(第022話)パンドラの鉄棺.3
彩華のロボット化は一時的に止まったようで、気分が良くなったと言って片山家の母屋にやってきた。一方の明日菜の方は加速度的にロボット化が進行しているようで、誰にも会いたくないといって蔵の奥の方に引っ込んでいった。
「どうしようか明日菜は? 親御さんに連絡しないといけないというのに、携帯がつながらなくなっている。仕方ないからわしが直接伝えに行く!」
そういって校長が片山家を出たのが午後8時近くの事だった。山腹にある片山家から海岸線と平行に伸びる国道には自衛隊の車両と思しき影が見えていた。そして燧灘町の市街地の入り口には検問所と思われる明かりが煌々と光っていた。
テレビを見ると、全く普段通りの放送で雛壇に並んだ芸能人たちが他愛もない話題で盛り上がっている番組が放送されていた。いま、この町で異常な事態が進行している事など感じさせるものはなかった。
片山家の大広間には急ぎで作られた料理がごっそり置かれていたが、生徒たちはそれぞれの家が心配になって校長と一緒に帰宅したので、残っているのは広野と野村のほか悠爾と学級長の薬師神と朋美と彩華だけであった。しかも、彩華は食事などいらないと言い出したのだ。お腹が空いていないとか言って・・・
「彩華! ひょっとしてあんたのお腹って機械になってしまっているからお腹が空かないんじゃないのよ?」
朋美は大好きな鳥の唐揚げを口にほおばりながら彩華をじっと見ていた。彼女の手はロボットそのものになっていたが、顔は今までと変わらなかった。どうも体内は機械に変貌しつつあったようで、表面には現れていないだけのようだ。
「あんたも言ってくれるじゃないのよ! 機械になっている恐怖と戦っているんだから! それにしても変よねえ。あんたと坂垣君は明日菜よりももっと密着したというのに何ら変化ないわねえ!」
その言葉を聞いた朋美は怒り始め悠爾の前に立ちはだかった! その形相は夜叉のようだった。
「悠爾! いつ彩華とイチャイチャしたのよ! あんたとわたしは幼馴染といったって気軽にクラスメイトとハグしたというのかい!」
「違うってば! 倒れたから起き上がらせてあげようと思って肩を触ったつもりが・・・胸をぎゅっと・・・」
「なによ、いやらしいエッチ!」
朋美は悠爾に頭突きを食らわした! 思わず悠爾は頭を抱えてしまった。
「ごめんよ・・・でも、それって長和さんに謝らないといけないんだよな。それにしても彼女の胸は・・・固いドームのようになっていた・・・やはりロボットになったら・・・どんな姿になるのだろうか?
それよりも何か防ぐ方法はないのかよ! 叔父さんは知っているなんてことないのかな?」




