(第060話)変化したあとは.6
自衛隊が設置した重質量爆雷は簡単に言えばTNT火薬を大量に集めただけの代物だったはずだ。当然運び出すのはすぐには出来なかった。兵器としての機動性はなくただ破壊のみを目的としたものだった。いずれにしても金が谷地区全域を破壊するのか既定路線だったようだ。
さて、小隊長は明らかに上層部の誰かの汚い指金だと考えていた。30分前に言われても避難できないものが数多くいるのは明らかだったからだ。特に鋼身は脱出できないものが出るのが確実だった。みんな、このように隠れていたのだから・・・
「泉里、お前たちは何をするというのだ?」
「決まっているだろう! 重質量爆雷を無力化するのさ」
「わかっているんか? そんな方法?」
この時、小隊長も重質量爆雷について詳しくはしらなかった。上からは日本へ侵攻してくる敵軍を殲滅させるための大型機雷を複数束ねたものと聞かされてはいたが・・・
「ああ、なんだって重質量爆雷の正体は核弾頭だからな!」
「核弾頭? まさか・・・」
核弾頭といえば半島の独裁者チェ政権が暴走して周辺国に打ち込んだことで大きな戦禍をもたらしたばっかりであった。使いで残された戦術核弾頭が何発か行方不明になっていると噂になっていたが、なぜ自衛隊が持っているのだ?
「そうそう、あんたはなんでここにあるのか知りたいんだろうが、それを説明している間はないからな! 簡単に言えばこの国の政府の中に裏切り者が幅を利かせているってことさ。鋼身を殲滅しようとしているふりして、本当はその逆を目指しているってことさ。
まあ、そういった連中は我々”鋼身”からすれば、危ない奴だから、そろそろ退場してもらうけどさ」
泉里が何を言っているのか意味が分からなかったが、重質量爆雷を仕掛けた連中の背後にいるのは人類側も鋼身側からも脅威であるということだった。次の瞬間数多く集まっていた鋼身は一斉に勝負銅山へと殺到していった。その中には小隊長の目の前で横たわっていた機械蟲の被害者も含まれていた。
「小隊長、なんで核弾頭がこの国にあったんですか? そもそも自衛隊はUNTANKに参加していないから、北の旧政権が持っていた兵器を手に入れるはずはないのでは?」
そういって小隊長の脇にいた男は不審そうに話していた。彼も酔いが回ってきたのか、ぼんやりとしていた。
「さあ。越智から聞いた話では口では排斥を主張していながら、裏では売国奴のような事をしている政治家がいるとのことだったが、そいつが手をまわしたかもな。とにかくあの爆雷を無力化できるのだろうか?」




