(第050話)解き放たれた封印.3
「お前さんが、このエリアのターミナルヒューマンというわけか、ていうことは私の情報を全て知っているってことだな」
広野は諦めたような口調でいった。
「そういうことですよ。今回の事態を招いたのは人類の自業自得ということですよ。もっとも、その事をなおも隠蔽しようとして全世界が恐慌に陥っているのに、なおも続けているのですから、この金が谷地区のように!
この虐殺行為ももう少しすれば、この国の住民が知ることになるんですよ。そうすれば、今の政権はつぶれるでしょうけど」
泉里の身体はそう話している間も進化しているようだった。彼の身体はいずこかに存在する人々を機械化する物質の転送ポイントになっているから、その機能がどんどん拡充しているからだ。
「たしかにな! 今回の作戦を立案したときには、まだ封じ込め出来ると思っていたんだろうな。まあ俺もそう思ったんだが・・・かえって・・・」
そこまで言ったところで広野は黙り込んでしまった。その沈黙が意味することは他の三人には分からなかった。
「おっと、他の方には何のことか分からないようだね、置いてきぼりにしてしまったな。まあ、全ては君らも”鋼身”になれば分かる事さ。”鋼身”になれば知識の共有が簡単に出来るようになるし、それに争い事をする必要もなくなる。いまの人類のような問題などなくなるからな」
そういって泉里は自分の機械生命体になった身体を誇示するようなポーズをした。その姿は悠爾は恰好良いとおもったが、朋美だけは異をとなえた。
「あのねえ、うちの友人の彩華や明日菜を勝手に仲間にしないでくれる? 頼まれたわけでもないのにうら若き少女をロボットなんかにしてから、本当に変態だわ、あんたは!」
朋美はそういって坑道に転がっていた石を泉里に投げつけたが、ひょいっとよけてしまった。
「やれやれ、お嬢さんだと思って甘く見ていたら石を投げつけるとは、なかなかおっかない事をするなあ。サービスとして教えてあげるけど、早いうちに”鋼身”になったほうが、いろいろと将来徳するんだよ。君もはやかならないかい?」
「いやよ! そんなアメリカのコミック映画の悪役みたいになんかなりたくねえよ! それよりも、彩華たちを元の姿にもどしてちょうだいよ! 勝手にロボットにするだなんて人間のすることじゃないか! あっ、その前にあんたはもう人間じゃねえんだったわね! あー、なんなのよまったく!」
朋美の一人突っ込み一人ボケが空回りして場の雰囲気が白けてしまった。




