(第105話)恐怖の鋼身化.4
四分一が鋼身になろうとしていた頃、優紀も変わろうとしていた。同じように一年の少女も鋼身になってしまうところであった。
その一年の澤村千景は身体の変化に苦痛の中にあり戸惑っていた。彼女は入学式を終えたばかりで中学生とあまりかわりない未熟な身体だったのに、急激に胸が大きくなるわ身長も伸びるわでドキマギしていた。それに鋼身になるから、人間で無くなっている事にも気づいていた。
首を持ち上げて自分の身体をみていると、胸は急激に大きくなる様子が見れた。どっちかといえば洗濯板みたいだと自分でも思うぐらい少年のような貧弱な胸だったのに急激に大きくなった。なにも今大きくならなくていいのに! と思っているとさらに変化し始めた。
大きくなった胸がメタリックなブラックの物質に覆われ、巨大なドームを形成していったのだ。そのドームは優雅で女性的な曲線美をしていたが、人間の女性だったとのアイデンディティを主張するだけの存在になっていた。もはや、人間ではないから。
千景はそう思うと少し悲しくなったが、涙を流したくても流れなかった。眼窩もナノマシーンによって改変されていて、眼球は視覚センサーに変えられ生身ではなくなっていたので、角膜などの生体維持に必要な涙腺は不要として分解され消失していたのだ。千景は人間らしい感情表現の手段を奪われたことに憤りと悲しみを抱いたが、それを表現する事は出来なかった。すでに感情表現を司るものすべてが機械に置き換わりつつあり、自由がきかなかったから…




