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狩人は狩られる側へと移行する

ほんの少しだけ弄りましたが、ほとんど変更は無いです

 さて、エミリーが狙われている事が確定してしまったのだが、だからと言ってここで慌ててはいけない。急いては事を仕損じるという言葉があるのを知っているだろうか?


 意味はそのまま。慌ててしまっては、出来るものも出来なくなってしまい失敗してしまうというものだ。そして、そういった先人の知恵というものは意外と馬鹿に出来ない。


 勿論、科学などで立証されてしまったことにより、当てにならなくなってしまった先人の知恵も少なくない。だかしかし、逆に言えばそれでも幾つかは役に立つということなのだ。


 特に、物事の考え方などについてはかなり役に立つ。何を馬鹿な……と思ってしまうようなことであっても、それらは先人の体験や経験を元に伝えられた話である。俺達が思っている以上にその信憑性は高い。


 …話が少し逸れてしまったな。そこから考えた今回の作戦はこうだ。


 PKプレイヤー達は、エミリーを倒すのは簡単だと考えているのだろう。それは、危険察知で把握した相手の位置が、丁度エミリーの真正面から来ていることから明らかだ。


 強敵との戦いでは不意を突くのが一番勝ちやすいからな。それをしようとしていない時点で、エミリーを格下だと捉えているのだろう。


 明らかに魔法使いの格好をしている上に一人だからな。詠唱をさせなければなんとでもなるという考え自体は間違っていないだろう。いや、寧ろ正しい。


 だから、そこを突く。自分たちが有利であると信じて疑わない狩人たちに絶望を魅せよう。


 ちなみに相手の数は四人のようだ。標準的な人数だが、今の俺は一人だ。戦力の差は十分と言っていい程ある。そして、エミリーの邪魔をさせない為にここに来たので、エミリーは戦力に数えることは出来ない。


 まぁ、最悪やられそうになった場合は、手助けを求めることになってしまうかもしれないが、流石にそれはカッコ悪いのでなんとかして避けたいところだ。よくあるヒーローモノの様に、何事も無かったかのようにここを去りたい。


 さて、俺はコソコソと気配を消した……様な気分になりながら、コソドロの様に彼らに四人の後ろに回り込んだ。そこから自分の目でしっかりと確かめてみたが、幸いにして一人だけ少し離れた位置に立っているのが見えた。しめしめ、これはチャンスだ。


 それでは……作戦開始っ!!


 先ずは、勢い良く接近する。気付かれることを恐れず、されど忍者のように。そしてその勢いのまま孤立しているプレイヤーを一人、俺の居る草むらに引きずり込むことに成功した。


 そして、いきなり過ぎて何が何だか分かっていない顔をしているその間抜け面のプレイヤーに剣を勢いよく振り下ろす!!ジャッジメントですの!!


 幾ら経験値効率の良いプレイヤーを倒していたとしても、魔物を倒し続けることに比べればその総量は少ない。

 更にいえば、こんな所にやってくるようなプレイヤーは、今回のエミリーの様に明確な目的を持っていない限り、初心者プレイヤーばかりである。なのでプレイヤーだとしても、そもそもの経験値が少ない。つまりレベルが上がっていないのだ。


 よって火力にかなり振っている俺の一撃を喰らって死んでしまうのは当然の事。間抜け面の彼は、一瞬でこの場から消え去った。


 しかし、幾ら俺がコソコソとした動きでプレイヤー一人をスニークキルした所で、仲間が一人唐突に消えてしまっては、流石に気づかれてしまう。しかも、一人減ったとしても他に後三人もいるのだ。

 まさに絶体絶命の俺は、彼ら三人の見事な返しの攻撃で、無様にもやられてしまうことになったのだ……なんて事はなく、普通に元気良くピンピンしている。


 その理由は俺が攻撃を防いだのではない。彼らが攻撃して来なかったのだ。出来たのに敢えてしなかったのではない。彼らでは、反撃を行うことが出来なかったのだ。


 …そうだな。前提としてこのゲームが上手い人なら、不意打ちで仲間を一人減らされたとしても、直ぐに状況を見極め、的確な行動で俺を屠って来ていただろう。


 しかし、先程も述べた通り彼らは初心者プレイヤー狩りのPKプレイヤーだ。PKをしていたのならば本来育つ筈の対人戦における読み、そして状況把握能力がものの見事に育っていないのだ。


 何故なら要らないからな、そんなものは。初心者プレイヤーを倒すのなんて、真正面から何の小細工もなしで、ステータスの差で適当に殴るだけで勝ててしまうのだから。


 だから、彼らは仲間を一人殺られたにも関わらず、未だに状況が理解出来ていないのだ。つまり……分かり易いボーナスタイム!!そして俺は、立ち直られる前に急いで彼らに接近し、最寄りの一人の首を通りすがりに勢いよく切り裂くという方法で倒す事に成功した。


 うなじを切り裂いた為、例え大きな巨人であったとしても倒せる事だろうな。


 そしてここまで来て漸く彼ら(といっても最早二人しかいないのだが)は状況を理解したのだ。自分たちはいたいけな少女を蹂躙する立場から、よく分からぬままに命を狙われる標的としての立場へと転落したのだと。


 しかし、もう遅い。幾ら二対一とはいえ、こちとらかなり実戦で鍛えられた戦士だ。ぬるま湯に浸かってここまで来た彼らとは練度がまるで違う。


 そのまま俺はかなり余裕を持ったまま、もう逝ってしまった二人の元へ、仲間である彼らを向かわせるのだった……そう、つまり万事解決、ミッションクリアだ!!


シルバー君久しぶりのPK

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