(第045話)ターミナルヒューマン.5
硬直が解け泉里が見た自分の身体はメタリックボディのアメコミに出てくるようなグロテスクなモノへと変貌していた。表面は金属に覆われ体内からは呼吸音と鼓動に変わり油圧が作動するような振動と電気パルスが行き交う感覚を感じるようになっていた。
「これって、自分はサイボーグになったのか?」
それが感想だった。しかしそれは変事の始まりに過ぎなかった。同じ場所にいた中学生五人の身体はそれぞれ外観は違っていたがロボットのようになっていた。マネキン人形のようなものから、産業用ロボットのような武骨なものなど、それぞれが違うロボットに生まれ変わっていた。そして五人は金が谷地区へと戻っていった。
それからというもの、住民が次から次へとロボットに生まれ変わっていった。その時、泉里はある一定の法則があることに気付いた。それは生まれ変われる年齢層が決まっているという事だった。
下限は中学生で、いわゆる二次性徴が出始める年齢で、上限は50歳前後であった。そのため高齢化率が過半数の金が谷地区では大半の住民に変化の兆しはなかった。また、該当する年齢でもなんら影響なく動き回れる若者も少なからずいた。その原因については分からなかったが。
それはともかく、伝染病のようにロボットへの変化が拡散していったが、それも正午ごろに阻止する者が現われたのだ。何者かの通報で自衛隊が出動したからだ。あっというまに金が谷地区から外部につながる道路は封鎖され、ロボット化した者に対する容赦ない攻撃が始まった。
自衛隊の攻撃は苛烈を極め、積極的に投降しようとしなかったロボットになった住民は次々と重火器の餌食になっていった。その攻撃のため、金が谷地区全体が戦場になってしまった。




