話に夢中になっていたとはいえ、この私が刺されるまで気づかないだと?馬鹿な…」
実は俺が博士の話を聞いている時に、師匠がえげつない速度で進んでいるのが視界の端に映っていたんだ。
正直に言って俺には残像しか見えていなかった。どう見ても戦闘に慣れている感じがしない博士では、本気になった師匠をとらえるのはかなり難しいだろう。
…戦闘に慣れているのなら、作戦以外で敵から目を離すなんてことはしないだろうからな。
もっとも、仮に博士が師匠の行動を注視していたとしても、躱せるわけではないのだが。躱したとしても、次は俺の出番だってあるわけだし、二対一で人数差のある博士が圧倒的不利だろう。例えボスだったとしてもな。
「クッ……このまま私が負ける…」
お、なまじ知能があるせいで観念したのか?博士が両腕を下げて下を向いたぞ。もしこのまま諦めてくれるのなら倒しやすくて助かるんだが…?
「…とはいきませんよ。どうですか?やられたフリ、結構上手かったと思うのですが」
博士はそう言って、ぐったりとした姿勢から真っ直ぐとした褒めたくなる様な姿勢にランクアップした。
…やっぱり?そのまま燃え尽きそうな感じだとは思っていたけど、それと同じくらいボスにしては弱過ぎだとも思ってたんだ。まさか演技だったとは。遊び心まで持っているとは、ますます人間みたいだな。
グサッ!グサッ!
博士が余裕そうな雰囲気を醸し出したのを見て、師匠が容赦なく攻撃を加えていく。この躊躇いのなさ、流石すぎる!!俺だったらこうはいかないぞ。
「ぐ、中々容赦ないですね。……ですが無駄です。今の私は無敵ですよ」
無敵……だと!?
「知らないのですか?ボスの変身は待つものなのですよ。そしてそれは、誰にも妨げることは出来ない」
博士はそう言うと、身体から大量の光を放ち始めた!!……眩しい!!
「む、これはいかん」
師匠も危険を感じたのか、攻撃を止めて後ろに下がった。一体、どうなってしまうんだ……ワクワク。
…強い光が数秒間部屋を包み込み、そして収まった時、俺が目を開けると、そこに居たのは先程までの博士ではなかった。
「ふふふふふ、素晴らしい!私の研究は大成功だ!!くく、くくく、クハーッハッハッハ!!」
とんでもなくカッコイイ機械を身に纏い、紫の光を放つダーク博士になっていたのだ!!凄い、イケてる、カッコイイ!!(三段活用)
ちょっと性格が変わってしまっているような気もするが、そりゃ、あんなにカッコイイ機械なんか身に纏ったらそうなるのも仕方がないというものだ。その姿はまさにダークヒーロー。
「クククククククククククククククククククククククククククククク……!!素晴らしい力だ!!笑いが止まらんな!!クハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!」
…アレ?なんかおかしくなってないか?確かに気分が向上したりテンションが上がるのは仕方ないと思うし当然だと思うけど、流石に変わりすぎというか…。
どちらかというと力に呑まれてる感じがするな。力はお酒と同じだ。飲んでも呑まれるなってよく言われるだろ?……ちょっと違うか。
…なんか俺と師匠の存在を忘れている感じもするな。敵の名折れだが、取り敢えず今のうちに攻撃しておくとするか。勝負の最中にこちらのことを忘れる方が悪いんだからな。
という訳で!ヨーソローほい!!喰らえ!!!俺の自慢の不意打ちを!!……もしかしてカッコ悪い?
気づけばもう5月も後半ですね。時が流れるのは早いです。……あ、評価ブクマはいつだって今だってお待ちしてます。