(第031話)ふたりのロボット少女.3
広野は動かない明日菜が着ていた服を脱がそうとしたところ、彩華が止めに入った。
「あのねえ動かないロボットといってもねえ昨日までは花も恥じらう乙女だったのよ! それをいきなり服を脱がそうとするなんて!」
「そうなんだが・・・実は確認しないといけないことがあるんだ。彼女の背中にコントロールレバーがあるかどうかを」
「コントロールレバー? なんなのよそれって?」
「私が持っているアマテラス計画の中にあるんだが、正体はまだわからないけど、機械になった人類をコントロールする装置らしいんだ。このコントロールレバーがあると何者かに操られるようなんだ。だから確認してあったら折っておこうとおもって」
「そうなんだ・・・私もロボットになったらコントロールされるんだ。そういえば金が谷でロボットになった人たちも何かに操られるように集団で行動していたわ。それにしてもみんなして何をしようというのかな?」
彩華は襟首から手を入れてそのようなものがあるのかを確認しようとしていた。しかしまだ”形成”されていないようだった。
広野が明日菜の制服を脱がすと、彼女のメタリックボディが現われた。彼女は肌色の体表を保っているように見えたが、滑らかな生物的な曲線を維持したまま、金属的な光沢を放っていた。だから、別の色に塗ってしまえば本当にロボットのように見えたはずだった。
広野が背中を触っているとバッキという音がした。その手にはラジオのアンテナのような物があった。その時、悠爾は疑問に思った事があった。
「広野さん、明日菜は昨日、彩華に触ったからロボットになったようだけど、どうして俺や朋美それに広野さんなどはロボットになる兆候がないんですか?」
「それかあ。実はまだ法則性は見出していないけど、いわゆる”パンドラの鉄棺”から離れた地域では大量発生しないようなんだ。発生しても最初にロボットになりかけの人間に接触した一人か二人にしかロボット化現象は感染しないようなんだ。
だからそこの長和彩華さんが他人をロボット化できるのは一人だけなんだ。でも、その一人が誰になるのかが不明でなあ」
「そんなあ!」
広野の話を聞いて嘆いたのは彩華だった。自分は助けを求めに来ただけなのに明日菜をロボットにしてしまうだなんて・・・そういうつもりなんてなかったのに!
「気にしなくてもいいさ。実のところ遅かれ早かれ、この地球上に住む人類は滅亡する運命にあるから。それが遠い未来だったのが現在進行形になったというだけさ」
「広野さん、現在進行形だなんて・・・ちょっと待ってください。そのアマテラス計画というのは一体なんなんですか? どうして広野さんが知っているのですか?」
悠爾は広野がなぜここまで知っているのかを聞いてみる事にした。




