(第072話)閉鎖された大地.2
この日は大きなニュースが数多くあったから、テレビに注目していなかったが、テレビの画面が切り替わった時、一斉に片山家にいた人々の注目が集まった。それは自分たちに関係する事だったからだ。テレビに防災服を着用した県知事が映し出されていた。
「県民の皆さん。本日午後7時半から四国全体が封鎖されます。この措置は憲法の非常事態条項発動によるもので、期限は一週間を予定しております。なお、その間の経済的損失については後日国家賠償で対処いたします。ご協力をお願いいたします」
その放送に一同ざわつき始めた。こんなことになるのなら憲法改正に賛成しなけりゃよかったや、理由を話していない説明責任を果たせや、この町はどうなってしまうのかといった声が聞こえていた。
「皆さん、とりあえずこの町から逃げてください! 遅くても夜が明けるまでに!」
彩華はそういったが、悠爾の祖母は理由を言えと迫った。
「あのねえ、長和さん! 逃げると言ったってこの四国から逃げる事が出来ないのよ! あなたどこに逃げろというのよ!」
「それは・・・正直にいいますと鋼身と呼ばれる機械生命体には二種類います。一つは別の世界からもたらされたモノ。もう一つは人類を征服するためにこの地球の勢力によって生み出されたものがあります。
私は前者ですが問題なのは後者です。後者の地球生まれの鋼身は人類を闇雲に葬ろうとしています。その一端が昨年来の核兵器使用による世界的混乱です。それらは全て仕組まれたものです。人類を分断し反目させることで、気付いたときには手遅れというわけです」
「ちょっと待ってよ彩華! なんだか難しい話のようだけど、それって、つまり、その・・・良いのと悪いのがいるというわけなの? あんたをそんな金物みたいな身体にした奴には?」
朋美の言葉に彩華は少々閉口してしまったが、簡単に言えばそうなるのかもしれないと思った。もっとも良い悪いというのは相対的なものなので難しいモノではあったが。
そんな話し合いを尻目に広野は物凄い動きでタブレットを操作していた。彼が持っているのは情報が封鎖されている四国でもやり取りできるものだったので、どうやら特殊な回線を使っているようだった。
そして、広野が口を出したときその場にいた人間が凍り付いた。
「間もなく、この国で大規模な変動が起きます! 皆さん覚悟してください!」




