ティアの願い
三日連続投稿!ヒャッハー!
さて、時は流れて数日。俺はティアさんのところを訪れていた。ここに来た理由はただ一つ、ギルドハウスの中に飾り付ける為のインテリアを作成する事だ。
勿論、このゲームの中にも、お洒落なインテリアを売っているような店は幾つかある。そこで買ってしまえば、特にハズレはない、手に入れるのもかなり楽だろう。しかし、折角自分たちの力で創り上げたギルドハウスの内装を飾り付けるのなら、オーダーメイドで創られた世界に一つだけのインテリアの方が良いんじゃないかと思うのは自然な事だと思わないか?
そう言った理由で、俺はティアさんの所を訪れたわけだ。ちなみに、彼女は鍛冶を行っている人なのだが、どうやらスキルの関係でちょっとした小物のようなものも作れるというのを以前聞いたことがあるのだ。なので、今回俺はその話を当てにしてやってきたというわけだ。
俺の装備を作ってくれているのもティアさんだから、俺はかなりの常連客ということになるんだな……なんだか良くないか?常連って言葉の響きは。ほかの客より一歩進んだ気持ちになるんだよな……だからと言って特に何があるわけでもないが。
店に入ると、そこには珍しくティアさんが立っていた。おっと、別にティアさんが立ち上がっているのが物珍しいわけじゃないぞ。彼女はいつも店の奥の方で鍛冶を行っていて、客が来てから接客をするスタイルだからな。俺が来た瞬間から顔を合わせたのがレアケースだと思っただけだ。
…おや?なんかティアさんの様子がおかしいような気がするな。いつもなら、「シルバーさん!いらっしゃいませ。本日はどのようなご要件ですか?」とでも言ってくれるのに。それに、なんだか顔色が悪いような気すらしてきた。一先ず話しかけてみよう。
「あの、ティアさん大丈夫ですか?なんだか顔色が悪いような気がしますけど……もしかして体の具合でも悪いんですか?」
そうだ、俺たち次元人と違って、ティアさんは生まれた時からこの世界で暮らしている現地人なのだから、俺が知らないような病気に感染してしまっている可能性は十分あるんだよな。もしそうだとしたらかなり大変なことになってしまうが……!!
「あ……シルバーさん。いらっしゃっていたんですね……いらっしゃいませ……」
やはりどこか元気がないような気がする。本当に大丈夫か……?
「そうだ!!」
なんて思っていたその時、ティアさんは突然声を張り上げた……かなりびっくりした。なんか俺、色んなところでびっくりしすぎな気がしてきたな。気のせいだといいけど。
「冒険者で、かなり実力があるであろうシルバーさんにお願いがあるんです!!話を聞いてくれますか?」
心なしか顔色が少しマシになったような気がするな……どうやら病気ではなさそうで安心した。
しかし、何やら困りごとがあるみたいだな。いつも世話になってるし、断ってしまえば今にでも倒れてしまいそうだ。俺には断る理由がない。勿論受けよう。
俺が話を聞くという姿勢を示すと、ティアさんは俺に感謝を述べ、その困りごとについて話し始めた。
「私たち鍛冶師たちが鍛冶スキルを持っているのは、シルバーさんもご存じのことだと思います。その鍛冶スキルで私たちは生計を立て、様々なものを作り出しているわけなんです。ですが、そのスキルを発動するためにはある道具が必要なんです。それが何かわかりますか?」
うーん、何だろうか。鍛冶といえばドワーフ。そのドワーフが持っていそうなものといえば……!!
「ハンマーか!」
俺がそう言うと、ティアさんは大きく頷いた。
「はい、その通りです。他にも金床などといったものや燃料なども必要となりますが、今回それは関係ないので置いておきましょう。そのハンマーなのですが……実は先日壊れてしまいまして、今私は何もできない状態なのです」
それは大変だ。仕事ができないというのは人によるかもしれないが、普通は大変辛いことだ。なにせ、生きていくのが大変になるからな。現代の日本でも、働きたくても働けず、その日生きていくことすら大変な人は何人もいる。
それに、見たところティアさんはかなり鍛冶をすることが好きだ。おそらく趣味のレベルだろう。その二つのことが奪われてしまうというのは大変な苦痛だ。早く何とかしないと。
ということは、話の流れからして俺への頼み事というのはもしかして…
「はい、頼みというのは、私の新しいハンマーを創るための素材を持ってきてほしいというものです。恥ずかしい話ですが、今の私には運悪く手持ちがほとんどありません。ですので、今すぐ何かお礼ができるというわけではありません。それでも持ってきてくださいませんでしょうか?」
普通なら、見捨てるべきなのかもしれない。短絡的に見れば、何の利益もないからな。それに、ちゃんと約束を守ってくれるかどうかすらわかっていない。
…だが、相手があのティアさんだというのなら話は別だ。彼女が嘘をつくような人だとは思えないし、悪い人ではないと断言できる。
だから……俺の答えは…
シルバー君の答えは…??