(第021話)パンドラの鉄棺.2
悠爾は困惑していた。友人の村上は自衛隊に破壊され残った部分が回収されたとか、彩華も明日菜もロボットに変化しつつあると・・・でも、その原因はなんだ?
その疑問を解き明かそうとしたのが新聞記者の広野だった。その時、どこまで知っていたかは定かでないが、一連の事象についてある程度の事を知っていたようであったからだ。
「長和さん。あなたの叔父さんはどういう方なのですか?」
「叔父は泉里徹治というのですが、ひと事でいえば変わり者でした。まるでトレジャーハンター気取りというか廃墟マニアというか、とにかく三十代にもなって冒険家気取りでした。
で、最近は金が谷地区にある閉鎖された勝負銅山というところに入り浸っていたのです。もちろんそこは立ち入り禁止のはずなんですが、叔父は何故か堂々と入っていたので不審に思っていたのですが」
「じゃあ、叔父さんが鉄の箱を見つけたわけなんだ」
「ええ、そうです。でも得体のしれないモノじゃないですか。それで相手にしてこなかったのですが、土曜日の昼過ぎの事でした。私が同級生はここに誰も来ないと言った直後に、あの箱を町の中でひっくり返したのです。
すると中から黒く大きな虫が飛び出したのです。私はそれを見ていたのですが、すぐに消えてしまいまして・・・
しばらくすると地区の至る所から叫び声が聞こえてきたのです。どうも得体のしれない虫に刺された人の中にはすぐに変化が現れたようです。
いくつか聞こえてきた叫び声のところの一つに行ってみたら・・・村上君の妹の希実ちゃんが苦しんでいたのです。そしたら彼女の身体は見る見るうちに変色してしまって・・・」
そこまで言ったところで彩華は手で目を伏せた。だが、その手はもう・・・ロボットの手のように球形関節が刻み込まれていた。少し間を取ってから彩華は話を続けた。
「あんまりの事で私は呆然としていたら、希実ちゃんは・・・ロボットになってしまったわ。彼女はわりと肥満体だったから達磨のような体形のロボットよ!
私はどうすればいいのか思いつかなかったわ。でもロボットになった希実ちゃんがいうのよ”人間としての苦痛から解放されて幸せになった”と。でも、その場から逃げ出したけど、そんな風に地区の至る所で人間が機械生物になっていったけど、不思議な事があったわ。変化するのは人間だけで犬や猫にはそういった現象は起きていなかったのよ。私は叔父は魔法か何かを使ったんじゃないのかと思い、叔父を探したけど・・・」
そこまで言ったところで彩華は明日菜の方を見ていた。彼女も確実にロボットに変貌しつつあったけど、彩華よりも早く変貌しているようだった。




