(第063話)鋼身の少女たち.3
「ところで彩華、お腹空かないの?」
朋美はそういったが、他の人々を呆れさせていた。機械になったら人間の食事など必要としないのにと。でも、なんらかの活動をするためのエネルギーは必要な事に気付いた悠爾が聞いていた。
「君ら鋼身ってどうやって活動できるのだい? 反応炉みたいなものでもあるのか?」
すると彩華はどこかと相談しているようなそぶりを見せていた。どうもユニットの上層部とやりとりしていたようだ。
「まあ、なんて説明すればいいかわかりにくいかもしれませんが、人間と同じようにある種の化学反応でエネルギーを作り出しています。ですからご飯を食べる必要はありませんね」
「そうなんだあ、そしたら御馳走する必要ないんだ。でも、身体はどうやってメンテナンスするの彩華?」
「朋美、人間にお医者さんがいるように鋼身にもメンテナンスする存在はあるわよ。そうそう、そのうち鋼身専門の修理屋なんて出来ると思うわ。そしたら、今よりも長い時間生きていけるようになるわよ」
「それって、何歳ぐらいまで?」
「そうだねえ、人間よりもずっと長くじゃないかな? まあ、一定年数経てば老朽化してしまうようだけど。そこんところははっきりしないわ、それに身体を色々と変える事が出来るわよ」
そんな会話を朋美は彩華とずっとしていたが、それにしても金が谷地区で自衛隊の駆逐や捕獲の手から逃れた鋼身を匿っていることにリスクがあると思いつつ、教え子を差し出すことが出来ず、野村は悩んでいた。
すると、広野がどこともなく連絡をしていたので、野村は広野を連れ出して裏の方で話し始めた。
「広野! うちの生徒を差し出すようなことはしないでくれ! それにしても新聞記者のお前がなんでこんなに鋼身に対して行動できるのはなぜなんだ?」
「それは・・・もう隠すことは無いから白状する。実は俺たちクーデターを計画していたんだ!」
「クーデター? なんでそんなことが?」
「知っての通り、今の政権は暴走しているだろ? その背後に鋼身が爆発的に広がるトリガーを抜こうとしていた連中がいたんだよ。排外的な主張をするいまの政権のメンバーがしでかした事さ!」
「ちょっとまて広野? そんなことをして何か得する事でもあるのか? そいつらは」
「ああ、連中からすれば、そんな利益は預かれないはずさ。なんだって、間違った事を思いこまされて動いていたにすぎないからな。簡単に言えば利用されたにすぎないさ」
その広野の言葉に野村はますます訳が分からない事態がおきているんだというのだけは認識した。




