(第073話)閉鎖された大地.3
2022年のゴールデンウィークはもうすぐそこという週末。悠爾たちが住む四国は全域が封鎖されてしまった。その理由を政府から語られる事はなかったが、そのような事態に陥っているのは他にもあるようだった。また世界各国でも同じような封鎖が行われていたが、その原因もわからなかった。
少し前まで、インターネットで世界の情報が手に取るように分かったはずなのに、それらが遮断されテレビやラジオも管理下に置かれニュースが殆ど流されないようになっていた。唯一分かるのは彩華のように鋼身になった機械化人が「ユニット」から得たとする情報ぐらいだった。
4月22日の朝が開けようとしていた。町はいつもの変わらない様子といいたかったが、自衛隊の車両が駐留していて日常でないことを示していた。ただ、町の封鎖は解除されたので松山など四国の他の地域にいて帰れなくなっていた住民が帰宅してきた。その中には悠爾と朋美の母親もいた。二人とも、松山に買い物に行っていて帰れなくなっていた。
朝早く、片山家に朋美の母・優紀が戻ってきた。彼女は娘が心配で仕方なかったが、そこにいた彩華と明日香を見てショックを受けていた。説明を一通り聞いてから松山で聞いた話をし始めた。
「坂垣君のお母さんと松山で一緒になったんだけど、そこでね世界各地で人類が機械生命体になっているって話を聞いたんよ。最初は半信半疑だったけど、やはりそれで町が封鎖されたんだと。
それでねえ、東京のおばあさんに連絡してみたんよ。そしたら首相以下閣僚が悪い奴らに支配されているといってクーデターを起こしてやるなんていってたわ。本当にあの人は無茶をするんだから」
「おばあちゃんって、あの杠のよね? ママ。でもあの人ってついていく人がいるの? あんな勝手な人なのに」
朋美は祖母の顔を思い出していた。その男勝りで闘士のような勇ましい姿を。
「ついていく人位はいるわよ。あの人だってもう少し世渡りが上手ければもっと高い地位につけたんだから。それはそうと、おばあさんが言うには長和さんのような機械に無理やりなった人たちとは別に、自ら機械人間になって人類を支配しようとする奴らがいるそうよ。その奴らのせいで世界は混乱に陥ったというんだけど、話がごちゃごちゃで分からないよ、本当。
それで、四国の封鎖だけど、その奴らをなんとかすれば解消できるって言ってたわ。それまで何とかしていて頂戴っていっていたわ」
優紀は彩華に近づいて機械になった身体を見ていた。その身体は美しいと思えたが、この姿に人類が変わっていくんだと思うと恐ろしくも思えた。




