オヤジ狩りと行きましょうか(間違ってないけどこの表現は誤解を招きそう)
どうも、ようやく物書きらしく活動を再開しました!これからは更新ペースが上がっていくと思います。
覚悟が決まったぞ。相手は二人とはいえ、俺の装備を欲しがるくらいだから、格下と考えていい。着実に立ち回れば、確実に勝てる。そうだ、自信を持て、俺。
「へっへっへ、死ぬ覚悟は出来たのか?どうなんだ?あぁん??」
このおっさんだって、最初はヤバいくらい怖い顔のおっさんだと思ってたけど、やり取りからしてただのアホの子なのかもしれない。
そう思ったら、全然怖くない。ノープロブレム、大丈夫だ、問題ない。というかむしろ、脳内で可愛い女の子にしちゃえばなんにでも立ち向かえるかもしれない。
案外ラノベとかでオタクが強大な敵に立ち向かえるのって、そういうスキルを持っているからなのかもしれない。という事は、俺にもそんな力が宿っているかもしれない……!!
まぁ、力があったとしても、倒すのは魔王でもなんでもなく、おっさん達なんだが。ビジュアルの酷さなんて言うまでもないな。酷すぎる。
「へっへっへ、口だけじゃなくてしっかり態度で示したらどうなんだ?ビビってんのはそっちじゃないのか?」
やべ、おっさんの笑い方が移った! 嫌だ嫌だ嫌だ、文字で表したらもはやどっちがどっちか分からない!おっさんとキャラ被りなんて嫌だ!!
「な、何を〜!!こっちが優しくしてやったら調子に乗りやがって!!今すぐ徹底的に潰してやる!!」
な、なんかこの展開は見たことがある気がする……気のせいか?いや、やっぱりどこかで見たことがあるような気が……本当に気のせいか?……まぁ、いいや。
こういうデジャブ的なやつってたまにあるけど、既視感が本当に半端ないんだよな。なんでなんだろうな、アレ。本当に不思議だ。
案外、このおっさんもどこかで会ってたりしてな。ゲームの中でかもしれないし、現実の方で会ってるかもしれない。そう考えたら、なんか面白いな。
ゲームで強気になってても、現実であったらしょぼかった……みたいにならないように気をつけないとな。
「…おい?話聞いてんのか?」
あ、もしかして、まだ話してた?……俺、また何かやっちゃいました?
「……てへっ☆」
「ぶっ潰す!!」
そう言うなり、おっさんは俺に殴りかかってきた。潰す潰すって言ってる割にはなかなか攻撃してこないから、このまま話をして丸め込めるかと思ったけど、やっぱり無理だったか。
っていうか、俺のてへぺろそんなにかわいくなかったか?……ごめんなさい、調子乗ってました。とんでもない罵声が飛んできそうだから、この辺で退散します。
まぁ、怒りで単調な動きをしてくれるのなら、こちらとしては大助かりだ。挑発に乗ってきてくれる相手というのは、俺からしたら対人戦はあんまり強くないと思う。
「はい!止まるっしょ。挑発に乗っちゃいけないじゃんか。ストップストップ」
…そういう行動を止めてくれる相方がいないのならば。おっさんはその一言で、俺に殴り掛かるのを止め、おじちゃんがいる所に戻った。
ちくしょう、あわよくばこのままカウンターを決めて、あっさりとタイマンに持ち込んでしまおうと思っていたのに。あのおっさん人の言うこと全然聞かなさそうなのに、おじちゃんの言うことだけ滅茶苦茶聞くな。
猛獣使いか?昔のポ〇モンみたいなやつだな。ムチは持ってないけど。
「なんで止めたんだ?あぁん??この俺が華麗に潰してやる所だったのによォ」
そうだそうだ。(俺が)潰すところだったのに。
「はは、面白い冗談じゃんか。そんなこと言って本当は銀色の作戦に気づいてたくせに。俺っちに活躍の場をくれるなんてマジ優しいじゃん、リスペクト不可避っしょ」
え?マジ?……という事は無いだろうな。おっさんのこれを言われたときの表情を見ればわかる。どう考えても俺を今すぐ倒すことしか考えられてなかった。でもまぁ、おっさんの性格なら…
「ま、まぁ俺ほどの実力者なら?そのくらいのことは当然分かってたけどなぁ?お前こそわかってるじゃないか!」
やっぱり。本当におじちゃんはおっさんの扱いがうまいな。マスターしきってる。これは相当長い付き合いなのがうかがえる。まぁ、俺はそんなコンビネーションごと粉砕するつもりだが。
「だからここは、協力していくっしょ。二人で力を合わせればきっと勝てるっしょ。はい、『パワーブースト』」
補助系か!なるほど、二人でいる前提なのならこの選択も悪くない選択だ。……俺みたいなボッチプレイヤーじゃなければ。うっぅうぅぅぅぅ…
「もういっちょいくっしょ、『スピードブースト』」
中々厄介だな。これは分からなくなってきたぞ。
「さぁさぁさぁさぁ!!行くぞぉ!!銀色野郎!!ゴラァ!!」
そして再びおっさんは俺に向かって殴りかかってきた……速い!
一気に懐に潜り込まれてしまった俺は後ろに少しずつ下がりながら、ギリギリで攻撃を躱したり、盾で受け流しながら凌いでいく。格闘家らしく、おっさんの攻撃のペースが結構速いため、反撃するのが中々に厳しい。仕方ねぇ、ここはいったんカウンターは諦めて、仕切り直すとしよう。
「おらっ!」
「ぐおっ!?」
俺はおっさんの体に蹴りを一発ぶち込んだ。隙があまりなかったため、威力は全然無かったが、俺が状況を立て直すには十分だった。
更には、おっさんは蹴り飛ばされるとは思っていなかったのか、上手く着地することができず、バランスを崩していた。これは絶好の機会だ。パチンコで言う『チャンスだ!』ってやつだな……あれ?信頼感が全然ない?
俺はその隙を見逃さないように勢い良く走り抜け、おっさんに剣を振り下ろそうとした……が
「おっと、それはちょっと困るっていうかなんというか……やめてほしいっしょ。『フラッシュ』」
ピカっ!!
一瞬、俺の目の前は真っ白になった。……やられた!目くらましか!!
全く周りの様子が見えないため、このままだと危険だと考えた俺は、危険察知に頼りながら後ろの方に全力で飛んだ。
目がようやく見えるようになった俺が目を開けるとそこには、俺が小さいながらもせっかく与えた蹴りのダメージすらもすっかり回復し、万全の状態になったおっさん達だった。
…なかなかやるじゃねぇか。
おっさん達が一生懸命戦ってるこの絵面ってなかなかですよね。
癒しは!この小説に癒しは無いのか!?