(第092話)改造された鋼身男子高校生
纐纈はそのまま三年生の前に現れた。その後ろにはロボットがいたが、顔はなんとなく見覚えがあった。そうだ村上だ! 三人は気が付いた。でも、自衛官の後ろになぜいるのだろうか?
「もう隠すことはないので諸君にいうが、この地域を封鎖したのは鋼身とよばれる連中の侵略を防ぐためである。その鋼身であるが・・・」
纐纈は延々と話をしていたが、本当に訳が分からない事ばかりいっていたので、三人には理解できなかった。特に朋美はそういった話を聞いてもチンプンカンプンだった。とにかく、朋美はSF的な事を理解できなかったからだ。
ただ、分かったのは纐纈がこれから鋼身について説明するという事だった。それにしても纐纈は頭がよくて自分は理解しているのかもしれなかったが、予備知識もない高校生を説得させる気はなさそうであった。そういうのは独りよがりというんだろうと三人は思っていた。
纐纈の指示で前に出たロボット、いや一種のサイボーグといって良いだろう、そう朋美たちのクラスメートだった村上のようだった。ただ彩華から聞いた話ではたしか自衛隊によって破壊されたのではないだろうか? そんな疑問が生じていた。
「こちたの鋼身は、一昨日自衛隊対鋼身対策チームが確保した男性型だ。元はこの高校の生徒のようだったが今はこんな状態だ。確保の際に破損したので、とりあえず稼働できるようにした。これから君らに内部構造を見せてやるから」
その言葉に三人は唖然とした。クラスメートがタダのモノのような扱いをされていることに! そんな反応に気が付かないのか無視しているのかは分からないが纐纈はいきなり、村上だった鋼身の腕を両方外した。
「!!」
三人は言葉を失った。腕を外された肩にはまるで人間の標本みたいな筋肉や骨のようなものが見えたが、その全てが作り物のようになっていたからだ。それに体表は薄い合成樹脂のようなものに覆われていた。これが人間だったというのだろうか?
「まあ鋼身は異空間経由で送られてきたナノマシーンと必要となる材料によって、人間の生体細胞を完全に作り変えてしまうんだ。もっとも、彼は破損したのでこっちの指示にだけ従う程度に修理しているから、あまり動くことは出来ないし、それに意思表示もできなくなっている。まあ、そのうちどうにかするから」
結局、纐纈の奴は鋼身になった村上を見せて何をしようとしているのだろうと思っていたところ、変な事をいいはじめた。
「ここにいる三人のうち一人を彼と同じようになってもらいます。そう鋼身に! でも安心してください自衛隊対鋼身対策チームの管理下で行いますから」
いったい何が安心なのよ! それって人体実験だろうが! そんな怒りがこみ上げてくるような話であった。




