(第049話)解き放たれた封印.2
「半世紀前からなんて、そんなの噂すら聞いたことねえぞ!」
悠爾は驚いていた。そう言った話は父が好きだったのでSF小説を書棚いっぱい所有していて、その本を子供の時から勝手に読んでいたので、そういった話を自分も好きだった。しかし、SFといえどもオカルトと一緒で空想の物語だと認識していたので、あり得ない話だと思っていた。ましてや、人が機械に生まれ変わるだなんて、出来の悪いSFでもないと思っていたのに!
「無理もないなあ。こんなに大規模に住民が機械化人になる現象が発生し始めたのは一昨年ぐらいからのようだ。それまでは、世界各国が自国のみの問題として処理していたからさ。
でも、今は手遅れになりつつあるのさ。世界の混迷が増すほど加速しているからさ、人類が”鋼身”になるのが」
「その”鋼身”って、人類がサイボーグのようになったという意味ですよね? 僕らの同級生のように・・・」
「サイボーグか、まあ似たようなものさ。しかし、サイボーグのような機械ではないかもしれないぞ。どうやら自立して進化する能力もあるし、再生能力だって。
それに、最初のうちは人類の機械化に際して拒絶反応で死亡するケースや失敗するケースもあったようだが、この金が谷地区の場合、ほぼ機械化に成功しているようだし、それに最初から不適格者は機械化されないような機能があるようだし」
「なんですか、それって? それに不適格者を判定する機能だなんって・・・医師があるってことですか?」
「その意志を探るために装置を使ってコンタクトしようとしているのさ。そうそう、この”パンドラの鉄棺”の脇にいると、本当はここにいる四人はいつ”鋼身”になっていてもおかしくないが、作動中は大丈夫さ。それよりも早く脱出しよう! この装置は発信装置になっているから、もうすぐ自衛隊がやってくるから」
そういって広野は一行に撤収するように指示し、元来た坑道を戻ろうとしたが、そこには黒光りする甲冑武者の男が立っていた。それは変わり果てた泉里だった!
「やれやれ、予想よりも早くお出ましというわけか? こりゃあ無事にすまねえだろうな」
そういって広野が懐から取り出した拳銃を泉里に向けて発射した。
発射した弾は泉里の胸を直撃したと思われたが、跳ね飛ばしてしまった! 彼の胸は装甲車の表面のように人が携帯できるような質量弾では傷をつける事も出来ないようになっていた。
「無駄ですよ! 僕は最強の”戦士”のように生まれ変わったのですから。それよりも、広野さん。みんなにもっと正直に話をしたらどうですか?」
その泉里の話しぶりは広野の正体を知っているかのようだった。




