(第089話)時空を超越して
泉里、彩華。愛奈など金が谷地区で鋼身にされた人々が辿りついたところは四国山地の最深部ともいえる人里はなれた場所だった。樹木がうっそうと茂っていて、交通網から大きくはずれていたので地元住民が全く存在しないところだった。
一同がここに来たのはユニットに指示されたためだが、意志に関わらずここに来てしまったのも少なからずいた。特に鋼身にされる前は自衛官だった者は強い拒絶感を抱いていた。しかし、身体は意思に反してついてきてしまった。もっとも、元の自衛隊にいるのは出来ぬことではあったが。
「皆さんご苦労様です。これからしばらくすると時空超越ゲートが出現します。それが出現するとしばらくの間安全な世界にお連れ致します」
ユニットはそう告げたが、このユニット。あまりにも情報開示しないのを彩華は気になっていた。それに何故鋼身になったのに眠ったままの明日菜がここに招かれなかったのかが気がかりだった。
「みんな、衝撃に備えてくれ!」
鋼身の中で最大の巨体を持っている泉里は全員に指示した。それにしても人類を機械生命体にして人工進化させようという世界は一体どんな社会なんだろうか? 彩華をはじめ全員が不安に思っていた。それに行ったら最後もう二度と地球にもどれないのかもしれなかった。
そんな不安を抱く一行の周囲に突如巨大な光の輪が出現した。ほぼ全員が逃げ出さないといけないと本能的に判断したが、金縛りにあったかのようになり動けなくなっていた。そしてその光の輪は急速に収縮すると鋼身達を吸い込んでしまったかのように小さくなり消えてしまった。一行はいずこかに旅立ってしまった。
この日、四国から消えた鋼身が地球に戻ってきたのは半年後の事であった。その間の地球は正に嵐の中心部付近といった時代となった。




