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世界ランク・ワースト  作者: Shira
第1章 堕界したのは最悪最高の世界
10/12

9 上級ダンジョンの攻略法

投稿が遅れてごめんなさい!

PCの不調で携帯からの投稿に急遽変更になりました

意識が覚醒する。

殺されたときとは違うしっかりとした感覚、ぼやけた視界。

何とか体を起こすが立ち上がることはできなかった。

突如襲い掛かる頭痛に頭を押さえつつ、はっきりしてきた視界をもって辺りを見渡す。

モンスターハウスだ。

しかしもう敵の姿はなかった。

誰かがいて、助けてくれたのか......。

軋む体を立たせ、先ほどはなかった出口らしき道に身を進めた。


出たのはモンスターハウスよりも一回り小さな部屋。

奥には階段があり入口にはたいまつがあった.


「目が覚めたみたいねっ。心配したんだから。」


左から不意を突かれ俺は逆側に倒れる。

声の方を見るとそこにはエリーの姿があった。

どうしてきみがここに......。

さきほどまでの敵は誰が......?


「質問したげな顔ね。質問の内容はなんとなくわかるわ。

でも最初に言いたいことがあるの。ごめんなさい。

私はあなたを嵌めてしまった。試してしまったの。」


言っている意味が分からない。

嵌めた?俺を?いつ?どこで?


「私はここに一度来たことがあるの。トラップも当時のまま。

だから私は思いついてしまった。あなたの本気を見たかったの。

そして、あなたはトラップにかかった。」


トラップとはおそらく先のモンスターハウスのことだろう。

確かに彼女は階段の上から降りてなかった。

でもなぜ......。

本気が見たかったとは言ってもこんなやり方、らしくない。




らしく、ない?


そもそも俺は彼女の何を知っている?


僕は......彼女を知っている......?

どういうことだ、頭がパンクしそうだ。


俺は、知らない……。





「じょうぶ......?だいじょうぶ!!?」


エリーの声でハッと意識を取り戻す。

どうやら壁にもたれながら座り込んでしまったらしい。


「ほんとにごめんなさい。まさかこんなになるなんて思わなくて。」


たぶん、さっきのはそういうことか。

俺は過大評価を受けていた、と。

確かに水龍のときはすんなりうまくいってたしな......。


「エリーが謝る必要はない。これは、単に俺が君の予想を下回っただけのことだ。」


彼女にそう告げ俺は立ち上がる。

まだ少し不安ではあるが体の疲労はだいぶ取れていた。


「えっと、勘違いしてると思うから正しておくね。

私が謝ったのは私の予想を上回るトラップに嵌めてしまったこと……。

それと助けたのは残念だけど私じゃない。

トラップに気づいて駆けつけたとき、すでに敵はいなかった。」


覚悟を決め先に進もうとした俺に対しエリーはそう、告げたのであった。




何はともあれ謎はたくさん残っているがとりあえず前に進むことにした。

俺達は今B3階にいる。

B2階には特にめぼしいものがなかったからである。

更にはすんなり次の階段が見つかってしまった......というわけだ。

全く......先ほど覚悟を決めた意味はあるのだろうか。


「そういえばさっき一度来たとか言ってたよな。

なんでだ?」


俺は気になったことをそのまま口にする。

昔から躊躇しないタイプなのだ。

空気が読めないと何度言われたことか。


「えっと......。特に理由はないかな。

その当時はねえさ......仲の良い人がいて、

ついてきたってだけ。」


何かを言いかけていた気がするが気にしないようにしよう。

空気が読めないことを治そうとはしているのだ。

とにかくこんなとこに来た理由は知れた。

それなら今聞くことは一つ。


「このダンジョン、あとどれくらいありますかー!

あんまりしんどいと、ちょっと......。」


完全に覚悟はどこへやら。

先の見えぬものは苦手なのだ。


「確か私が来たときはこの階までだったはずよ。

ほら、ここの通路が行き止まり、で......。」


彼女は自信満々で通路を指したが、そこには階段があった。

完全に信頼喪失の瞬間である。

俺は壁にもたれ、スキルを使う。

思えば、最初からこうすればよかったのだ。

《サーチ》。

わかりやすいが、周囲のマップが分かるものだ。

ダンジョンで使えば広さにもよるが、

前後5階層くらいなら見える。

ふむふむ......。なるほど。

どうやらエリーの言っていたことは間違いじゃないようだ。

ダンジョンは次の階層で終わっている。

更に言うと次の階層、おそらく何かがいる。

階段と今までとは明らかに違う歪な形の部屋。

きっとそれを知っててエリーの仲の良い人とやらは引き返したのだろう。


「サーチ、もっていたのね。

それで?どうだった?」


自分の記憶が外れ若干拗ね気味のエリーに俺はそのまま伝えた。

そのうえで先に進むのかどうか、も。


「確かにこの先、嫌な予感がする。

でも忘れてはいないわよね?

いまのあんたはクエスト受注中なのよ。

逃げるなんて、ない......でしょ?」


エリーは挑発的に片眼を瞑りそう言い放った。

そうだ、今俺は、俺達は人助けのために来ているんだ。

半ば強引なものではあったが受けたものは成し遂げる。

困っている人は見捨てないのが生前の俺のポリシーだ。


「あぁ、そうだな。

なんとしても友達ってやつをたすけてやらないとな!」


俺達は意志を一つに階段を下り扉を勢いよく開け放つ。





出迎えたのは、小さなお人形だった。

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