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世界ランク・ワースト  作者: Shira
第1章 堕界したのは最悪最高の世界
12/12

11 キマイラとの死闘

遅れてしまい、大変申し訳ございません。

昨日は予想以上に忙しくなり進めることができませんでした。

その分濃密な内容になっているはずですのでお楽しみください!

三度対峙するキマイラと俺。

奴は斬られていた両前足を、どこかのなんちゃら星人のように再生させた。

完全体となったキマイラは再度咆哮をあげる。

まるでかかってこいと言わんばかりだ。

だが、怖気づいてもいられない。俺の隣には今、守るべき存在がいる。


「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」


負けじと俺も叫びながら突進する。体を無理矢理にでも奮い立たせるためだ。

キマイラは突進する俺に向かって左のツメを振り下ろす。

すんでのところで回避。がら空きとなった左足に一撃を叩き込む。

はいった!感触は計算通りに一撃が決まったことを知らせてくれる。

間髪入れずもう一撃!……といったところで回避されてしまう。

くそっ……。あと少しだったんだが。


攻撃が決められず次の攻撃を考えていると、

避けられないところまでキマイラの右足が迫ってきていた。

そのままの体勢で仕掛けてきた右足の一撃を剣で受け止める。


「ぐっ……お、重い……。」


キマイラの体重が乗った一撃に思わず声が漏れる。

奴の右足に全身が押されているのを感じる。


このままでは、弾き飛ばされてしまう。

俺は全身全霊を込めて迎え撃つ。


「うぉぉぉりゃぁぁぁ!!!」



途端一瞬だけ無重力空間のように体が軽くなった。


キマイラが右足を引いたのだ。

全体重を乗せていた俺は、

バランスを崩し、前のめりになり宙に浮いてしまった。


そんな回避不能な俺に、容赦なく左のツメが襲い掛かる。

くっ……。間に合わな……!!


「……《テラ・フレア》!!」



キマイラの攻撃が当たる直前、凄まじい爆炎が奴の左のツメに直撃。

キマイラは物凄い声をあげ後ろに飛んで行った。

爆風によって俺も吹き飛ばされたが、ダメージは少ない。



俺はすぐさま体を起こしエリーに視線を送る。

彼女は、どや顔でこちらにピースサインを送ってきていた。

俺はそんな相棒の姿に思わず笑みがこぼれる。



「……ははっ。……ナイスだ、エリー!もう一発頼めるか!?」


彼女に向かって叫ぶと、すぐさまOKサインを送ってくれる。

そして俺は、エリーと共にキマイラに向き直る。

キマイラも先ほどの魔法ダメージが入っており、体勢を整えていた。

痛みが引いたのか、俺達の視線に気づいたのか、奴はまた咆哮をあげエリー目掛けて地を駆ける。


痛みで理性を失っている。

だが、さすが四本足なだけはありすごい速さだ。

理性など関係なくエリーなど一殴りで済んでしまいそうだ。

まあ、今回ばかりは気づくのが少し、遅すぎた。



「…………《テラ・フレア》!!」


再度、彼女が放った爆炎魔法は完全にキマイラの顔を捉えた。

瞬間、凄まじい爆発。

悲痛の声をあげるキマイラ。

俺はそこをチャンスと見て一気に距離を詰める。

右手には雷属性を宿した【(エンチャント・)(サンダー)(ソード)】。

これは先ほどまで使っていた剣にスキル《付加(チャント)》で雷属性を付与した剣だ。

試したことはなかったが持ち前の器用さ(自称)で何とかなった。


爆炎を受けたキマイラは依然動くことができない。

ダメージも大きいがそれ以上に追加効果によるものだ。

爆炎による煙。それが奴の視界を奪っているのだ。

俺はその隙を見て、一気に飛び掛かる。

目標はもちろん顔面だ。

危険を察したのか煙を急速に振り払う。

だがもう遅い。目の前まで迫った俺の一撃を避ける手立てなど、ない。


「くらえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!」


渾身を込めた一撃。

それは確かに奴の顔を捉えた。

が…………。



「ぐるるる……る……る…………。」


奴は……キマイラは、倒れることはなくその場に静止した。

斬った箇所から、体液を拝めることもない。



どういうことだ……?


やれなかったのか?


だがキマイラは動く様子はない。

完全に生物としての活動を、停止している。

傍から見たら、これは勝利そのものだろう。

現に、遠くから見ていたエリーは喜んでいる。

この異変には全くきづいていないのだろう。


俺はキマイラにそっと近づく。

慎重に。かつ素早く。

できれば気のせいであってほしい。

その願いは......崩された。



突然の雷鳴。

エリーも俺も何が起きたのかと呆然としてしまう。

だが、2度目の雷鳴。

それは目の前から聞こえた。

キマイラに雷が直撃したのだ。

凄まじい稲光に目の前にいた俺は視界を奪われる。


真っ白な世界。

なんにも見えず、聞こえな……。



「シロー!!!避けてぇぇぇぇ!!!」


エリーの声で気を確かにする。

相変わらず視界は白みがかっているが何とか後ろに飛ぶ。

瞬間3度目の雷鳴。

俺がいた位置だ。危なかった。


着地に成功すると俺はエリーにお礼を告げようと振り向く。

そこにエリーは……


倒れていた。

なぜだ。彼女には雷が当たった痕跡はない。

俺は彼女の方に向かって走り出す。

視界はもう問題はない。

だが走り出した俺はエリーとは違う方向に飛ばされた。


「んなっっ!!!ぐっ……!!!」


思わぬ衝撃に耐えきれず吹き飛び壁に激突する。

脇腹と背中に物凄い激痛が走る。

血が食道を上ってくる。


「かはっ…………。」


堪らず吐き出す。

自分の吐いた血の赤さに気持ち悪くなる。

事態が呑み込めず頭も痛い。

これが内的なものなのか外的なものなのか……。


とりあえず事態を把握するために周りを見渡す。

倒れていたエリーはなんとか起き上がっているが、

ダメージは回復しきってないようだ。


そして、

俺を吹き飛ばしたのは、キマイラだった。

先ほどまで動くことのなかった奴だった。

いや、もしかしたら少し違うのかもしれない。

今の奴は、決定的に違うところがある。

雷をまとっているのだ。

完全に強くなっている……。


「うそ…………だろ…………。おい…………。」


そう、声を漏らさざるを得なかった。

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