一難去ってまた一難
お久しぶりです!更新してない間に誤字報告やブクマしてくださった方々、本当にありがとうございます!
あらすじ
ティアにお願いことをされたシルバー。
いろいろと頑張り、無事に頼まれたものを手に入れたシルバーだったが…?
アイテム欄を確認すると、目的のアイテムがしっかりと入っていた。これにて、ミッションコンプリートだ。
さて、無事?にマンティコアを倒すことにも成功したんだから、早々に脱出させてもらうとしようか。こんな所に一人で寂しくいる必要は無い。ティアが待ってる!!さぁ、帰ろう!!
強引にテンションを上げながら、俺は光に包まれ、ダンジョンを脱出した。何回やってもこの演出はドキドキする。現実では体験出来ないような事だからな。割と好きだ。
…もしこれで、なにかの拍子にミスって岩の中のシルバー君になったらヤバいけどな。神様じゃないんだから、俺が岩の中に引きこもるつもりは無い。
…目を開けると、俺はきちんとダンジョンの出口に転移していた。そのまま外に出ると、いつものリアルな風景が見えた。なんかほっとするな。
そしてここで、先程までのモヤモヤした気持ちを整える為に、目を瞑って一旦深呼吸。そして再びスッキリした気持ちで目を開けると、前方に広がるは綺麗な空、開放的で美しい大地。そして……こっちをエグい顔で見ているコワモテのオッサン二名。
…ん?今、なんか変なものが見えたような……気の所為か?ゲームの頑張りすぎで疲れ目になっちゃってるのかもしれない。
ゴシゴシと目を擦ってもう一度目を開いてみる。綺麗な空、開放的で美しい大地、こっちを見ているコワモテのオッサン二名。
…ん?やっぱり、変なものが見えたような……気の所為k「何回同じこと繰り返す気だ!!いい加減現実見やがれ!!」
…やっぱり見なきゃダメ?……ダメですかぁ、そうですか。
「ふぅ、ようやくこっちを向きやがったか。まったく、その年で呆けてんじゃねぇよ」
顔が怖いだけでなく、言動も中々失礼なおっさんだ。初対面の相手にここまで言ってくるとは、結構怖いもの知らずだな。
「んん??なんだぁ、その目は。生意気な目をしてるじゃねぇか。……お、それによく見てみれば、お前中々良さそうな装備してるな。それを俺に寄越せよ」
え?噓!?追い剝ぎか!俺の服を欲しがるなんて……コイツ、とんでもない趣味と見た。きっと、俺の服を手に入れたら獣みたいにクンカクンカするに違いない。絶対そうだ。ヤバいやつに目をつけられてしまった。
「誰が追い剥ぎじゃい!!誰がとんでもない趣味の獣じゃい!!失礼な奴だな!!おい」
「いや、まぁ、事実なんじゃね?」
…どうやらまた声に出してしまっていたらしい。普段は大丈夫なんだけど、どうもこういう場面に限って声に出してしまうな。何でだろうか?
…あ、一応言っておくが、「事実なんじゃね?」って言ったの俺じゃないからな。横にいた、さっきから一言も発していなかった方のおっさんだ。無口キャラなのかもしれない。
それにしても、横のおっさんはもう片方の追い剥ぎ変態おっさんと違って、顔怖いだけの割と普通なおっさんだな。喋り方がちょっとギャルっぽいけど、悪い奴ではなさそうだ。きっと見た目で損してるタイプだろうな。
「いや、寧ろ服寄越せっていう発言なんて、追い剥ぎする変態以外ありえないっしょ。ヤバ、俺っちも変態って勘違いされちゃうじゃん。ヤバヤバじゃん。ススス、離れないと」
前言撤回。全然無口なんかじゃなかった。悪い奴ではなさそうというのは間違いないけど、チャラい。チャラチャラだ。これはもう、おっさんじゃない。おじちゃんだ。(大して変わってない)
それに、自分の口で効果音付けてるのも初めて見た。面白いおじちゃんだ。案外、今はこういう人がモテるのかな?顔怖いのがギャップ萌えとか言われてそうだ。
「うるせえうるせえ!!俺が寄越せって言ったら寄越すんだよ!!俺の方が絶対その装備を有効活用できる!!そうだろ??」
おおう、なんという考えだろうか。もし俺より有効活用出来るというのなら、既に俺以上の装備を手に入れていてもおかしくはないというのに。手に入れていない時点でお察しな所だ。
そもそも俺が見た感じ、この二名は別に初心者であるようには見えないし、俺からわざわざ装備を奪う必要が無いくらい、そこそこ場数を踏んでいる装備と風格に見える。
…まぁ、俺にそんなオーラみたいなのが見える特殊能力なんか無いから、当てずっぽうの適当なんだが。関西風に言うなら、『知らんけど』というやつである。
「いやいやいや、うるさいうるさいって赤ちゃんじゃないんだから、五月蝿すぎるっしょ。ヤバいじゃん、俺っち赤ちゃんの仲間入りしちゃうじゃん。ばぶばぶじゃん、ばぶばぶ。バブみ感じてまちゅか?……爆笑しょ!!」
滅茶苦茶馬鹿にしてるじゃねぇか。絶対、ネット上なら草を生やしまくってるに違いない。
「あぁん??なんだとてめぇ!!この銀色野郎より先に、に、お前を沈めてやろうか!!」
ん?仲間割れか?俺からしたら助かるけど。今のうちに帰ってもいいかな?
「ちょちょちょ、ちょまっ!ちょっと待つっしょ。これは悪質なあの銀色の策略じゃんか。策略にまんまと嵌っちゃイケないっしょ。ちょっと落ち着くっしょ」
は?は?は?何言ってんのこのおじちゃんは。
「おお?……そうかそうか、すまなかったな、ハッハッハ!!危うくアイツの罠にかかるところだった。今後とも、俺を助けてくれよな」
「勿論っしょ。助け合うに決まってるじゃん。だから、一緒にコイツを倒すっしょ」
あぁ、友情が感じられる感動のシーンだなぁ……端から見たら、こんなにもわざとらしいのか。
分かってしまった。おじちゃんが善人とか絶対嘘だ。最初は横のガミガミおじさんがやばいのかと思ってたけど、違った。
本当にヤバいのは、おじちゃんの方だったのか…
読んでくださりありがとうございました。
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のんびりした更新ですが、これからもよろしくお願いします。