(第027話)人類の黄昏前夜.3
ラジオから流れてきたのは臨時ニュースだった。それは燧灘町についての情報だった。
「本日、燧灘町内で原因不明の伝染病が確認されました。内閣府と愛媛県は日本国憲法の非常事態条項を適用し、一時的に同町を封鎖しました。同町への立ち入りは禁止になりました・・・」
それを聞いた悠爾はあまりにも内容が隠蔽されていることに驚いていた。伝染病かもしれないけど人間がロボットになる事を隠しているし、それに発生してからもう三日も立っているのに!
「やれやれ、明日からどうしようか? ところで悠爾、お前の母さんとなんとかして連絡を取らんといけないけどどうしようか・・・」
「そうだなあばあちゃん。取りあえず朋美のおじいさんに頼んでみようか? おじいさんは町議なんだから。それよりも親父からのデータを見ないと・・・」
そう言った途端、部屋の明かりが消えてしまった。なぜか停電してしまった!
「しかたねえなあ、後回しにするか。今日は早く寝ることにしようやあ。ばあさんだって仕事にならねえし」
「そうだなあ」
悠爾は床に入ったが、非常用に用意していた携帯ラジオの放送を聞くことにした。一体この世界で何が起きているのかを知るためだった。
ラジオは通常のプログラムを変更し様々なニュースを伝えていたけど、いったい何が起きているのか分からない事ばかりだった。
まず、アメリカのレイノルズ大統領が突然、太平洋航空路を全面閉鎖する大統領令を出したことに始まり、欧州連合がイングランドへの出入国を全面禁止するといったものから、中国の鄭国家主席代理が暗殺されたなど、通常あり得ない量の異常事態のニュースばかり流していた。そのせいか、この町が封鎖されたことは無かったかのような扱いであった。
そんな陰惨な気分になった悠爾は真夜中過ぎに窓から外を見ることにした。そこには暗い瀬戸内海が広がっていた。いつもならこれから出港するはずの漁船は港に釘付けになっていたし、沖合を行き交う船の明かりも止まっていた。どうも燧灘町の封鎖は海上も行われているようだった。
その時、悠爾は父親の高志と最後に話をしたことを思いだした。たしか、それは二か月前の事だった。朝鮮半島北部にある鉱山に派遣されていた時に、変なものに出会ったというものだった。その時には隣に人がいるので詳しく話せないけど、もしかすると世界の歴史が変わるかもしれないと言っていた。
ただ悠爾は父と大喧嘩していたので、素直になれず話も上の空だったので気に留めていなかった。しかし今思うとその変なものはロボットになった人間ではないだろうかと思った。ということは、人間がロボットになる現象は世界各地で起きているというのだろうか?




