(第061話)鋼身の少女たち.1
自衛隊の謎の部隊がセットした重質量爆雷(戦術核弾頭)がまさに炸裂しようとしているころ、悠爾、朋美、野村と広野の四人は片山家に戻ることが出来た。結果として初期の目的を果たすことが出来なかったが、そこで待ち受けていたのは彩華と明日菜の二人のロボット少女だった。
この後、様々なタイプの鋼身と遭遇することになる一行であるが、金が谷地区で発生した人類機械化事態では女性の場合は割合人間らしさが残っていた。ひいていえばマネキン型ロボットのようなものだった。もし動かなければ等身大の人形のようにも見える姿だった。
野村は彩華に作戦が失敗したと告げようとしたが、彼女の方から先にいいだした。
「野村先生、あまり気にされなくてもいいですよ。もう事態は動き出したのですから。それに広野さん、坂垣くんに朋美も危ない目に合わせてごめんね。みんなわかったわよ」
その言葉に反応したのが広野だった。彼には彩華がすでに鋼身たちのネットワークに組み込まれていることに気付いたのだ。
「長和彩華さん。君はもう鋼身の一員なんだよね。ということは、今回の事態がどうなっているのか分かるってことだよね? 教えてくれないかな?」
「広野さん! それって長和はもう奴らの仲間という意味ですか? それじゃあ僕らどうすればいいのですか?」
悠爾はそういって彩華の身体をまじまじとみていた。その姿はSF小説の挿絵によく出てくるロボット少女のようだった。それを見て朋美が悠爾の頭を小突いてきた。
「なにイヤラシイ目で見ているんだよ! 男といっても許せない事もあるってば!」
「まあまあお二人さん揉めないの! 私の身体は機械になっているから仕方ないよ。それに興味を持ってくれてうれしいよ。こんな身体になって・・・なんだって、涙が出なくなったし、それにお腹が空かないのよ!」
彩華はそういうと、残っていた服を脱ぎ機械になった身体を四人の前に披露した。顔は人間だった時のままだったが、身体の方は関節部で割れ目が現われ、その中に球形関節のようなものが認められた。また皮膚は有機的なもののようだけど、毛穴がなくメタリック的な輝きを放っていた。
「うーん、君の姿って数多くあるバリエーションのひとつのようだけど・・・美しいと思う。それにしても、そっちの彼女はどうして眠ったままなんだ?」
広野は手帳で何かを探し出そうとしていたが、明日菜がなぜ鋼身になっても目覚めないのか不思議に思っていたら彩華が意外な事をいった。
「彼女の意識は凍結されました。これから起きる事態に影響を受ける可能性があるための措置です」
そういって彩華は明日菜の首筋を見せた。




