(第015話)隠蔽された迫りくる危機.4
二人のところに気配が近づくのが分かり、思わず身構えていた。しかし外から聞こえてきたのは聞いたことある声だ。そっと、隙間から覗いて一人しかいないことを確認して招き入れた。
「校長、なにしに来られたのですか? さっきまで、ずっと自衛隊の指揮車に呼ばれていたようですが」
「そうだ、本当に迷惑な奴らさ。これからこの町を封鎖するそうだ。そういうことは野村先生、帰宅出来なくなりますな。お母さんが心配でしょ! すぐ帰ってもいいですよ」
「いいですよ校長。たとえ出ていけたとしても生徒たちをほっとくわけにはいけませんから。それにこちらにいる広野記者から聞きましたが、金が谷地区は大変なことになっているようですが、なにか自衛隊から説明ありました?」
「それなんだが。何を聞いても国家機密を盾に話してくれなかったぞ。ただ、確かなのはトンデモないことが起きている事だ。空前絶後の!
おそらくは人間が別の存在になる一種の病が発生したようだ。どうも政府はパンデミックを恐れているようだ。もし可能なら封じ込めたいようだが・・・」
野村と校長の話に割って入るように広野が入ってきた。どうも、今いる三人の中で今回の事態を最も知っているといえたが、彼もまたあまり正確な情報を持っていなかった。
「校長もご存じないようですが、金が谷地区では土曜日に大変な事が起きていたようです。たまたま土曜日にあの地区に行った郵便配達人から聞いたのですが、鉱山で何か大きな爆発音のようなものがしたそうです。
その時は、野生生物よけのガスでも爆発したと思ったようですが、月曜に向おうとしたら入り口で警察の検問があって、許可証がないと入れないなんていわれたそうです。
だから土曜日から日曜日にかけて自衛隊や警察が動員されるような事態が起きたのだと思います。しかも、その範囲は拡大されつつあります。ここは学校として調べるべきではないですか?」
広野の話に校長も納得したけど、いくら生徒が気になるとはいえ国家権力が動いている以上迂闊な真似などできない。ましてや世界が終わるようなことが起きているかもしれない時に動くのはムズマしいかもしれない。そんな迫りくる危機が近づいている事態なのかもしれないのに・・・いつまで隠すつもりなんだろう?
そんな三人の話は続いていたが、夜が深まっても話はまとまらなかった。そうしているうちに一人の女子生徒が入ってきた。
「おい、片山どうしたのだ?」
「彩華が・・・とにかくうちに来てもらえませんでしょうか先生!」
彼女の顔は青ざめていた。




