(第062話)鋼身の少女たち.2
明日香の首筋にはなんかの挿入口があった。それはパソコンのUSBかなんかの、そういえば首筋にケーブルを差し込んでコンピューターかネットワークかと接続させるというシーンのあるSF作品があったような気が悠爾はしていた。
「私たち、鋼身は人間だった時の自我も記憶も保持されたままだけど、精神的に一番違うところはユニットによる制御をうけることです。このユニットは社会における規範を守らせるための管理単位で、行き過ぎた行動を取らせないためのものです。
明日香が起動しないのは、このユニットに対応できないと看做されているからです。しかるべき時期にユニットによる体制が本格的に稼働すれば彼女は目覚めます」
彩華はそういって明日香の身体を片山家の布団へ寝かせた。そして優しくかけ布団をかけた。その時の明日香は眠れる美女のようだった。顔だけは・・・
「彩華、そういうことはそのユニットとかなんとかが動き出さないと明日香は目覚めないというわけなの? でもそれってどういうことなのう?」
朋美のとぼけた声に一同はあっけにとられていたが、広野がフォローしだした。
「片山さん! あのねえユニットは鋼身の支配者みたいなものなんだよ! それが本格的に稼働するということは、征服されるということなんだ!」
「そういうことは、鋼身に世界が征服されるのは時間の問題とでもいうのですか?」
悠爾は少し不安そうな声で口をだした。すると広野はこういうことを言い出した。
「そういう事に・・・なるだろうな。今回の事態ではっきりしたことがある。今までの世界的な混乱は鋼身の出現を促すために起きた事であったんだと。もちろん当事者はそうなるとは思ってもいなかったが。
そして臨界点を突破した今、もう奴らになっていくのは人類にはもうできないってことさ」
「ちょっと待て広野! それって陰謀論じゃねえのかよ! お前が言いたいのは、自衛隊があんなことをしたのは、かえって逆効果だったということか?」
野村はその時困惑の極みだった。教え子が機械の身体になっていくのを黙ってみていくしかないのか? もしかすると教え子だけでなく世界が鋼身に置き換わってしまうというのだろうかと。
「ねえ、ちょっと! 私たち鋼身はそんな危険な存在じゃないってば! そりゃ人間だった時よりもいろいろと違う事はあるけど、私たちが積極的に襲ったりはしていないでしょ! みんな一方的にやられでいるのよ!
でも、そろそろ変化するかもしれないわ。これから鋼身と人間との戦争が起きるから・・・でも、人間は死なないわよ。なんだって鋼身になるだけだから」
その彩華が発したことは、どうやらユニットの見解を代読したかのような内容だった。




