(第010話)謎の対応・3
この日、悠爾たちが下校しようとしたときの事だ。突然教室に作業服を着た男たちが入ってきた。その作業服の男たちはどこにでもいるような作業員で服装もよくみるようなものだったが、なぜか欠席者の机を運び出し始めた。
「あんたたちは何ですか、一体?」
学級員の薬師寺司が呼び止めたが無言のまま運び出し、そして校庭に止められたトラックに運び入れた。そのトラックのナンバープレートは六桁の数字、そう自衛隊の車両だった!
クラス全員が唖然としていたがそれは他の学級も一緒だった。欠席者の机のほか私物も運んでいった。そして医師のような人物がやってきて、登校している生徒の写真となぜか唾液をサンプルに取るよう、拒否するなら隔離するなんていってきたのだ。
これって一体? 誰もがそう思ったが説明されることはなかった。それは野村とそれ以外の教員も例外なかった。その時、何が起きているのか分かっていたのは校長だけのようだが、何故か校長は校庭に止められた指揮車のようなところに連れていかれていた。
「いったいなにが始まるというのだろう? まさか欠席した奴らが謎の病原体に感染していたから、俺たちも感染したとでも?」
「そんなの嫌よ! これから、どこかの病院にでも隔離されるのわしらは?」
そんな声も聞こえていたけど、その自衛隊らしい者たちはやってきた時と同じようにいなくなってしまった。あとは唖然とした教師と生徒だけが残された。そして緊急の全校集会が行われた。
もっとも全校生徒といっても50人ほどしかいなかったが、無駄に広く感じる体育館に集められた生徒は動揺が収まらないといった雰囲気だった。その前に立ったのは校長であったが、その顔は青ざめていた。
「生徒の皆さん。先ほどは驚かれたことと思いますが・・・皆さんのご学友が昨日から数多く欠席されている件ですが、いずれ分かる事だということで上からお話しする許可が下りました。
実はこの前の土曜日に金が谷地区で非常事態が発生したとのことで、地区全体が封鎖されています。詳細については・・・お話ししたくても私も分からないですが・・・しばらくすれば分かるとのことです。それまで皆さんはいつも通りに学校に来てください。いづれお話しできることがあれば、説明します」
そう校長が言ったが、明らかに何かを知っていて隠さないといけないことがありますよと、顔にでているような感じであった。地区が封鎖されたのなら理由がはっきりしているはずなのにである。さっきの自衛隊も関係があるという事だろう。それに何が起きているのだろうか一体?




