ヤバいの!?
どうも。公爵蜘蛛です。
新年度が始まりましたね。大変な世の中ですが、新生活が始まる人も始まらない人も、頑張っていきましょう。私も頑張ります。
DANGER!!DANGER!!
へ?デンジャーってことは……ヤバいの!?ヤバいんですか!?
…知らない人の為に説明すると、このDANGER!!というのは俺のスキル、危険察知によるモノで、俺に危険を教えてくれているのだ。
…って、こんな説明をしている場合じゃない!!危ないんだから何かしらのアクションを起こさねば!!という訳で……とうっ!!
俺は何も考えず、横に跳んだ。これは直感だ。というかこういう時、いつも横に跳んでいる気がする。横に跳べば間違いないというのが俺の経験則なのである。
ズッカン!!
案の定、今回も上手くいったようだ。俺がさっきまで居たところに、何かしらの攻撃が当たった音が聞こえた。
俺は体勢を整え、俺が居たところに向かって、勢いよく振り向いた!
「…誰も、居ない?」
誰も居ない。何も無い。攻撃が行われたのは確かな筈なのだが、なんの気配も無かった。おかしい、そんな筈はない。
…流石に気のせいでは無いと信じたいが。……ん?
DANGER!!DANGER!!
うおぉ!?な、なんだ?取り敢えず……もう一回!躱す!!
俺は再び勢い良く跳んだ。それはもう、元気良く。
ズッカン!!
そしてすぐ見る!……誰も居ない。
DANGER!!DANGER!!
なんで!?バグってる!?おかしいだろこんなの!!なんで誰も居ないんだよ!!
取り敢えず躱す!危険!躱す!危険!躱す!危険!躱す!危険!躱す!危険!躱す!危険!躱す!危険!躱す!危険!躱す!危険!躱す!危険!躱す!危険!躱す!危険!躱す!危険!躱す!危険!躱す!……。
「「はぁ……はぁ……はぁ……はぁ…」」
つ、疲れた〜。……って、ん?なんか今、俺以外の声が聞こえなかったか?気のせいか?気のせいなのか?
…そっかー、気のせいかー。……そんな訳ないだろ!!そこに居るな!!うぉりゃぁぁぁ!!!
「ひっ、ひぃぃ!?」
俺が声のした方に向かって思い切り剣を振るうと、何かを切った感覚こそ無かったものの、何者かの悲鳴らしき声が聞こえて来た。
今ので確信した。間違いない、絶対にこの空間の中に何者かが居る。しかも、このダンジョンには似合わない様な何かだ。……予想だが、恐らく人であろう。こうなったら…。
「おい、もうそこに居るのは分かっているんだ。抵抗するのは辞めて、大人しく出てきたらどうだ?」
相手の位置は正確にはよく分かっていないのだが、精一杯、相手に悟られないように堂々として勧告してみる。俗に言うブラフである。さぁ、どう来る?
「はぁ、やっぱり強いですね。へへへ、今まで通りなら、この能力で無双できたのに」
少し情けない様な、卑屈にも感じる声を出しながら、俺の目の前におじさんが現れた。うん、見た目は分かりやすいぐらいに中年のおじさんだな。模範的な中年のおじさんだ。
…っておい!中年のおじさんは俺の事じゃないぞ!!俺はお兄さんだからな!!分かってるよな!!
「へへへへへ……シルバーさんですよね?」
中年のおじさん……このままじゃ長いから『彼』にしておこう。彼はどうやら俺のことを知っているようだな。俺も有名人になったもんだ……と調子に乗ってみたりして。
「闘技大会で優勝したりしてましたよね。へへ……最近なら釣り大会も入賞してました。素晴らしい功績です。この世界がゲームとはいえ、私のような常人にはとてもではないが出来ないです。……そう!私には!出来ない!!!」
お、おいおい、最初と比べてヒートアップし過ぎじゃないですか?……思わず敬語になってしまったな。それにしてもちょっと雲行きが怪しくなってきたぞ。怖さすら感じる。
「あぁ、すいませんね。思わず熱くなってしまいました。これも私の良くないところでしてねぇ…」
ま、まぁ誰にでも悪い所はあるし、それと同じ……いや、それ以上に良いところはあるはずだしな。長所を伸ばしていけば良いと思う。
「へへへ、ありがとうございます。シルバーさんは優しいですねぇ。人としても素晴らしいと思います。でも…」
でも?……なんだかとっても嫌な予感がする。
「私はそういう人たちをこの世界で何人も倒して来たんですよねぇ!!!」
そう言った途端、彼はかなりのスピードで俺に斬りかかって来た!
…やっぱりこうなるのかよ!!
襲われた後なのにまだ話し合いでなんとかできる可能性があると考えているのはシルバー君らしいですね。