いやいやいやいや!!!可笑しくない!?
どうも、お久しぶりです
釣る!!釣るぞ!!この引きは!!大物に違いない!!!念ずれば成る!!信じれば成せる!!うぉぉぉぉぉ!!!釣れろ!!!
引っ張る引っ張る引っ張る引っ張る!!
ここで、ローラを相手に勝ち星を付けてやる。俺が戦い以外でもやれるんだってところを見せてやろう。さぁ、上がってこい!上がってこい!
「あっ、シルバーさん!!釣れるんですか?もしかしたら大物かもしれませんよ!!ファイトです!!……あ、勿論ローラさんも頑張って下さい!!」
ルゥも応援してくれている。これは頑張らなくてはいけないな。ルゥはローラに対しても気遣いの出来る、本当に良い子だ。……いやまぁ、子って言うほど子供じゃないんだけどな。
よし、期待を背に乗せ、シルバー!!釣ります!!
バッシャァン!!
大きな水しぶきを上げ、俺の釣ろうとしていた魚が、遂に姿を見せた!!……ん?んん??あれれれれ?
「「クスクス……クスクスクス…」」
ルゥとエミリーの我慢するような小さな笑い声が聞こえてくる……が、大事なのはそこじゃない。おかしい。どうやら俺の目は腐ってしまったようだ。俺の釣り針に……長靴が掛かっているのが見える。猫が履いていそうな立派な長靴だ。
だが、そんなはずは無い。だって釣り竿は引っ張られていたんだぞ?長靴が意志を持っていない限り、そんなことにはならないだろう。つまり、これは何かの間違いだ。
『湖の底から引っ張り上げてくれてありがとう!僕、長靴の左助!!よろしく!!』
しゃ、しゃ、喋ったー!!長靴が!?何でもありだなこの世界!!!ゲームだからいいんだけど!!!
「よ、よろしく…」
俺はこの世界で、いや、全世界で初めて長靴とのコミュニケーションを図った人間になったかもしれない。これは月に初めて行った人類と同じほどの快挙に違いない。そうだろ?そうだと言ってくれよ!!
『お兄さんコミュ障?声震えてるよ?僕はコミュ力抜群だよ!!』
初対面でコミュ障かどうか聞いてくるなんて、この長靴野郎、なかなかやるな。…でもまぁ、おじさんじゃなくてお兄さんって言ってるから許そう。
そう、俺は寛大だ。釣りをしていて、やっと釣れたと思ったら大物魚じゃなくて、失礼な長靴だったとしても許せるだけの心を持っているんだ。(自己暗示)
「オーッホッホッホ!!シルバー、アナタにお似合いな長靴ですわね」
ちくしょう、そうだよな。こんな長靴ではローラとの釣り勝負に勝つことは出来ない。せめてもっと大きければよかったのに。この長靴が大きいのは口だけだ。長靴なのに。
「!?オーッホッホッホ!!わたくしの方に引きが来てますわ!!見てなさいシルバー!!わたくしがアナタの分まで大物を釣り上げて見せますわー!!」
どうやらローラの方に引きが来てしまったようだ。クソ、やっぱり俺の負けか…?
「クッ、結構引っ張ってきますわね。でも、負けませんわー!!」
バッシャァン!!
ローラの釣り竿もかなり引っ張られていたようだったが、ローラがかなり頑張ったおかげで、無事釣り上げることに成功したようだ。俺と同じく大きな水しぶきを上げて魚を釣り上げた。(ちなみに、釣りをするのに力の強さは関係ないらしく、仮に力のステータスがゼロだったとしても釣り上げられるらしい。後衛の人や初心者にも優しい親切設計だな)
…ん?
「「クスクスクス…」」
再び我慢するような小さな笑い声が聞こえてきた。
「な、何故魚じゃないのですわ!?こんなの間違ってますわー!!」
ローラとかルゥやエミリーの反応的にもうお分かりかもしれないが、俺も笑ってしまいそうだ。そう、ローラが釣り上げたのはやっぱり魚ではない、長靴だ。……なんでこんなに長靴が釣れるんだ?長靴の湖って名付けていいですか?
『なんや、金髪グルグルのねーさん。勝手に釣り上げておいて、いきなり長靴のことを間違い扱いしよって、失礼やな。……まぁ、ええわ。釣り上げてくれたのは嬉しいし、ありがとやで』
いや、中々な関西弁だな。長靴のくせにキャラが濃すぎる。誰得なんだ、この設定は。
ローラも呆然としているぞ。珍しい光景だ。なんか写真撮りたくなるな。
『兄さん!?もしかして兄さんなのかい!?』
なんだなんだ?俺が釣った長靴がなんか言い始めたぞ。
『!?その声は、もしかして生き別れた我が弟、タケタケピーン七世やないか!!いやー、ひっさしぶりやな。元気にしとったか?まぁ、ワイは見たらわかると思うけど、元気やで』
いや、なんだよ、この急に出てきた感動の展開は。涙も全然出てこないぞ。というかタケタケピーンってどんな名前だよ。多様性が広がってきた今現在でもなかなか無い名前だぞ。しかもしかも七世って何?王族ですか?というより自己紹介の時は左助って言ってたよな?……同じ湖にいたのに生き別れてたのか?どんなに一生懸命に観察してもどこが元気なのか全く分からない。……ツッコミ所が多すぎる!!
『僕だって勿論元気だよ、兄さん!さぁ、一緒に帰ろう!僕たちの国へ!』
そう言うが否や、長靴二体は天に昇っていき、どこかへ行ってしまった……いや、本当に何のイベントだったんだよこれは!!
いつも以上にカオスな気がする_(:3」∠)_